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二話

俺が一目惚れしてから、一週間が経った。


 学校生活にもなれ始め、友達もボチボチできている。よそよそしかったクラスメイトも、少しづつ和気藹々とし、クラスがなんとなくいい感じになっていっているようだった。


 この学園で学ぶ事はとても面白く毎日が発見。たった一週間だけど、濃密な時間を過ごしたことによって、俺は自分の成長を感じられている。


 このペースで行ったら卒業までに、最強一歩手前くらいまで行けちゃうんじゃない? いや、いっちゃおうかな?


 俺の背中から生えない堕天使の翼も背中を押してくれているようだし……

 っと、それより俺の天使さんはどこかな?

 ちょっと遅刻しそうじゃない



 その時、ホリィはバタバタと走って教室のドアをくぐってきた。

 ほんのり赤く染まった顔で教室の時計を見て一安心したようだった。


「ふぅーセーフ! 危なかった」

 

 現れた、マイ天使。朝日に照らされた銀髪が美しく輝き、ちょっと汗ばんだその額も素晴らしいです。そして相変わらずの小首を傾けたぶりっ子具合。


 そんなに手で扇いでも意味ないよ? パタパタと口で言っても意味ないからね?

 

 俺がホリィを好きになったからかな? ホリィがブリッ行動してると恥ずかしさがこみ上げてくるんだよな。そんなブリブリせんでも……ってさ


 俺はホリィのなんでもないのになぁ……不思議な感覚だ――


 こういう感情って恋したら、感じるもんなのか?


 好きな人が目立つと、ちょっと恥ずかし……


 好きな人が変に注目されるとなぜか恥ずかしさを覚える


 マジで俺には関係ないのに――




 そうそう、この一週間でわかったこともあった。



 やっぱり息を飲むほどの可愛いさ――ってのは置いといて、ホリィには幼馴染がいて、その人は一つ上の特進クラスの超イケメンらしい……


 幼馴染のイケメン……まだ会ってないけど、油断ならぬ……


 というか、現在ただの友達? チーム魔歴の一員である俺がホリィの幼馴染の先輩に会う機会なんかあるかわからないけどね……ホリィの口から他の男を褒める言葉とか聞きたくない……


 あの瞬間ってけっこうグサッと心に刺さるんよね。胃袋をつねれるような気持になる。痛いわけじゃないんだけども、ズシっとくるというか何というか


 それと……


「おい、ホリィおいていくなよ! お前が寝坊したせいで遅刻ギリギリになったってのによ」



 こちらが、もう一人の幼馴染のリテさん。燃えるような赤く長い髪を靡かせ、すらっとした高身長。勝気な目をし、言動からも伺える姉御肌。この方も当たり前のようにびっくり仰天美少さん。お胸も良きかな……


 こちらも、かなりのレベルでごわす……


 てかこの学園に入るのだけでも、難関なのに全員特進クラスって、ホリィの周り優秀過ぎるだろ……


 顔面もね……



――



「ジーグゥーおはよう」

「おはよう、ホリィ」



 うん、今日も可愛い。そして、ブリッてる。そんなに首捻って痛くないのかい?

 可愛いから痛みさんも、優しく痛んでくれるのかな?


