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守り神人と呼ばれた一族  ~ついに世に出てS級探索者となる~  作者: おにまる
第一章 島を出る

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9/9

第九話 目立ちたくないんで

「大丈夫だから!害は加えないから落ち着いてくれ。」


喜八郎が、フェン丸の真の姿に腰を抜かして怯えている探索者3人を宥める。

フェン丸もハスキー犬の様な姿に戻り、ようやく皆が落ち着いてきたところで、探索者三人も各々かなりの深手を負っていたが、助かった事の感謝の意を喜八郎に告げていた。


「ピーピピッ」


喜八郎の肩に止まっていたピーちゃんが何やらアピールしていた。


「__あの今から・・・みんなのその傷を治すから、驚かないでくれよ。」


そう念を押して喜八郎がピーちゃんに声を掛ける。

次の瞬間これまた、大きな火の鳥が探索者三人の前に姿を現し、皆を両翼で仰ぐように炎に包んだ。


「「「ぎぃやあああああああああ」」」


またもや炎に包まれ、叫びながら這いずり廻り、怯える探索者三人を落ち着かせる喜八郎。


「大丈夫だからそれは、『再生の炎』と言って、癒しの炎だから。」


「__たしかに。」

「__熱くない。」

「__むしろ心地いい。」


フェニックスの再生の炎に包まれた者は、まるで温泉に浸かっている様な心地よさを覚えると言う。皆の体から炎が消えるころにはすっかり全快した探索者三人は、またピーちゃんと喜八郎に何度も感謝の意を伝えた。


「__大門君っていったい・・・・」


 その一部始終を信じられないと言った顔でぽかーんと視ていた田中さんが喜八郎の方をゆっくり振り向きながらつぶやく様に問いかけた。ベテランの田中さんをもってしても見た事のない存在感の魔獣を二体も手なずけている探索者等、聞いたことも無い。ようやく田中さんは喜八郎が、とんでもなく実力のある探索者で有る事に気づき始めた。


 皆がようやく落ち着いたところで、田中さんと喜八郎はギルドに報告のために戻る事にした。探索者3人組にはあまり話を大きくしないように一応は口止めしてその場で別れた。三人も命の恩人の秘密は絶対守りますと、口にチャックのジェスチャーで言ってくれた。


帰り際にチラチラと喜八郎の横顔を覗くように見ていた田中さんだったが、自らは話しかけて来なかった。




~~~~~~・~~~~~~~~・





ダンジョンを後にしてギルドの受付職員の前田さんの所に来るなり、田中さんは開口一番こう言った。


「【オークジェネラル】を一飲みってどういう事ですか!?」


田中さんのその大きな一声により、ダンジョン帰りの探索者の談笑などで賑わってたギルドホールが一瞬静まり返り、受付の前田さんと田中さんと喜八郎に注目が集まった。


「ちょっと田中さん、声が大きいよ。」


生まれて18年島暮らしの喜八郎にとって福岡に来てからの皆の視線に晒されることに《《さすがに》》気にし始めていた。元々人懐っこい性格で、おおらかなものもあり、島の人々は喜八郎に奇異の視線は向けずに普通に接してくれていたので、自分が特別な存在等思ってもいなかった。


 だがここに来て、さすがに皆の注目や囁かれるしぐさに違和感を覚え、さらには田中さんと行動を共にするに連れて、自分が皆と違う事に気づき始めたのだ。その様子を見た前田さんが、慌てて奥の応接室に皆を案内し始めた。


「あ、続きは奥の応接室で聞かせて頂きます。」


奥の誰も居ない応接室に通され、ふかふかのソファーに腰を下ろしてほっと一息付く喜八郎と対照的なのは田中さんだった。ソファーにも座らず立ったまま前田さんに迫る様に鼻息あらく堰を切った様に話し始めた。


「2階層に【オークジェネラル】が出たんですよ!それをパクンって!。前田さんは大門君の事知ってたんですか!?」


「__えっと・・・田中さん。_少し落ち着いて下さい。」


普段は朗らかな田中さんの性格をよく知る前田さんだからこそ、その田中さんの鬼気迫る表情に圧倒されていた。前田さんのその少し怯えたような表情にはっと我に返った田中さんも大きなため息と共にドカッとソファーに腰を下ろした。


話を切り出したのはギルド職員の前田さんだった。


「まずは、ダンジョン2階層で【オークジェネラル】が出現したと言う事は間違いないですか?」


【オークジェネラル】と言えば福岡ダンジョンの10階層以降でもめったに出現しないオークのボス的存在だった。それが2階層にいきなり出現する等これまでに一度も聞いたことが無かった。


「私も初めて見ましたが、2m以上のいかついゴブリン等いないでしょう?」


前田さんは田中さんがベテランで、モンスターの知識も詳しい事を知っていた。モンスターデータ等はギルドでも公開しているので、その対処方法や弱点等ネットからでも閲覧できるのだ。そのデータをスマホから選び出し喜八郎にも確認してもらい田中さんはテーブルの上に置いた。


「これに間違いないですよ。大門君も見たよね?」


「ええ、確かにこれと同じ種類かと。」


そのスマホを覗き込むように前田さんは言った。


「ありがとうございます。さすがは田中さんですね。それで、これは《《現在》》も居るのでしょうか?」


「それを、その大門君の・・・その・・・」


「あぁ、すみません前田さん。俺から説明しますが、フェン丸が食べちゃいました。」


「__え!?」


一瞬の沈黙の後、三人の視線は張本人のフェン丸へと集まるが、もう食べちゃったもんねーと言うような、素知らぬ顔をしてプイっと明後日の方向を向いて寝たふりをするのだった。




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