表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/50

12.魔界の奴隷VS炎の剣士

3/16までにアップした分の再編集版です。

最新話は3/23(日)朝6時アップ予定

 外で見張りをするセイランは寝付けずにいた。

 魔界人の性だ。

 危険な目に合うとなかなか警戒を解くことが出来ない。何日も眠ることが出来ずに過ごすことだってある。


 ただ逃げるためだけにこんなに走ったのは久しぶりだ。それくらい今日の現場は、セイランの人生の中でも滅多にない危機であった。

 相手はたった2人だったが、体がピクリとも動かず、頭の中が絶望に埋め尽くされて死を受け入れようとしているような感覚。


 あの時もそうだった。

 幼い頃の記憶。

 幽閉されていた施設への悪魔の襲来。

 施設の大人も売られていくはずだった子供達も、全てが悪魔に飲み込まれていくなか、セイランは一人で逃げ出した。


 初めて経験する外の世界への感慨もなく、裸足で、裸同然の格好で、ただただ逃げ続けた。それでも悪魔は追ってくる。


 一晩逃げ続けて体は完全に動かなくなった。

 暗い森のなか、悪魔達のうめき声と、瞳が放つ禍々しい輝きに囲まれる。

 初めて外の世界を知ったその日に、彼女の世界は終わりを迎える。

 そういう運命なんだ。受け入れるしか無い。


 一斉に飛びかかる悪魔に抗う気持ちも失せた。静かに目をつぶり、声を上げることもなく、動かず死を受け入れた。


 その時だ。

 視界がパッと明るくなったと思うと猛烈な勢いで炎が上がった。

 炎に遮られた悪魔達は後退りしてセイランから離れていく。

 さらに強く、激しく燃え上がる炎。

 悪魔達が狼狽える中、巨大な炎の刃が悪魔達を塵に変えていった。


 その炎の刃の元には、一つの炎、いや、一人の、炎を身にまとう男の姿。


 セイランに背を向け、庇うように悪魔達をなぎ倒してく、その炎の男がゆっくりと振り向いた、その瞬間―


 決して消えることのない永遠の炎が灯ったのだ。



 セイランの、ハートに……



 ハッと目を覚ました。

「ヤバっ、寝てた。」

 しかも最悪な夢……

 こんな夢を見るのも地獄の穴の事ばっかり考えているからだ。

 もうよそう。

 地獄の穴のことは忘れて今までどおり生きていく。


 ユリナもユーシャも、無理に力を使わずに生きていく術を教えてあげれば良い。

 過去に縛られずに、あの子達とまた楽しく過ごせば良い。

 改めて二人と話そうと思って立ち上がったセイランだったが、そのとき人影が近づいてくるのに気付いた。

 小柄な少女だった。

 ユックリとセイランに近づきながら、彼女はニヤリと笑った。

「セイラン・トレディだね?」


—---


 物音に気付き、ユリナは目が覚めた。

 外を見れば空が白んでいて日の出が近い。

 と、その時、

「やめろ!」

 誰かと揉み合うような男の声が聞こえた。

 慌ててユリナは外に出た。

 そこには、男に両腕を掴まれ、動けずにもがくセイランの姿。

 思わずユリナは叫んだ。

「やめて!セイランさんを殺さないで!」


ユリナの章 〜終〜


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