いじめの白状
新シリーズです。
よろしくお願いします!
〜教室〜(先生目線)
もうすぐ短い針が6を指す、早く吐いてくれれば帰らしてやるのになんでこいつは何も言わないんだ。
空は夕暮れでカラスの声まで聞こえる。
俺はこいつと1つの教室に2人で向かい合っている状態だ。
俺達の間にある机の上にはこいつのバカとかアホとかデザインしてあるノートや水に濡れてぐちゃぐちゃの上履き。
「先生、ずっと言っていますよね?俺は虐められてないって、てか誰ですか?」
も〜ずーーーーーーーーっとこれ、どうやって聞いても目の前にいる奴は毎回毎回こうやって答えてくる。
「もう帰っていいですか?」
これもセットだった。
俺の目の間にいるのは小林翔太という男だ、右耳にピヤスをしていて前髪をセンター分けにしている。
顔が妙にイケメンでむかつく。
「帰っちゃだめだし、もう証拠は目の前にあるし白状するまで絶対に帰さないからな。」
俺は力を込めていってみたのだがこいつは最悪と思っていそうな顔をしている。
こいつまじなんなん?こっちがここまで考えて時間を取ってやってるのになんなんだよ、その顔は!
「てかさ、お前さ、早く言わないと今日教室にあいつが入ってくるんだけど、大丈夫そ?」
そういうとこいつは顔の表情がわかりやすく動いた。
所詮子供だな。
「あいつっていうのはその、、、?」
自分の生徒が俺のせいですごく心配そうな顔をしているのに罪悪感がわかない教師何て者はいない。
これはおれが折れるしかないな。
「ごめんごめん、上滝じゃねぇからそこは安心しろ」
そんなことを言うとまたわかりやすく安心したように胸を下ろす。
やったのは上滝達か。
正直言ってもう逃がしてあげてもいいんだけどこいつに会うことであいつが学校に来るようになるかもしれないし、こいつの口から言わせたいとは思うしもう少しだけここにいてもらうか。
(翔太目線)
上滝じゃないことに安心してると目の前にいるよくわからない男は急に真面目な顔をしたり、こっちを向いてニヤニヤしてたり。
気持ち悪。
こいつが何を考えてるかがよくわからなくてなんて言えば帰らしてくれるのかよくわからない。
多分こいつは誰にいじめられているのかを知りたいんだと思うから適当なこと言ってごまかして帰るか。
「先生、俺はいじめられてないし、いじめられてたとしても大丈夫なので気にしないでください」
そんなことをいったら先生は急に机にバンと音を立てながら立ち上がって俺に向かって叫ぶように言った。
「そういってみんな俺の前からいなくなっていくんだよ!」
俺はびっくりして何秒かは何もいえなくなっていた。
普通はこう言うのには聞かないようにするのが普通だと思うがこの年で好奇心に勝てというのには無理がある。
「あのそれってどういu」
「そんな事より早く言わないと来ちゃうよ」
先生はちょっとスーツを直して席にまた座った。
こいつちゃっかり俺の話を遮ったな。
まぁ今度その話は聞くとして本当に一体誰が来るんだよ。
そんなときチャイムがなった。
「先生6時ですよ、もう来ないんじゃないですか?」
そう先生に聞くとやれやれといっているような仕草をとった。
「あいつはいつも10分遅れてくるんだよ、てかそんなことおまえが一番知ってるんじゃないのか?」
俺はその来る人に心当たり、、いや確信した。
早く帰らないと。
「どうしたんだ?顔色が悪いぞ」
明らかに先生のニヤニヤが増している。
本当に気持ち悪い。
僕は早く帰るためにどうしたら何を言えばいいかを必死に考えた。
少しずつ情報を漏らしていってもう出ないって思わせるしかないか。
「わかりました。話せばいいんでしょ話せば」
「うん、そうそう」
くそ絶対にこれが狙いだよな。
これだから大人は。
「ノートや上履きをこんなんにしたのは上滝達です。でも僕は同意の上だし別にいいんですよ」
今言ったことは嘘と真実が半分ずつ混ざっている。
結構いったよね。
これぐらいで返してほしいんだけど。
でも多分まだ聞くよね。
早く返してくれないとあいつが来る。
早く、、、。
「なるほどなるほど」
「でもその情報の中には嘘の部分もあるよね?」
やっぱりばれるか。
「何か問題ですか?」
俺は真面目ないやちょっと睨んでいるような顔で言った。
大丈夫、とりあえず先生から帰っていいって思わせればいい。
もうすぐで6時10分になる。
急がないと。
「言いたくないことを無理に言っているんですよ?それは嘘も入りますよね」
そう言うと先生はどうしよっかなーと思っているように軽く体を左右に揺らした。
「そうだけどさ、俺は真実が知りたいわけ」
知ってるわそんな事。
「てかさ、話に突っ込んでほしくないならもっとうまく嘘をついたらどうでしょうか?」
うるさいなー。
ぱっと思いついたのを使ってるだけなんだからそんな良いのは出てこないわ。
「このノートとか上履きを同意してるって?そんなわかないはな、お前はなんだドMなのか?」
そう言って机の上にある俺の荷物を指さした。
マジなんなんこいつ?そんなわけないし、まじうぜー早く家に帰りたいだけなのに。
とりあえず否定しないと目の前のやつがニヤニヤしてきてる。
「ドMじゃないし」
今もっとニヤニヤがました気がする。
(先生目線)
やっぱり所詮子供だな。
俺は生徒を心のなかでかわいがっていると廊下からドタドタと走っているような音が聞こえた。
俺の生徒はというとその音を聞きさっきより顔色が悪くなっている。
時刻は6時10分そろそろか。
途端に俺は昨日見たアニメのセリフが口から出てしまった。
「翔太?」
生徒は顔色が悪いまま廊下へと向いていた顔をこっちに向けた。
「はい、先生どうしましたか?」
その言葉は少し震えていた。
持ち前の演技があっても絶望は隠せないよな。
「チェックメイトだね」
(先生目線)
チェックメイトと言ったあと翔太は一瞬「は?」みたいな顔をした意味を知らないとは全く学がないな