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39.地獄の真実

本作は全49話で、3/28に完結予定です。

昨日投稿分にミスが有り、3/26 23:45に36,37話を再アップしました。

本日4話投稿 これが今日の2/4になります。

次は夜7時頃アップ予定

「カイヲ・シシュウ!何故……!」

 体が動かない一同を無視して、カイヲはジンセの頭に近寄った。

「おい起きろ。いつまで遊んでるつもりだ。」

 カイヲが言うと、ジンセの頭の周りに霊子が集まってきた。氷壁が無くなり、霊子量も僅かだが戻ってきていた。

 暫くすると、先ほどよりも小さい、少年サイズの新しいジンセの体が出来上がった。

「ずいぶんかわいい姿になったじゃないか。昔を思い出すな。」

「クソッ!霊子が足りん!舐めた真似をしおって!」

「だから言っただろう。罠だと。念の為僕の偽物を作っておいて良かったな。」

「偽物だと……」

 カイヲがエクリードの方に向き直った。

「霊子を燃やす炎に霊子の動きを封じる氷か。良い作戦だったな。霊子技術の進化を感じさせたよ。本物の僕がいれば容易に防げただろうがな。それよりも……」

 カイヲが、今度はユーシャの方を向き直った。

「貴様は何者だ?何故ジンセが魔王であることを知っている?」

「魔王だと……?」

 エルミーは、通信先から聞こえてきていたユーシャの言葉を思い返した。ユーシャは確かに、第三魔王ジンセと言った。やはりそれは事実だったというのか。

「貴様らも見ただろう。サマが持つ『再生』とは比べ物にならぬ、肉体を作り新たなる生命を生み出す、これぞ真の魔王だけが持つことを許される『創造』の力だ。」

「出鱈目を言うな!魔族の王がこんなところにいるわけがない!」

 エルミーが言うとカイヲは急に笑い出した。

「ハハハハハ!言われているぞジンセ!教えてやれよ。頭が悪すぎて友達が誰もいないのだとな。」

「黙れ!」

 否定はしないジンセ。

「どうせ死ぬ運命だ、お前らにも教えてやる。こいつは正真正銘本物の魔王だ。先代魔王の霊幹を引き継ぎ、正式に魔王として認められた。

 だが頭が悪すぎた。

 他者の話は聞けないし想像力もない。短気ですぐに手が出る。おまけにこいつが作り出す魔族どもは全て、こいつですらまともと思わせるほど知能レベルが低くて、労働力としても数えられなかった。魔族としての知性もなく、魔物のように家畜としての価値もない。こいつの短絡的な凶暴性のみを受け継ぎ、ただただ周囲の生命への暴力だけを続ける、意思を持たない空っぽの器、貴様らが悪魔と呼ぶものだよ。」

「こ、こいつが悪魔達を生み出したというのか……」

「そうだ。見かねた魔族どもはこいつから霊幹を取り戻そうとしたが、こいつは拒否して悪魔で溢れかえらせ、全面戦争になった。本来ならば少数の魔族だけを生み出し細々と暮らしていくハズだった魔族だが、こいつが地獄の大地を構成する霊子を殆ど悪魔に変えてしまった。最後にはキケンタイ率いる代理魔王勢力が勝利し、こいつの霊幹は霊子に分解され霊子壁の間でずっと眠っていた。キケンタイどもは霊幹を取り返すこともできず、今も地獄は悪魔で溢れかえり、滅びかかっているのだ。

  魔族共はジンセの生み出した悪魔に脅かされ、滅びを待つだけとなっていたところに地獄の穴が開いた。これ幸いと魔族共は悪魔をこの世界に送り出したが、同時に霊子も出ていってしまい滅亡までのカウントダウンはさらに加速した。だからキケンタイ共は新たなる安息の地を求めてこの世界にやってきたのだ。」

 一同絶句した。

 本当だとしたら悲惨すぎる。

 無能なリーダーのせいで戦争が起き、その時の傷跡のせいで滅びの危機が訪れたという……

「お、お前はそんな無能と、何故一緒にいるんだよ!?」

「このくらいが良いんだよ。裏表もなく、難しいことは考えないし気にしない。恐怖で縛らずとも容易に扱える。

 人間も魔族も、なまじ知恵なんかあるとすぐに嘘をつき、謀略策略を張り巡らせて他者を欺き、騙し、陥れようとする。貴様の親父のようにな。」

 カイヲはユリナに向き直り、にやりと笑った。

「お父さんは、そんなことはしない!」

「良く言えるな!魔王を倒したなどと民衆を欺き、英雄扱いされてチヤホヤされいい気になっているのはどこのどいつだ!」

「それは……!違う、お父さんも帝国の皆も世界の平和のために今も魔王や魔族と戦っている!いい気になんてなってない!」

「何が平和だ!帝国が出来て世界が平和になったか?魔界の混沌を深めただけだ!魔カイ連合帝国時代のほうがよほど平和だったわ!貴様らが魔族を悪とするプロパガンダで人間共を扇動し、平和を乱して混乱を招いた、その結果がこれだ!何が魔界不可侵の原則だ!好き勝手に荒らしておいて、手に負えなくなったら放置か?都合が良すぎるんだよ!虫酸が走る。哀れだよ貴様らエクゼスナイツも、帝国の愚民どもも。ペテン師のサマなんかに騙され続けても平和だ幸せだなんだってマヌケなままでいられる。あいつに皇帝の器なんて無い。僕の足すら治せなかったあの嘘つきには、何もできはしないんだよ!!」

「早く地獄の穴を開けさせろ。」

 ジンセが口を挟む。

「黙れよ低能!僕に指図するな!ユリナ・イングラスオンに、穴を塞ぐお前ユーシャとか言ったか。お前らだけは生かしておいてやる。サマの目の前で地獄の穴を開かせて、自分の娘が世界を滅ぼす瞬間を見せつけてやるのだ。」


 カイヲがユリナに向けて手をかざした。



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