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第十話 文化祭

 夏休みが終わり二学期、文化祭、体育祭そして3学年合同修学旅行、二学期には行事が立て続けにある。そして今は修学旅行の前日、周りの貴族からの視線や評価はかなり変わった。身分が近い男爵家などは、上位貴族の横暴な態度等の反乱、革命と好印象だが。子爵家以上の生粋の貴族家は成り上がりが、と随分印象が悪くなった。まぁ支持していた皇太子が廃嫡したのだから当たり前だろう。

 引き金を引いた、子爵は廃嫡したことに驚き、金が目当てだったのか身を引こうとしたらしいが、その行動がよく見られたのか籠絡されて、三馬鹿貴族は子爵共にいるようだった。夏休みも金を稼ぐためという名目でダンジョンに潜り偶然鉢合わせたというように振る舞っていた。ビオラさんは「くだらない」と一蹴し、リコリスさんは「決闘の約束すら守れないとは」と呆れながら、互いに怒りを募らせていた。

 僕と姉さんは、文化祭には参加せずに今回は誰も使わない屋上ともいえる。学園では一番広いバルコニーを借りて焼鳥を焼いている。一部男爵家に話したら金を払うからと行ってきたので、小遣い稼ぎ程度にもらうことにした。


 「はぁ…」

 「この国大丈夫かな…」

 「大丈夫と思いたいけど……今のトップはまともに見えたけどなぁ」

 「ああいう場はまともに見えるのが世の常よ」

 「それもそうだね」

 「……明日は他のものも持ってくる?」

 「匂いが少ないやつならいいかもね」


 焼鳥だけでは物足りなくなったので一度切り上げて、材料を買いに行く。少し三馬鹿貴族を見たが喫茶店をするようだ、しかも廃嫡をされても顔は良いので女受けは良く、金銭感覚がズレているためか、相場から2桁も違う。


 「姉さん、去年は?」

 「聞かないで、何もやってないから」

 「あ〜うん、分かった」


 何やったんだろう……ハブられたか、ビオラさん達に強制参加させられたのか、それとも暴れたのか、前者二つがいいな。まだマシだ。

 カボチャ、シイタケ、なす、トウモロコシ、BBQに使われる野菜と、これまたわかりやすい肉、串も太めのものは新たに購入し、水洗いや下処理を終えて翌日へ。




 「……どうした?レッドにスペシオ」

 「いや……上級貴族、特に女子がね、高いのなんの、タダにしろとか、食べては不味いとか、それに、こっちが少しでも強く出ると、専属奴隷をチラつかせてくるしさ」

 「ここが安息の場なんだよ……」

 「そっか……金は要らないから、感想をくれ」

 「ありがと…」


 男爵家の男子は立場がかなり低い、騎士として紳士を目指せという教育のため、女子には強く出ることは難しく、それを理解している女子は男をこき使い、守護獣を持たない、獣人やエルフといった。主に顔が良い人ならざるものを奴隷と言うなの、護衛とか執事とか、悪く言えば愛人として置いている。


 「そういえば、学園唯一のまともな御二方はどうしたんだ?」

 「さぁ?最近はあまり話さないからな、まぁ今日は遅れるとか言っていたけど」

 「なんでも弟に灸をすえるとかなんとか」

 「エリスさんは、そういった事ないですよね」

 「……そりゃまぁ家族だからね…無下にはできないよ」


 姉さんから溢れる悲しみと追憶が混じった言葉。肉親は一人だけ話したくはない、それ故の愛、いつ別れが来るかは分からない目を逸らしながら、理解して強くなろうとする、それが僕達だ。


