愛されたいピエロ
6話です!
やっと過去編が終わります!
〜銭湯までの道〜 (小学生からの湊目線)
雨のがすごいので人に見られることはないが近距離でもはぐれてしまいそうだ。
そう思っていると翔太がこっちに手を出してきた。
これは今日で3回目だ。
「何?」
「いや、はぐれるから手」
「はぁ?」とは思ったがもうなんかどうでもいいと感じたので手を握ってやった。
そうすると満足そうにまた前を向いて歩き出した。
こいつを見るとさっきのピエロという言葉を思い出してしまう。
やっぱり気になったので歩いてるときに聞いた。
「なぁ?」
「ん?なんだい?」
「さっきのピエロってどういう事なん?」
そう聞くと少しためてから話してくれた。
「ん〜じゃあまず先にピエロっていう話は知ってる?」
その話を聞かないと先にいけなさそうなのでしぶしぶその話を聞こうと思った。
「知らん」
「じゃあ話した上げよう」
ちょっと偉そうなのがすごくムカつくんですけど。
〜ピエロ〜 (翔太が話してる)
昔々いつも一人で過ごしている少年がいました。
少年はすごく愛に飢えていました。
「誰かに愛されたい」
「誰かに見てほしい」
「誰かと話したい」
「誰かに誰かに誰かに」
毎日毎日そう思っていました。
さすがにその願望を叶えるには何かをしないといけないと思い行動を始めました
取りあえず少年は近くの公園に行きました。
1人でベンチに座っていると話しかけてくれた子がいました。
意外にもその子と仲良く話せた気がしました。
「明日も遊ぼうね」っと約束して帰りました。
少年はそのことがすごいうれしくて次の日に朝一に公園に行きました。
昨日の子はいつまでたっても来ません。
それで夜遅くまでずっとずっと待っていました。
その日は結局来ませんでした。
さすがにと思い少年は一人で家に帰りました。
少年は何で来なかったのか?何で来てくれなかったのか?をずっと考えました。
結果僕じゃだめだったのかという考えに至りました。
そっから必死に好かれる人とはどういう人なのかを勉強をしました。
1つの答えが出てきました。
その答えというのは笑顔が素敵な人でした。
少年は鏡の前で笑ってみようと思いました。
でもなぜか笑えませんでした。
少年は気づきました。
笑うということを子供の頃からやったことがなかったのです。
少年はまた考えました。
どうやったら笑顔になれるのかをよく、よく考えました。
少年は家の奥底から仮面を取ってきました。
すると少年は仮面に色を塗り始めました。
少年には才能がありました。
それは美術の才能でした。
少年は完璧に周りから見ると害がなさそうな顔を作り上げました。
その仮面をかぶって外に出ました。
そうするとたちまちいろいろな人が集まってきて少年はあっという間に人気者になりました。
少年はこれでこれでよかったんだと思いました。
少年はその仮面になれるためにずっとその仮面をつけていました。
幸せでした。
愛してくれる。
みんなが見てくれる。
話してくれる。
誰もが誰もが誰もが誰もが。
すごく幸せの日々を過ごせました。
そっからしばらくの月日がたって少年は自殺をしてしまいました。
そのときにとれていた少年の顔を見てみんなが口をそろえていいました。
「ピエロ」と、、。
~銭湯までの道~ (湊目線)
どうしよう、話を聞いてもよく意味がわからない。
でも楽しそうに話しているこいつの姿を見てるとなぜだか心が落ち着いた。
「理解できた?」
笑顔で前を向いたまま聞いてくる。
「まぁ話の流れは理解できた、けど1つだけわからなかったことがある」
「なにー?」
前を向いたままだが多分今のこいつはすごい笑顔だと思うとすごくイライラしてくる。
「なんで死んだ?」
「へ?」
俺の言葉が聞こえなかったのか。
俺はもう一回言った。
「だからなんで死んだ?」
というと少しためてから翔太はいった。
「わからない」
「は?」
思わず口に出てしまった。
だってこいつから話しといて何でそこがわからないんだよ。
「だって僕はピエロ君じゃないし、ピエロ君みたいな生き方をしたいとも思わない」
また少しためて言った。
「ピエロ君が死んだ理由は湊が一番よくわかってるんじゃないの?」
俺はすぐに否定をした。
「わからないから翔太に聞いてるんだけど」
「でも湊ってそういう生き方してなかった?」
そう聞かれてやっとこいつが俺のことをピエロって読んだ意味がわかった気がした。
「どう僕が湊のことをピエロって読んだ理由がそろそろわかってきたでしょ」
「お前は一体どこまでお見通しなんだよ」
そういうと「ふふん」と言ってすごく笑顔でこっちを見る。
「まぁ一つピエロ君と君って決定的な違いがあるの、それはわかる?」
「わからない」
俺は翔太の方を真剣に見た。
なんというかどうしよもなく答えが知りたかったから。
すると翔太は俺を手を繋いでない方の手を口に当てて言った。
「ないしょ!」
その瞬間雨が止まった気がした。
まだまだ時間は夜遅くだったが翔太の事を明るいスポットライトで空が指したような。
そんな気がした。
「は?」
(翔太目線)
はぐれそうで湊が不安そうだったから手を差し伸べてあげただけだし、こっちだって色々あるんだよ!この事を湊にニヤニヤ顔で聞かれたら多分殴っちゃうだろうな