少年Rと少年Hの独白
お久しぶりです。学校にもちゃんと受かって、学校に慣れました!!ので、再開します。
文字数増えたな、と思う方もいるやもしれません。
ー何かを求めることを諦めて、今あるものも大体は捨てていった。全てのことがどうでも良くて、全てのことが関係ない。ー
ー何かを求めるために何かを捨てることをやめた。全部全部全部、求めても、別にいいよね♪諦めるなんてまだまだ早いよ。ー
◇◆少年R◆◇
笑いたければ笑えばいいーそんな言葉ほど無責任な言葉で、腹の立つ言葉はない。僕が何をしたいかとか、僕が何者でありたいかとか、自分でも意味が分からないのに。何も知らない人が知ったような顔をして喋るのが本当に嫌いだ。長い間生きている僕でさえ、長期間かかってやっと確立していた筈なのに。
それすらを忘れてしまう程の事があったという事は分かる。でもそれが、何だったのかなんて一切分からない。僕の記憶能力は、人のソレではないのに。つまりは、僕の異常自体をどうこうできる存在と言う事になる。一介の人間でなんとかなる存在ではない。もしくは、思い出したくもない程の苦しみを味わったのか。これが1番想像できて、尚且つ1番現実的ではない事だ。
だって、昔から損得勘定でばかり動いて、感情を伴った行動をした事が皆無の筈だから。行動を起こす場合に、面倒・疲れた・眠い等のべつに制御できなくはない感情ならば、付随させる事がある。そこら辺はおかしいかもしれないが、その時の気分、というもので決めていた。
もし、僕が何かを成し遂げるために邪魔になった物をどうするのかという問題が発生したとする。その中に叶えたいものがあった場合には?僕は、邪魔になったモノは全て捨てた。もう、全部全部全部どうでもいいと、どうにもできないからと割り切って。割り切れるはずの無い事でも、どうでも良かったんだと、自己暗示を掛けるかのようにして。
コレは、僕が別に望んでいた■■ではなかった。だから、どうなっても良いんだ。
そう思うようにして。そうでもしないと、やってられなかった。何回も何回も心が死んでしまいそうになる僕に手を差し伸ばす人はいなかった、当たり前の話だが。心が死ねば、操りやすくなるとでも考えていたのだろうから。実は、その真逆でより難しく、滅多な事では洗脳も認識誤認もできないようになるのだが。だからこそのスキル殺しなのだから。薄氷に等しい、すぐにでも壊れてしまうのではないかと思う程の、なけなしの感情がある。僕には、それだけでもう十分だった。
出来ない事をできたら、なんて願っていても意味が無い。だからこそ、繰り返す日々に意味を見出せなくなるのには、時間は掛からなかった。疑問を持つことも諦めて、体の良い御託を並べることも飽きて、極力誰とも話さないようにした。弟妹や、養子は可愛かったから、ー可愛いと思う感情が働いていたからー甘やかしたけれどもそれも今となってはどうでも良い事だ。
自分でも、なぜこんなにも淡白になってしまったのだろうかと思う。淡白になってしまったのは、必然だろう。僕は、何かを解決する事を目指さなくなったのだから。全力で取り組むこともなく、後ろで只々ニコニコ笑っているだけの御人形と化していたのだから。なけなしの感情が残っているだけの奇怪人形へと。ただ、こなせと言われたり、こういう事をしておくのが攻略に良いという事をする殺戮人形へと。
意見を問われても、相手の意図を汲んで相手の都合の良いようにー後で追及されるのは面倒だから、辻褄と自分の行動が上記を逸しないようにー返答をしていた。勿論、そこに僕の意思はない。都合のいいその場限りの人物なんて、誰も覚えていない。僕だって勿論、彼らの事を覚えていない。それはイーブンで後腐れも発生しない。その筈だった。ただ1人を除いては。
ーーーーーーーだからこそ、目の前にあることを、無かった事にして、また呑気に過ごしたい。
◇◆少年H◆◇
手に入れることのできないものほど、滾るものはない。僕よりも女の子になれる、僕を育ててくれた男の子に何度憎悪と純愛を捧げてきた事か。彼の全てが愛おしく、全てが憎らしかった。あまりにも、一方通行で一度だって届いた事の無いお門違いな恋。誰にでも分かるくらいの、歪み切った愛。色々な人に注意されたけど、僕が一応分別を持って、この愛の異常性を自覚し理解していると分かったからか、特には何も言って来ないようになった。
彼を助けたくても、傍観する事しかみんな出来ないから。何が彼を刺激してまうのか分からないから。その内に、かれのことはわすれる。更には、彼が空気化するように振る舞っているおかげで、彼の幼馴染連中と、芸術方面で認知される事が不可避な者以外は誰の記憶にも残らずに生きてきた。
僕の事も、幼馴染認知にしてくれている事は嬉しい限りの事だ。それと同時に、危機感のないという事実が、僕のことをどうとでもできるどうでもいい存在であると認識しているのだ、と言っている。彼の特別になりたい。それは、彼のことを知る上で気が付いたら抱いていた心。親愛の情ではない事など、すぐに気が付いた。ソウイウコト、をしたくなったり、想像するのが親愛なわけがない事は無知だった幼き頃でも、分かった。友人以上の関係になりたい、そう思ってしまう。自分には到底できない事なのは、分かっている。でも、諦めるつもりは一切ない。彼からすれば、傍迷惑だろうなぁ、と思う。
もし、そうだとしても僕がこうなったのは、確実に彼のせいだ。彼に物心ついた頃から育てられて、彼に知らない方が良かったかもしれない性癖を暴かれて、ちっとやそっとじゃ満足できない身体になった。この言い方だと、少々語弊があるかもしれないけど。いや、少々ではないか。少なくとも、身体関係ではないと言っておく。
だからこそ、僕は彼奴が憎い。彼奴はさして、彼と接点があったワケでもないのに、彼と遊ぶ約束を取り付けた。彼の感情を少し、ほんの少しだけ取り戻させた。その事象は普通ならば、歓喜すべき事なのだと思う。でも、彼には感情なんてものは要らない。彼の過去をきちんと知る故に、彼がまた傷付く姿を見たくない。つまらない死ねない人生であったとしても、彼は感情がない方が、現在の状況では圧倒的にいいと決まっている。
イラっとする事も、彼の顔を見れば無くなる。彼がこれ以上報われない事に対して、首を突っ込んでいって壊れなければいい、それだけなのに。それだけの事なのに、絶対に報われない。そうだとしても、僕は彼についての全てを諦めない。諦めてしまったら、彼についてはもうこれ以上知れなくなる。そんな事態に陥るのは絶対に嫌だった。
自分が度を越している事など、どうでも良くなるぐらいに彼は生きたまま、死んでいる。せめて、生きたまま、少しでも生気を伴うようにさせられたら、と思う。養子である僕の役目は、ソレ。死んだまま、生きているなんて1番最悪の状態にしないためにいる。僕自身の目的と同様で良かったと、聞かされた時に心の底から思った。
茨の道を歩いていたとしても、どんなに慣れて鈍くなってしまったとしても、少しは足裏の皮膚が切れる血が出る感覚が残る筈なのに彼は茨の棘さえもどうでも良い、特に感覚に残らないもののようだった。見ている事さえもが怪しいのではないかと疑ってしまうのは致し方ない事なのかもしれない。それ程彼は一切の感情の起伏がなく、末端神経も機能していなかった。
ーーーーーーーだからこそ彼は、無知で限りなく彼に能力的に近い彼奴といてはならない




