冒険者ギルドでの受難1
多分更新頻度は週1になります。もしかすると、土曜日に更新があるかも。程度です。
僕は今、冒険者ギルドに予備知識なく来たことに後悔している。外見も立地も、何一つ変わっていなかったから、中に入った時に驚いた。いや、まぁ時が経っているだろうのに一切変わっていないのもどうかと思うよ?街の雰囲気は少しは変わっていたけれども。それでも、ほんの少しというかひとかけらぐらいだけどね……。
それで、僕が驚いているものは簡単だ。というか至極単純。だって……さ?
誰がなんでどういう理由で「ゼロのハナ」像があると思うの!?意味わかんないよ⁉︎
因みに、初めたての初めて来た人達は絶対に驚くらしい。そりゃあ、そうだろうなぁ…。僕自身嬉しいものではないし、他のプレイヤーにとっては更に……ウザいだろう。僕達に許可をとって欲しい。絶ッ対に許可しないけど。本人の許可いらないの?って聞いたら、表向きの運営会社が許したらしい。そこにゼロのハナの父親がいるとのこと。
あとで父上を締めておこう、そうしよう。父上は、僕達兄妹よりも弱いのになんでこんなことが通ると思っているんだろうか?幸い、『ゼロのハナ』の姿は本来の容姿とかけ離れているから良いが、本来の容姿と同じ容姿で遊んでいたらかなりの不便が出てきたぞ?表向きの、と言ったし雰囲気的に魔族かな?と思ったので、簡単に確認したところ完璧に魔族だった。気付かなかったけれど、アイル叔父上だった。アイル叔父上ってなんか影が薄いんだよねぇ、それはもう僕でさえもあれ?どこに行った?ってなってしまうぐらいには影が薄すぎる。
凄く良い笑顔なんだけど、嫌な予感しかしないな……。アイル叔父上までゲームをするような感じになっているんだ。因みに、父上を締め上げるのは止められた。アイル叔父上がもうすでに終わらせているとのこと。凄く良い笑顔は父上への制裁を思い出していたかららしい。「君達に無許可なのは、君達に聞くまでのことじゃないからネェ〜。久々に暴れたいと思っていたシィ、本当にちょうどよかったヨォ?でも身内案件はやめて欲しかったナァ」とのこと。喋り方が変なのは、魔族特有の言語に引っ張られているせいだ。
受付に行こう。なんかもう嫌だけど。
「いらっしゃいませ、どの用事でしょうか?」
「預金」
「畏まりました。ギルドカードはお持ちでしょうか?」
あるわけがないよ。僕だけ3ヶ月禁止だったんだし。その分、日々の鍛錬のメニューを5割増しにしてやらせてたからもう良いけども。
「ないけど。あ、でも何年前か分からない刀術師証明書ならある。今は何にも就いてないけど」
「ならそちらでお願いします。因みにプレイヤーさん達が来るようになったのは1000年ぶりです」
刀術師証明書を提示し、1億フュール残して他全部預け、1000年後の世界であるという事実に驚く。今日はやけに驚かされることが多いなぁ。1000年後か、ちょうど良いと思えばちょうど良いよね。この世界にArbre enchevêtré達がまだ来ないのは、どういう理由があるのだろう?統一神族関連か……?でも、あの2人には規格外という言葉が似合えど神族や半神族などの雰囲気は一切なかったぞ?
なんて、思っていたが、受付の人の顔は険しかった。
「あの…ギルドマスターに会って貰ってもよろしいでしょうか……?」
「別に良いけど?」
「こちらに来て下さい!!」
なんにもやらかしてないよねぇ、僕。弟妹じゃあるまいし。あぁでも、知り合いがいるという可能性は拭えない。
「こちらにギルドマスターがいます。零夜さんのことは話済みです」
なんか緊張する。というか、脳内に警鐘が鳴り響いている。王族と会うことはしょっちゅうあったけどね、アバターでも生身でも。アバターでは、暴走する魔族を食い止めるようにという嘆願。生身では、魔族の行いに対する罵倒。ウザかったから、僕も言わせてもらったよ。アバターでの方は、後で討伐対象の魔人に給料払おうと思ったけど、そういうのは事情を知る人達ばっかりだったから、遊んでた。魔石の偽装なんか簡単だし。予備の魔石がお城にあるから魔界から取って来てってパシリにしてしまったけど。
「君たちがしていることは、魔物や他の生物に対する魔族の行いと同じでしょ?魔族が人間を食べると言っても人それぞれだし。本気で全ての魔族が人間を食べると思ってるわけ?宗教的に動物食べないとことかあるでしょ、それと同じ。僕は、君たちみたいな外道な生物なんて食べたくもないよ。筋肉だってなんのためにあるの?王は、民を幸せにするためにあるんだろ⁉︎ねぇ、君の胸に手を当ててみて考えてみてよ。君達がしてきたことは本当に良いことだったの?君達の独善で民は苦しめられていなかったの?」
と。今では、その国はかなりの善政を敷いている。あと、国教がなんか変わっていた。魔族とも仲良くするようになったし。国教が、名前が■■■■教だったよね…名前を教えてないはずなんだけど。魔族の奴らが言ったのかな〜?僕と仲の良い神が言った可能性もなきにしもあらず、だけれどね。
で、僕を待っていたのは予想の斜め上だった。
「零夜くん、この度はフィングルド王国に来てくれて本当にありがとう!!久しぶりだね、この国を頼むよ!!」
そこには、CWOでのプレイヤー含む長命種トップのNPC―プレイヤーはヒュンガーと呼ぶ―、赤榁がいたのだった。あ、僕の脳内警鐘は間違っていなかった。僕にとっては、災厄運びとしか言いようのないぐらいに弁明をさせてはいけないことばかり頼みやがる奴。そんな奴がギルドマスターだと⁉︎この国の将来が不安だぁぁぁぁぁ。
全力で帰りたい!!
玲夜の弟妹について(年齢順、同列は双子)
長男:玲夜
長女:世葉 次男:逸夜
次女:呉葉 三男:仁夜
三女:睦葉 四女:菜葉
四男:樒夜
双子が多い八人兄妹。




