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第二話 蛮族討伐、煙る視界と冷たい太刀筋

 「ふぅ…こっち終わったよ」

 「そう、なら終わりよ」

 「わかった」


 生活基盤が整って、森の中でも衣食住に困らない説活ができている。フェンリルが居心地の良い場所と言っていただけあり、この森にはかなりの霊獣がいる。そのもの達と協力して家を建てることにも成功した。そして今、この森を塒としている蛮族と戦っている。


 「じゃますんじゃねぇ!」

 「いや、邪魔なのはそっちなんだけど」

 「人攫いにしてももう少し静かにしてくれないかな、」


 馬車を襲っているのでそれなりに実力に自信があるり、金を持っているのかと思い割って入った。邪魔だなんだというのならもう少し音を小さくしてほしい。


 「ふざけやがって、死ねぇ!」

 「――幻惑(げんわく)噴煙(ふんえん)――」


 こちらを標的に変えたので煙幕を張り視界を奪う。この煙は低い位置には溜まらないので、姿勢を低くし相手の腿を浅く切りつける。


 「がぁっ」

 「痛え!」

 「ちょこまかと」

 「あっ、そこは狼の間合いだよ」


 蛮族十数人は太腿を切られないように、何歩か後ずさる、そこは姉さんの、狼の間合いだ。


 「凍てろ(いてろ)――Niflheimr() carcer(監獄)――」

 「だから言ったのに」

 「あ、足が」


 街の時よりかは遥かに弱い出力だが、対象の足を氷漬けにできるだけはあり、全て無力化することが可能となる。


 「強いのですね、御二方は」

 「…………」

 「…………」

 「どうかしましたか?」

 「いえ、助けなくてもよかったなと」

 「それはどういった意味でしょうか」

 「助けなくても何とかなってそうなので」


 見ればわかる、蛮族などのがむしゃらに振るう剣じゃない、何年も積み重ねられ、研鑽と実践を繰り返された()()を扱う者だ、比べ物にならない。


 「そこまでわかるのですね、なら一緒に来て頂けませんか?」

 「断る」

 「ならば、少しばかりですがどうぞ、それと、名乗るのがまだでしたね私はビオラ・ウルカヌスと言います」

 「はぁ…やっぱり貴族か、」

 「私もあまり人とは関わりたくないかな特に貴族ならね」


 前回襲撃してきた奴らは貴族とは関係ないが、国に深く関われる貴族なら後ろ盾となるが神獣の力を貸せと何てことにもなりかねない。そう思っていたんだが、


 「まったく、街までにしてもらいますよ」

 「それに、馬車に乗せてくださらなくとも歩いていきますので」

 「そうしたら逃げるでしょう、それに、あれだけの賊を運ぶのも大変でしょうし」


 わざわざついて行っているのは近くの町まで賊を運ぶためだ、いつもなら糸で捕縛して台車で運ぶが、足があるなら使わないと損だから。


 「そういえばお名前は?」

 「フェイト・ストレンジです」

 「エリス・ストレンジ、フェイトの姉よ、失礼にあたるかもしれないけど私は、私達は、権力者が苦手よ」

 「あら、過去に何かあったのですか?」

 「そこで踏み込むのは、ちょっと違うんじゃない?」

 「失礼しました、ついたようですね」

 「なら別行動ですね」


 姉さんにとって、ビオラ・ウルカヌスという人間は警戒対象であり、嫌悪の対象にもなった。人の過去はそう易易と踏み込んでいいものではない。

 そして別れていく先はギルド、冒険者用のギルドだ、ここに蛮族を放り込めば金になる。


 「にちは〜」

 「またですか」

 「お願いします」

 「お願いします」

 「はぁ…一人当たり銀貨10枚です、それが十二人、大銀貨一枚と銀貨二十枚です確認を」

 「うん、ありがとう」


 この世界の通貨は銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨そして白金貨となっている。100枚ごとに単位が1増え、白金貨の時は10枚での変換らしい、大金貨以上は見たことがない。

 換金も終わったのでそのまま鍛冶屋に行く、そこに馴染みの店員がいるのだ。


 「こんにちは〜」

 「おう、来たかそろそろだと思ってたぞ、見せろ」

 「はい、」


 武器を作ってくれた鍛冶師、火や岩石に関わる守護獣を持つものが付きやすい仕事だ、因みに僕は刀と短刀、姉さんは両手剣だ。まぁ、片手でも使っているけど。


 「うん、刃毀れだけだな、俺の腕もまだまだだ、もっと腕のたつ鍛冶師が打った武器なら、手入れだけで数十年は行けるだろうな。どうする、来いつら買ってから時間も立ってるだろ。体格も変わっているはずだ、王都の知り合いに頼んでみるか?」

 「……縁はあったほうがいいからね、お願いします」

 「おう、すぐに書いてくる待ってろ」


 この街を使うようになって五年がたった。王都には王立学園があったな、僕達には縁が無い物だが。そう考えたのが三日前、僕の考えは容易く破られた。


 「…………」

 「一緒に王都に来てもらいます」

 「理由を聞いても?」

 「私の父が、助けてくれたものに恩を返せないなどウルカヌス家の名が廃ると、そう言いまして、我が家の名に泥を塗らぬよう、来てくれると助かるのですが」


 嫌な予感しかしない、それは姉さんも同じなようだ。そしてもう一つ、僕達が貴族などの高貴な身分と関わりたくない理由の一つが世間を知らないことだ、唯一知っているとしたらこの国の名前がユピテルという名前なだけだ。


 「わかった、反感は買いたくないしね」

 「よかったです、王都に帰るのは二日後ですのでそれまでに準備をお願いします」

 「わかったわ」


 最悪だ、助けなければよかったと後悔をした、後の祭りというやつなのかもしれないけど。

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