フレンドリー・ファイアと■■■■
受験生だから、うん。ごめんなさい。火曜頑張ります。受験もだけど。
フレファイと、とある人です。零夜くん視点から、2人の知り合い視点になります。
プレイヤーには悪意を持っている人がたまにいる。PKと言われる類の人は大概がそうだが、フレンドリーファイアというシステムを利用する人もいる。味方にも、攻撃が通るかどうかというシステムだ。味方だと思わせておいて、後から眠らせるなり殺害するなりして装備品やお金を持っていく非道なPKが多い。
その中ではフレンドリー・ファイアは遥かに良識的であり、普通のプレイヤーにとっては有難い存在だろう。彼がフレンドリーファイアを利用するのは、悪質なプレイヤーに対してのみなのだから。何も害悪な行為はせずに、みんなとワイワイ楽しんでいるだけなら、モンスター討伐のためのアドバイスや危険な時にフレファイが近くにいれば助力をもらえる。フレファイは、悪質プレイヤー以外にはとても優しいので、色々な人から気にかけてもらえている。
現に、フレファイは絶対に何もしていない・もし刑罰があるのならば、刑罰のレベルを下げろという嘆願書とその署名が大量に届いている。国外からも来ている状態で、なんなら聖国からも来ている。普通の人なら驚くだろうが、フレファイは優しいので聖人かのように伝わっているのだろう。職としても聖人を持っていると知った時は、驚きはしたものの聖国トップにも認められるだろうな〜ぐらいにしか思わなかった。
後、赤榁とアイル叔父上のお話的には聖国が天界。聖国と魔国の仲はめちゃくちゃ良いっぽいから、そうだろう。魔国は、久しぶりに帰って来て魔王が統治しているらしいし。………、一応ゲームとして成り立っているのに帰省の仕方が絶対何か違う。魔国と聖国では、本来の種族と本来の能力に強制的になるそう。アイル叔父上と仁夜の体験談だから、多分そうなのだろう。
僕は何回かフレファイと共闘したけど、フレンドリーファイアは使われなかった。彼は、僕がPKをする意味も僕の利益も知らなかっただろうのに。特に、利益の方はなかったけれど、害虫駆除は僕の得意分野だったし。もしくは倒せないから、というコトなのか。
どっちにしろ、フレファイに目を付けられた外見一般プレイヤーのPKは碌な目にあったことがない。
PKは野良パーティーを組めなくなるという事態に度々陥らせているのが、フレファイ。彼が悪くないとは言わない。だが、彼を怒らせてしまうような行動をする人が悪い。そういう風潮があるのは、ゼロのハナと同じような話である。圧倒的な支持を集める上位陣の1人であるフレファイは、基本的には怒らない。
僕はそれに対しては違うと思っている。現実の彼を知っているが故だろうが。彼は何も信じていない。僕にも共通することだ。彼にとっての損になった人間で、更に他者の損失になりそうなモノの心を折っているだけだ。僕はどこで損失にならずに済んだのか、未だによくは分かっていない。
そして、人によっては恨みを買う。でも、それが現実の話だとしたら?フレファイはきちんとできていない者へのアドバイスに回っていた。そういう事だ、慕われる。その職業がなにかによっては、同僚に妬まれる。職業が教師であったのは、彼にとっては最良で、納得のできないものにとっては最悪であるだろう。
そういう意味では、彼は運が悪かっただろう。教師とは、慕われておいて損はないような職業なのだから。そして、その妬みが他の意味をも含んでいたのだったから。
◇◆フレンドリー・ファイアと■■■■の同僚◆◇
なぜ、俺はこの席で立場なのか。疑問は尽きないが、左隣からは嫉妬の目を向けられている。前に席の配置を変えるように言ったのだが、校長に。だがまぁ、いつもの事だと自分でも割り切れている。
左隣の同僚は右隣の新垣桜荼のことが大好きだということは新垣以外は全員が知っている。新垣は知らない。なぜ知らないのか。いや、分からないのか。新垣ともう1人は、腐れ縁だ。幼稚園からクラスが全て一緒で、今は教える学校が全て同じ。この学園の教師になったから、異動はもうほとんどの確率でないはずだが。
俺自体が色恋沙汰はあまり好きではないから、何か言われれば基本的にスルーをし、しつこい奴には種族を言う。それだけで、みんな離れていってくれる。左隣の幼馴染は共通点があるから普通に接してくれているというよりも似たもの同士だし、右隣の幼馴染は左隣のせいで珍しい方向に堕ちたし。
俺のことを可哀想だと言うもう片世界の幼馴染の死咲は、あのクソガキはいつか事件起こすはずです、と言い、その時に先生が何とかしたらいいと言った。死咲の言葉は、昔から俺にとっての呪縛だ。何がなんでも叶えたくなってしまう。あいつは魅了など絶対に使わないから、俺の隷属本能からきていることがわかる。なんなら魅了については、忌避しているような感じがする。
死咲と俺とでは、波長が合う。彼にとってはフィーアの次に。だからこそ、堕ちて種族が変更してしまった。窮屈な箱庭で、遊んでいる時に。フィーアの事件があって、玲夜がフィーアを忘れてしまったから。忘れたくないのに、忘れさせられてしまったから。その時から、玲夜の顔にはあまり生気が宿っていない。目が虚ろな状態で、何も映してはいない。目が虚ろなのは術にかかっているからではなく、拒絶しているから。■■の能力も使えなくなってしまっている。
そして、新垣関連の厄介事、それが多分CEWOで起こるということも言った。彼は、制限のため参加できるか分からないとも。弟は参加できる用に手はずを進めておくということも。
玲夜の顔に少しだけでも生気が戻っていることに、喜びを覚えた。このまま、少しずつ。フィーアのことは早く思い出せ……と、そう願う。
2人の仲が修繕されてできるなら、結ばれればいいと。見えない糸で雁字搦めにされた俺らに、終焉が来ればいいのにと。
そう思った時に見た、死咲玲夜の顔はひどく悪魔染みていた。
死咲の者にそう思うのは当たり前で、どこか滑稽じみた感想だとしても……俺は久方振りに■■■■が感情を出したことにひどく安堵する自分がいた。
フレファイは面倒な人に好かれているのであった。




