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幕間『completeness』
記憶を得た。
愛情を得た。
未来を得た。
その炎が、全てを満たした時、私は全てを失った。
萌芽は失落であり、完全こそ欠如だったのだ。
それでも炎は満たされた。
私は、フレン・ヴィヴァーチェ。
「あなたは、誰?」
荒廃したブラギ村に、目を細め佇んでいる女がいる。
同じ暁色の髪をした女だ。
話しかけると、女は戸惑うように驚くように、しかし、懐かしむように、私を見た。
靡く髪を押さえ、泣き出しそうな顔で唇を動かした。
「私は、フレン・ヴィヴァーチェ」
「————」
「だから、お前を殺さなくちゃいけない」