「おーい席に、つけぇ」


 おっと、まったく意味不明なこと考えてたら、いつの間にか担任が来てた。朝礼か――



「お前ら、部活動はなににするか決めたか? やるやらないは自由だけど、余程の理由がない限りは入っておいた方がいいからな?」



 部活動――百年ほど前に現れた魔王を討伐するべく、異世界から召喚された勇者様が広めたものだ。


 学校生活には必須やろ! との、ことらしい。


 運動系から、文化系、趣味系等色々なものがある。


 運動系なら同じく勇者様が広めた、ヤキュウやサッカー、バスケ、バレーが人気だ。大会なんかもあるし、プロとしてそれで大成功している者も大勢いる。


 国民に大人気の娯楽だ。


 まぁ、そんな経緯があるし、我が学園は世界中の優秀な人間が集まる場所、部活動を通して少しでもコネは作っといたほうが良いっていう理由もある。

 部活動で築いた絆は、中々強く一生ものになりえる。


 だからこそ、余程の理由がない限りは入部を勧めているのだ。


 ちなみに俺は、子供の頃からヤキュウが好きだったから学園でもヤキュウ部に入るつもりだ。



  ホリィはどうするんだろう? もしなにもないなら、マネージャーになってくれないかな。


 やっぱりマネージャーがいるのといないのでは大違いだからなぁ。


(ジーグゥー! 頑張って! 今日の試合に勝ったらチューしてあげる……ぞ)


 なんつってね。たまらんな……


「ホリィはやっぱりバレー部に入るよぉ、リテはどうするの?  一緒にバレー部に入ろうよぉ」


 

 ガーン……俺の夢が一瞬で消えた……

  

 でも! でも! ホリィのユニホーム姿も見たいし、プラマイゼロか。ボールをアタックするとき、ジャンプしたらやばそうだな……なにがやばそうかは秘密だが……



「パス、私はぁ……ヤキュウ部のマネージャーにでもなるわ」


 ん? 今俺の方チラッと見た? 


「えぇ、一緒が良かったなぁ……でもリテはヤキュウ好きだもんね……仕方ないか、はぁー」


「どうせ寮で一緒なんだから、良いじゃねぇか」



「もぉー、そういう問題じゃないんだよ。好きな人とは一緒にいたいのぉ。そんな事もわからないなんてリテのニブチンさん」


 はい、その気持ち痛いほど分かります。

 だから、やっぱりマネージャーになってください。

 いや、俺がバレー部に入ると言う選択肢もあるのか? いやでも流石になぁー俺も普通にヤキュウ部入りたいしな


「はいはい、わかってるよ、だからいつもこうしてお前と一緒にいてやってるんだろ? ったく世話の焼ける幼馴染だよ」


「えへへ、やっぱりリテちゃんは優しいなぁ。だぁーいすき」


 俺も是非とも、いつまででもご一緒したいです。ホリィとリテさんの会話を聞いているのは楽しい。俺と話しているときとはまた違うホリィを見れるからだ。

 そんな新たな一面を見れる最高の時間だ。


 というか、心の中で二人の会話に交じってるのダセェな……


 でも、そんなに頻繫には話掛けられないんだよ! だって、俺内心ではエロい妄想とかしてるし、痛い事も言ってるけど……



 ヒソヒソ

(ねぇねぇ、ジーグ君って、イケメンだしいつも落ち着いていてクールだよね?)

(わかる! かなりクールだよね? きっと頭の中では、将来の事とか、難しい魔法術式とか考えてるよね?)



 そうなんです! ちょっと口数が少ないからクールだよね? とか言われちゃうんです! でも、本当はそんな事ないんです! どこにでもいるスケベ男子なんです! 大好きな娘の事想像して、くだらない妄想してる、あほの子なんです……ただただ、恥ずかしくて、緊張しちゃって、拗らせてて、女の子とあんまり話せないだけなんですぅ!


 ホントは楽しく女子たちとおしゃべりしたいです!

 なんだったら、あなたたちとも普通にお話したいです!

 


「ジーグゥーは部活どうするのぉ?」


 あ、ちなみにホリィとリテさんは俺の前と斜め横だからすんなり会話ができます。


 ……できるかどうかは別としてね



「俺はヤキュウ部に入るよ」

「えぇ! そしたらリテと一緒になるじゃん! ずっるぅーい」


「なにもずるくねぇだろ! そっか、私はヤキュウ部のマネージャーになろうと思ってるんだ。よろしくな?」

「うん、よろしくね」


「……いつもはホリィに()()されて話せなかったけど、これからは同じヤキュウ部同士、仲良くしようぜ」



 なんか、独占とか言われちゃって……なんというか、冷やかされているような、でもちょっと心地よいというか。冷やかされるのって恥ずかしいけど、なんか心がわくわくしちゃうんだよな――



