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守り神人と呼ばれた一族  ~ついに世に出てS級探索者となる~  作者: おにまる


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第4話 呪縛からの解放。

後に佐々木副会長は、こう語った。


「一陣の神風が吹いた様だった。」


大門の血脈とその歴史の中でまごう事無き、一番の怪力は八代目、大門喜八郎だと。

その現場を実際に目撃し、あれをやってのけるのは歴代の守り神人でも喜八郎を置いて他にはおらぬと。


喜八郎を幼き時から見続け、その成長の速さと強さをよく知る佐々木副会長。


五代目隠居、大門大五郎と同年代で、六代目、七代目もよく知る者の言葉だから間違いないのであろう。


今や原初のダンジョン跡地には巨大な岩山がそびえたち鳴りを潜めていた。


島民たちも後にこう語る。

「あの時はたまげた。ズドーンと地震が起こったたい。九州の本土でも地震が観測されたとげな。」


そして島民を脅かす原初のダンジョンは封じられ、大門の家は守り神人の任を解かれた。魔素も噴出しなくなったその跡地に聳え立つ岩山に近づいては手を合わせる島民は後を絶たない。


__鬼神担山。鬼神が担ぎあげた岩山として島民によって代々語り継がれていくことであろう。






__《《もりびと》》、鬼神きじんとなりて鬼を討つ~。








~~~~~~・~~~~~





直径200m、高さ100mの大岩山、いかな重さになるのか想像も着かない。

それを切り取り、担ぎ上げる。目の前でその光景を見せられてなお夢のごとし。

呆然と見送る佐々木副会長と早乙女の目の前で、己の全てを賭け、力を振り絞り原初のダンジョンまでたどり着いた、鬼神となった喜八郎。全身から血を噴き出しながらも最後の全てを振り絞り大岩山を宙に浮かせ自身は脱出しようとした時。

既に全ての力は一滴残らず使い果たされていたのである。


大岩山は、わずかに喜八郎の頭上に浮き上がっただけで、屈伸した膝はそのまま地についてしまった。


その時一瞬の突風が吹き上がる。


佐々木副会長の傍らで同じように喜八郎を見届けていたフェン丸が真の姿を現し疾風の如く岩山に潜りこみ喜八郎を咥え上げ、落ちる瞬間の岩山から飛び出してきたのである。


ズドーーーン!!!


直後激しい縦揺れの地震とも思える衝撃と共に、大岩山が原初のダンジョンを押しつぶしたのである。


優しく地に下ろすフェン丸の前で、全身血まみれで意識もなく横たわる鬼神の姿の喜八郎は微動だにしない。


すぐにピーちゃんもフェニックスの真の姿を露わにし、まるで卵を温めるように喜八郎を再生の炎で包み込む。すぐに出血は止まり、体は回復したかのように思われたが、微動だにしない。


異変に気付いた大門の一家衆が駆けつけてきた。その中に一番に駆け寄る麻耶の姿があった。喜八郎の胸に顔を押し当て心音を確認する麻耶。


「まだ生きてる!」


すぐに大きな鬼神の姿となった喜八郎の上にまたがり、渾身の力で頬を叩く麻耶。


「目ぇ覚ませ喜八郎!!。__あんたは生きんといかんとよ!覚えとるやろが!早苗さんの最後の言葉!!」



    ーあなたは必ず生き延びなさいー



 当時15歳だった麻耶にとっては今もなおその光景が、しっかりと焼き付いて決して忘れることが出来ない。喜八郎の母との最期の約束。泣き叫ぶ喜八郎を無理やり抱きかかえ、自身も泣きながら、必死に逃げ延びたあの日から。


喜八郎の母である早苗の遺言ともいえる約束を自身の使命として、喜八郎の世話係として、時には厳しく、時にはやさしく。全ての愛情を注ぎこみ、一番近くで喜八郎の成長を見守り続けた、喜八郎の従妹にあたる大門麻耶。


「戻って来なさい喜八郎!__あんたにもしもの事があったら、うちはあの世で早苗さんに__顔向けできん・・・」


喜八郎の両頬に優しく両手を添えて呼びかける麻耶。昔の記憶が麻耶の脳内にフラッシュバックする。


 幼い時は、怖がりで麻耶の袖を掴んで片時も離れようとせず、くっついて回っていた喜八郎。無理も無い。三歳であのような恐ろしい体験で母を亡くしたのだから。


だからといって甘えさせてばかりでなく、時には心を鬼にしてダンジョンの中に放り込んで自身の使命に向き合わせようと・・・心の中では喜八郎に謝りながらも食いしばった唇から流れでる鮮血は、麻耶の心の涙の様だった。


その成長は早く、気が付けば追い付き追い越され、今や強く立派な守り神人として遥かな高みに達した喜八郎。


 ~一陣の風の様にその生涯を全力で駆け抜けた姿がそこにあった~


そのとき一滴の涙が喜八郎の頬に落ちてくる。




ゆっくりと瞼が上がり、二つの真紅の瞳が、麻耶を捉える。




「___麻耶ネェ・・・」







~~~~~~・~~~~~~~~・


__数か月後



「こら喜八郎いつまで寝とうとね!はよ起きんね!」


「なんね麻耶ネェ、もう少し寝かせてや・・・ゴニョゴニュ」


「こら命の恩人のフェンリル様を枕にするんじゃない!」



そこには任を解かれ腑抜けた喜八郎の姿があった。強いて変わった所というのは髪の毛が真っ白の銀髪となった事くらいであろう。

   




__《《もりびと》》、鬼神きじんとなりて鬼を討つ~。





 今だけは、ゆっくりとゆっくりと休ませてあげたい。この後喜八郎を取り巻く環境は、目まぐるしく変わっていくのだから・・・







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