断罪イベント365ー断罪中止に伴う損害請求について
この国の王子は、365日断罪イベントのことしか考えていない王子なのです。
今日も断罪イベント始まります。
― 経理部、堪忍袋の緒が切れる ―
事件は、断罪イベント中止の翌朝に起きた。
王宮執務室にて。
「──殿下、誠に申し上げにくいのですが」
そう言って入室してきたのは、
経理部の筆頭にして鉄の帳簿の番人と名高い男。
白手袋をキュッと整え、背筋を伸ばすその姿に、
侍従たちは本能的に直立不動となる。
「……また、何か問題が?」
熱が下がりきらず、ぼんやりした顔の王子に、
彼は静かに書類を差し出した。
「こちらが、昨日**“中止となった断罪イベント”
にかかった経費の一覧**でございます」
「け、経費……?」
「ええ、“キャンセル料”込みでございます」
王子、青ざめる。
☆そこに記された内訳(一部抜粋)☆
会場設営費:2,500ルドル
魔道具搬送費:1,200ルドル
記録用プロジェクター貸出:3,000ルドル
観衆用椅子レンタル:600ルドル
声援旗プリント代:980ルドル
王子の断罪衣装クリーニング代(返却不可):1,800ルドル
看板職人への前払い:1,100ルドル
お茶菓子手配済み(納品済):2,300ルドル
宣伝費用(王都広報誌「断罪ジャーナル」掲載):3,500ルドル
合計:18,980ルドル
王子「た、高っっ!!」
経理部執事長は、顔を一切崩さずこう言った。
「殿下。断罪イベントは
エンターテインメント事業の一環です」
「……え、そうだったの?」
「はい。庶民の憂さ晴らし、王家の威信演出、商業活性化
……すべてが“断罪”に懸かっております。
体調不良による中止は、理由として認められません」
「そんなぁ……」
「昨日、白馬の輸送費まで先払いしたのですが……
今日の“ざまぁ”回があると聞いたのに!」
「待って、それはまだ……!」
「よって今後、“断罪イベントドタキャン時の
賠償契約書”を新たにご提示いたします。サインをお忘れなく」
執事長は書類をドサッと置いて、くるりと踵を返した。
◆翌朝の王子の嘆き
「熱は……下がった……でも心のダメージが上がった……」
彼はそっと「断罪キャンセル費請求書」を
顔に被せて、ため息をついた。
──彼の断罪は、経理部から始まったのだった。
断罪イベントの前は、
体調管理をしっかりと。
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