「そんなぁ! ホリィ仲間はずれにしないでよぉ……えーん。ジーグゥーはホリィを仲間外れにしないよね?」

「……」

「あぁ、仲間外れにするつもりなんだぁあ!」


「あ、違う違う! ちょっと考え事してて……仲間外れなんてしないよ? チーム魔歴の副隊長だからね」


「うん! それと平隊員も兼任だよ? 隊長、ホリィ隊員を見捨てないでぇー」

「わかってるよ。着いてきたまえホリィ隊員」

「ラジャーであります。ジーグゥー隊長!」


 ビシッと敬礼するホリィは可愛かった。だけどリテさんは大きくため息をついていた。


「はいはい、()()()()はいいから」


「ぶー! ()()そんなんじゃありません!」


 グスタフッ

 俺は心で吐血した――

 

 え? てかこれ何? 何この会話、なんか絶妙な気分で嬉しいんですけどぉお! ”まだ”ってなに? まだって!?まだだってぇ?! それってそういう未来もあるってことよね? あり得るってことよね?


 え? これって、もしかしていけちゃう? もういっちゃおうかな? どうする?



 ……いっちゃうか! よしっ! 早速放課後に――


「あ、二人共ヤキュウ部入るなら、()()()()に言ってこよう。リテとジーグゥーをよろしくね? って」


 少し顔を赤くしつつ、いつもとは違う表情でそう呟くホリィ


「そんなの言わんでいい、ホリィはただターチスに会いに行く口実が欲しいだけだろ? 私らを口実にすんな。普通に会いにいけばいいじゃねぇか」


 図星を突かれたからだろうか、ホリィは俺には見せない苦笑いをして、頭をポリポリとかいてごまかしていた


「えぇ、だって恥ずかしいもん……」


「ターチスも来たら喜ぶから行ってこいよ」



「んー……行ってくる、幼馴染なんだし普通の事だもんね。あいたくなっちゃったし……ちょっと行ってくる」

 んー、と悩んでいる素振りは見せつつも、その言葉を待っていたであろうホリィは顔をパッと明るくして、リテに微笑んでから教室の外に向かっていった。

 きっと今までも、ホリィの待っている言葉をくみ取って、その言葉をリテが返していたんだろうな――


 誰しも経験があるだろう。言葉の壁あてみたいなもんだ。欲しい言葉は決まってて、その言葉が来るように話始める。そうすれば、その言葉が返ってくるから、動き出せる。

 そう思えるほど、このやり取りはスムーズに流れて行った。


「おう、行って来い行って来い、ターチス成分をしっかり補充して来いよ」

 

 リテさんが、抱きしめてキスする素振りをやってみせて、ホリィは顔を赤くした。


「リテのばかぁ」


 セクハラも混じってるな……


「かっかっか」



 はぁー……とにかくさっき飛び出していこうとした、俺の心のわんちゃんはどこにいったかな? 告白なんてまだまだ早いから帰っておいで?

 帰って来たね? うん……よし、なら――丈夫な縄を買ってこよう、うん、この勇み足わんちゃんを縛り付ける丈夫な縄を買ってこよう。


 あと、俺の中のあわてんぼうわんちゃんを繋ぎとめる首輪とリードも必要だ……


 はぁああぁああ……


 ……あぁ、良かったぁ。マジで良かったぁあ、今調子こいて告白しようもんなら


(なに勘違いしてんの? お前なんかただのクラスメイトだっつうの? きめぇんだよ!あぁあん?)



 って、こっぴどく振られていたに違いない……巻き舌怖い……






()()()()()お前、ホリィに惚れてるだろ?」






 ……



 ……






 ……




 んなぁ! ……んなぁんですとぉおお?







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