 「下級貴族がずいぶん集まっているわね」

 「?!」

 「邪魔だからどきなさい、それと……いい気になるなよ成り上がり」

 「……」


 最悪だ、確か侯爵家の人間で剣聖の家と婚約関係だった、商いを強みとする家だ。名は忘れた。


 「なんとか言ったら?あら、言えなかったわね、なんせ出世しても、一代限り、他も男爵だけ、逆らえばどうなるかわかるものね」


 蹴られて、下がった頭を踏みつけられる。守護獣を必死に押さえつけながら周りを確認する。奴隷が3、獣人が2エルフが1、どう切り抜けようか。


 「あら…何かやってたの?まぁこんなところで角へてやっているのだからろくなものではないんでしょうね、使えないようにしなさい」

 「はいお嬢、」


 食材を踏みつけられ、器具も壊され、また殴られ蹴られる。分かっている。これが平民であり、相手は貴族。どうしようと変わることのない上下関係、嫌になる。


 「何、その目、これだから平民は、立場もわからないの?ああ、わからないから決闘を申し出たのよね、ああそうだ、こんな場所で惨めにいるならお金を払ってくれる?平民がいていい場所じゃないのよここは」

 「こと…わる」


 誰か、来たな殴られて分かりづらいけど3人か、教師じゃ意味ないか、


 「がっぁ」

 「お嬢、こいつまだ自分の立場をわかっていないみたいですぜ」

 「ええ、すぐに痛めつけなさい、まったく借金を返せなくなって奴隷を売った子もいるのよ?返してくれてもいいんじゃない?」


 自業自得だろうが、のどのおくで押しとどめ、殴られて切れた口から出る血の、鉄のような味を舌の上でもて遊ぶ。けどまぁ決闘からずいぶんと合わなかったけど、二人ならマシだな。


 「さっさと返せって言ってんのよ!」



――――――



 「学園祭、去年は仕事でこれなかったわね」

 「あまり無茶を言わないでくださいお母様」

 「いいじゃない、それにビオラの様子も気になったしね、顔色は随分良くなったみたいだけど大丈夫?何か気になることでもあるみたいだけど」

 「そんなことはないです、ただ埋められない差というものを実感しただけです」

 「そう、それはそうとストレンジ家は何処にいるの?出し物には参加しないみたいだけど」


 リコリスさんの母クラルス様。つまりはこの国の王妃というわけだ。宮廷では随分世話になった。父とこの人が動いてくれたおかげでフェイトくん達はこの場にいれる。


 「何となくは予想してたけどずいぶんとひどい場所ね」


 当たり前のように値切りをしたり、男子をこき使う貴族の女子、平民は諦めて関わらないようにしているのがわかる。


 「お恥ずかしい限りです」

 「そうね、私たちの代はようやく更生し始めた所なので」

 「そう…充実しているようでよかったわ。まぁ決闘には問題はつきものだけど、あれは駄目ね。個人で持てる戦力じゃないのはもちろんだけど、人を殺している可能性があるわ」


 ……天真爛漫なようで人をよく見るお方、人を見る目はある為に私たちが危惧していたことを内容だけで予想をした。実際に決闘での言葉は、「人を殺したものは咎人か」なんでそんな言葉が出てくるのだろう。


 「さて、それじゃあ、私的に息子に恥をかかせたことへの嫌がらせをしに行きますか」

 「お母様、それは」

 「ちょっと威圧的に話すだけよ、」

 「そうですか、」


 「さっさと返せって言ってんのよ!」


 「えっ?」

 「あら、何のよう?って公爵令嬢と皇女様じゃない、自分の犬はちゃんとつないどかないとだめよじゃあね」

 「……ふぅ…」

 「大丈夫な……の」

 「ああ、大丈夫ですよ、すいませんねこれ以上は守護獣を抑えられないので」


 ああ、やっぱり私達とは違う。息が詰まるほどの圧、フラフラと体が揺れているがそれでも警戒心や重心が確実にある。



―――――――――



 ビオラさんと、リコリスさん、そしてもう一人戴冠式のときに王の横にいた人名前は確か……ク、ク……クラルスだったかな?どちらにせよ、守護獣の殺気を止めないと。守護獣の殺気は特殊で基本的に感情よって解放される。主を傷つけられた怒りなどの負の感情はもちろん、酒呑童子の昂揚、鞍馬天狗の敬意や礼儀、基本的には性格が戦闘時に現れる。


 「それで、王妃様はどういったご要件でしょうか」

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