愛の消えた者
アルファポリスの神無 誌玲衣という僕の友達のアカウントがあるけど、そこで作品のスピンオフ?みたいな番外編を書いてもらってます!!僕自身の作品も載せてます!!前にアカウント作ったけど、消えて作る気力がないから。
ネタバレ気にしない人は、ぜひ読んでみてください!!
因みに、神無自身の作品もあります。
神無と海霧葉月ってね、僕の同級生と後輩のコードネームからとってます。ごめんなさい(^-^;
「……。どういうこと?」
「あは、お前は気にしないでいいよ〜?気にされない方がいいだろーし。俺らも気にされない方が嬉しいから」
「八岐の呪いに関しては、 秘密を厳守してくださいね?もし、知られでもしたら……八岐大蛇が殺されかねません。八岐大蛇の8柱が死ねば、御主人様も死にますので。そういう死に方は望まれていないようです」
死にたいという割には、死に方を制限する主神の意味が理解できない。簡単に死にたくはないってこと?さっさと死ねるなら死ぬような人だと思ったけど……。心がいつまで持つのかはよくわかんないんでしょ?
「簡単に死ねるなら死ねばいいじゃん」
「そういう問題ではないのです。簡単に死ぬことを、八岐の呪いが許すはずもありませんから。何回も、何回も、御主人様は試しておられます。それでもなお、今、生きてしまっているということは……そういうことです」
「死なせてほしい、と願っても、呪いの餌食となるものがいなければ呪いは成り立たない。この呪いは、他者に移すことが不可能だから……死ぬまで引き摺る」
死ぬまで、か……。呪い殺されるまで、本当の意味で死ねずに生きなければならない。どれだけ苦痛なことなのか、僕には分からない。心が死んでも、消えかけても、自分の意思では死ねない。ある意味で、鬼畜な拷問よりも遥かに対象者に苦痛を与える。天牢なんかより、地牢なんかより。他ならぬ、神に到達せし者が苦痛を受けるのは……なぜ?
「愛するものを奪われる苦しみなど、御主人様にはありません。愛し方さえ、そもそもがまともに知らない方ですから。あるのはただ、死にたい時に死ねない苦しみです。御主人様は、苦しみからは逃げようとする性質の持ち主です。基本的には逃げませんが」
「確かに、邪神のことは愛している。だが、それが友愛だと言われたらそれでも済ませられる。異常な執着愛だと言われても、それで済ませられる。御主人は、感情のカタチが歪だからな」
愛もよく分からない神は、今までいなかった。僕でさえ、きちんと持っている。持っていないからこそ、1番であり続けられるのだろうけども。どこか向こう外れな愛を抱いてしまっていたとしても、神々はなんらかの愛を抱く。それすらも殆どないってこと?
愛を抱かない神は、愛し子を作らない。愛し子のいない神は、魂が消えやすい。そして、呪いの制御はしやすい。愛し子は、必須ではないが作るのが暗黙の了解というもの。それをしないということは…………神としての本質を否定しているということ。
神が博愛主義者な訳がない。それは、そう。でも、何らかのカタチでは、全員ある意味の博愛主義者となり得る。番はいるのに、愛し子はいない。何も愛していない。そんな神は、彼女が主神となる前よりも遙昔の殺神以外にはいない。
感情の壊死は、心の破壊された者は……亡霊と成り得る。感情の壊死も、心の破壊も、まだなされていない。でも、そうなることは想像に難くない。何がゆえに、呪いが生まれたのかも、白雪と紫苑は説明をするつもりはないようだ。
「愛、っていうのが分からないのは黒夢と同じ。でも、より重症なのが御主人。御主人が愛を知っていたのは……2回だけ、って邪神が言ってた」
「2回、って?そんなに転生を繰り返してんの?」
「これで、102回目。初めと101回目だけが、御主人様は愛を知っています。愛せない方ですが、これでも」
「愛を知るのが、2回だけ。初め、つまり1回目ってことは、神にもなっていない頃の話。101回目、これは……初めから近くにあれた時の話」
「心など、心など‼︎御主人様の人生には邪魔なものでしかありませんでした。より長くいるためには、確かに心がいります。ですが、心を隠し殺してまで、いりません。そうと……御主人様は判断なさいました。御主人様の御心のままに動かすことが私共の使命ですから。それ以外にすることはございません」
愛を知るための手段さえも、消す。消し去って残ったものからなっているのが、主神としての本体。他の感情は、どこに消えた?そもそも、消せるもんなの?
「この話は終わり。ギルドの方に戻ろ?」
「ずっとそこで聞いてた?もしかして……」
「あぁ。特には問題のない範囲だったと思うが……?」
「確かに問題はないですね。では、行きましょうか?人員は呼び済みです」
仕事が早いな……。主神=海霧葉月。邪神=橋本樹。他の奴らには、気付かれない方がいいだろう。何を考えているのかもよく分からないような奴等ばっかりだし。
……………愛のカタチ、か。僕も、歪なのかなぁ?硝子のような瞳に映った僕の姿は、そんなふうには見えなかったけど。でも、そういうことなのかな……。神の中で歪じゃない方が、少ない。基本的に、本人自身は愛に飢えているのだし。
食糧に飢えた獣のようなもんか……。それを必要としていないのに、"海霧葉月"というあくまで人間範疇の能力を超えない少女は、歪である。環境的なものもあったのかもしれない。
それでも、僕は……海霧葉月に、誰かを愛する気持ちがあるのではないか、と思ってしまう。




