0.魔界に響く咆哮
3/16までにアップした分の再編集版です。
最新話は3/23(日)朝6時アップ予定
ウゼェんだよ!
死ね!
消えろ!
人間ごときがしゃしゃり出てくんじゃねぇ!
クソの役にも立たねぇ雑魚はひっこんでろ!
全力の魂の咆哮が魔界にこだまする!
男の拳を中心に、凄まじい轟音とともに爆発が起き、爆風が全てを吹き飛ばした!
その日、魔界の町が一つ無くなった。
その様子を街から離れたところから、車椅子のに乗った青年が忌々しげに眺めていた。
「あの馬鹿、またやりやがった……」
—--
数日後、イングラス帝国王城の廊下にて……
「町が消滅した!?」
青年は思わず声を上げた。
彼の前にいる、杖をついた小柄な老人が頷く。
「左様、魔界からの報告じゃ。町が滅びること自体は珍しくはないが、前触れがない。
これまでとは違う、何か異変が起きている。
それに、これもまだ噂に過ぎないが、新たなる地獄の穴が開いたとの報告も上がっておる……」
「そんな、いくら魔界でも、地獄の穴が新しく開くことなんて……」
青年がハッと目を丸くする。
「まさか……!」
老人は指を立て、シッと、青年の言葉を制した。
「それ以上は言うな。だが陛下もおそらくと、仰っている。エクリードよ、魔界へ飛べ。地獄の穴の異変の原因、必ず見つけてこい!」
「わかった!」
そう言うと二人は分かれて別々の方向に歩き出した。
そんな二人のやり取りを、影から盗み見る一人の少女がいた。
「魔界で地獄の穴かぁ……面白そうじゃん。」
そう言って少女は、不敵な笑みを浮かべた。