第十六話 襲撃
「何処に金をかけてるんだこの学園は」
「まったく本当にそのとおりだね、ブロッサムで行動すればいいのに、また別のところに今から行くなんて」
ブロッサムは三日しかいられず、四日目の朝からまた別の場所へと行く、ブロッサムで新たに守護獣が増えたがそれくらいしか目ぼしい成果がないとも言える。
「同じ場所に数日滞在するだけですが普段がダンジョンくらいなので新鮮な生徒が多いんですよ」
「それでも三回あるならもう少し考えてくれてもいいと思いますけどね」
「にしても、戦争か」
「ミッドガルドですね、あそこは私たちと同じ年齢の方が王を務めています。戦争にしても結束力があるとは思いませんでしたけど」
やっぱり国同士の確執は面倒くさいな。僕達はせいぜいが戰場で役に立てるかどうかだ、さすがに急に徴兵したりはしないだろうが、それでも戦争で人を集めるには実力があるものからだ。確実に呼ばれるだろうな。
「なるほど、傀儡になっている可能性はないのか?」
「ないと思うで、あそこには暁っちゅう騎士がいるから」
「剣聖が勝てなかったっていう騎士か、」
姉さんと離れて玉藻之前と話していると、噂をすれば出会いがあるというのか剣聖子息がこちらに来る。
「おい、ストレンジ」
「剣聖子息……」
「空賊退治の時に誰よりも多く討伐したそうだな、俺ともう一度手合わせしてくれ」
「……断る、」
剣聖子息、名前は……なんたらエクエス、うんいい加減名前を覚えないとな、貴族になる気はないのに貴族になってしまった為に、名前を覚えることになるとは。
「なぜだ!俺が弱いからか!」
「護衛が護衛対象傷つけてどうするんだよ、それに誰よりも討伐したということは誰よりも殺したということだ…褒められたことじゃない。殺すなら今そこに浮いている魔獣……を……」
「ああ、たしかにいるな、だが一匹程度…」
ビービービービー
十匹とそんなもんじゃないな、何匹いるんだ、警報が遅れたのは今はいい、それよりもこの数だ種類も違うのに統率が取れていることも問題だ。
「どうなっている、なぜこんなに魔獣がいるのだ」
「剣聖子息、今すぐ武器取りに行け、嫌な予感がする」
「大丈夫ですか?」
「いったい何が起きた!」
「わかりません!」
そりゃわかってたら、混乱しないよな。……一部の魔獣に紋章があるな、体格から察するに群長といったところか。
「おい、えーと、あ、グラディウスあの紋章に見覚えはあるか?」
「紋章……いや、ありえない、」
「あり得なくても何でもいい答えろ!」
「公国だ、あれは公国の家紋だ」
「んっな?!」
公国?!たしかに戦争の準備はしていると言っていたがいくらなんでも早すぎる。情報が出回り始めたのはここ一月のあいだだって…
「そういうことか!」
「フェイト!」
「姉さん!二人は?!」
「連れてきた!けど何かわかった?」
「公国の戦争準備の漏洩からこちらに準備をされる前に攻めてきた可能性があるもしくは、もう既に最低限は終わっている可能性がある」
姉さんとビオラさんリコリスさんの三人と合流できたなら直ぐに離脱したほうがいいが、それだけじゃだめだ、こっちは戦争準備は初めてすらないんだぞ。
「それではこちらが勝てる可能性は」
「玉藻商会が総動員で動けば数ヶ月で武器は揃えられるで?」
「これを切り抜ける前提だろ?船を出すしかないだろ」
嘘はついていないだろう、玉藻之前が行う商会はそれだけ規模がでかい。一国と対抗できるレベルという噂もある。でもそれ以上に時間がなさすぎる。
「遅れてきた船も公国のもので間違いない、」
「旅行船相手にどれだけ使う気だよ」
巨大な魔物に括り付けるようにいま僕達が乗っている船より大きい軍艦が近づいてくる。
「いや、まて、だれか出てくるぞ!」
グラディウスが声を張り上げ出てきたのは、黒髪に黒緑とスカイブルーのドレスを着た女性だった。
「あれ、ツイーディア王女」
「それって…」
「ええ、ミッドガルドの第一王女よ」
遠目にしか見えなかったが、空に幻影が映し出される。
「コームミッドガルド公国、第一王女ツイーディア・アングイス・コームが告げる、我らはユピテル王国に宣戦布告をする」
幻影と共に無表情に宣告された言葉は戦争の開始を告げる言葉、戦争か僕と姉さんしか無理だな。
「愚かなる王国貴族の子弟たちよ。覚悟を決める時間をやろう。降伏か、それとも死か……一時間だけ待ってやる」
「僕達を人質に取る気か、」
「卑怯な手を、この状況下で……」
「グラディウス、剣は貸してやる、そこの二人はお前が守れ」
「何を…」
「戦争だろ?なら抵抗一択だ、最低三隻、ああ、安心してくれ三人は確実に逃がすから」




