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高校の制服がスカートだった件  作者: humihumi1234
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夏旅行 その2

神社を出た後も、途中下車を繰り返しフォトジェニックな名所をめぐり、SNS映えするカフェに入り、パンケーキとメロンソーダで昼ご飯をとった。行く先々で理恵ちゃんが写真を撮りまくっていたので、目的地の駅に着くころにはすでに夕方になろうとしていた。

「理恵ちゃん、そんなに写真ばっかり取ってどうするの?」

 駅の寂れた雰囲気が逆に良いと、涼ちゃんに写真を撮ってもらっている理恵ちゃんに尋ねた。

「SNSにアップして、みんなから『いいね』もらうの。」

 そういって理恵ちゃんは早速スマホを操作して、SNSに撮った写真をアップし始めた。

「涼ちゃん、最近理恵ちゃんと会わなかったけど、いつもこんな感じ?」

「そうだよ。高校ではSNS禁止されてたから、大学入ってから始めたらハマったみたい。写真アップして、みんなに『いいね』してもらえるのが嬉しいみたい。」

 涼ちゃんもあきれ気味な表情になっている。


 駅から数分歩いたところで、今日泊まる予定のホテルが見えてきた。民宿と旅館の中間のような大きさで、3階建ての建物に全部で10部屋あるようだ。

 チェックインをすませて、2階の部屋に上がった。

「30分ぐらい休憩してから、展望台に行こうね。」

 理恵ちゃんとはるちゃんは、蒼たちに手を振りながら隣の部屋に入っていった。蒼も涼ちゃんと続いて部屋に入ると、窓からは海がきれいに見えていた。

「いい感じのホテルだね。」

「お風呂も家族風呂があるみたいだし、ご飯も美味しいみたいだよ。」

 理恵ちゃんにホテルの手配を任せたが、大浴場を利用しにくい蒼たちの事情を組んで選んでくれてみたいだ。


 荷物を置いて、伸びてきた髭を剃り、メイクを直しているとあっという間に30分が経ち、あわててロビーに降りた。

「遅いよ。」

「理恵ちゃん、ごめん。メイク直しとか、いろいろしてたら遅くなっちゃった。」

 メイクで髭を隠したり、チークで男っぽさを隠したりと、メイクをしないと女の子になれない蒼たちとは対照的に、理恵ちゃんとはるちゃんは、眉毛を書いているぐらいでほぼノーメイクだ。当たり前だがノーメイクでも、女の子になれるはるちゃんたちがうらやましく感じる。

「まぁ、仕方ないか。もうすぐ、日が沈むから急いでいこう。」

 理恵ちゃんの後につづいて、みんなホテルをでて展望台に向かった。


 展望台まであがる階段で、理恵ちゃんが息を切らしている。横にある案内板には、「がんばれ!あと半分」と書かれてある。

「ほら、理恵ちゃん、あと半分だって頑張って。」

「まだ、半分あるの!?」

 涼ちゃんがつらそうに階段を登っている理恵ちゃんの背中を押している。

「はるちゃんは大丈夫なの?」

「ちょっときついけど、大丈夫。やっぱり、蒼ちゃんと涼ちゃん男なんだね。体力が違うね。」

 一見みためは同じ女の子同士でも、その間には男女の差による様々な違いがある。

「蒼ちゃんたち、先に行ってって。理恵ちゃんと少し休憩してから行くね。」

 ひざに手をあてて息を切らしている理恵ちゃんをかばって、涼ちゃんが言った。

「わかった、先に行ってるね。あと15分で日の入りだから、それまでにはきてね。」

 ペースの速い自分たちに合わせるよりも、理恵ちゃんのペースで登った方がいいだろうと思い、涼ちゃんたちを残してはるちゃんと先に行くことにした。


 何とか登り終えてみると、展望台からは引き潮になって表れた干潟に夕日が反射して幻想的な風景が広がっていた。

「きれいだね。蒼ちゃんが見たかった景色ってこのこと?」

「子供の時、まだ離婚してなくて家族が仲良かったころに家族みんなで一緒に来たことがあって、自分一人で旅行に行けると思ったらもう一度見たくなっちゃった。」

「そうなんだ。たしかに、きれいだからもう一度見たくなるよね。」

「それもあるけど、なんとなく家族仲良かったころを思い出したくなってね。ここにきてもお父さんが戻るわけじゃないけど、思い出はよみがえるかなと思って。」

「まあそれもいいけど、これからの思い出を作るのもいいんじゃない。」

 はるちゃんは蒼の手をとった。はるちゃんとこの先どうなるかわからないけど、また今度ここに来ることがあれば、今日のことを思い出すだろう。


「そこの二人、イチャつかない。」

 息も絶え絶えに理恵ちゃんが二人に声をかけてきた。日の入りの時間まであと3分、ギリギリで間に合ったようだ。

「理恵ちゃん、きれいだね。」

 涼ちゃんが理恵ちゃんに声をかけたが、理恵ちゃんは早速写真を撮り始めていた。

「う~ん、上手く撮れないな。」

「理恵ちゃん、写真ばっかり取ってないで、今しか見えないこの景色を一緒に見ようよ。みんなの『いいね』よりも、私と一緒の時間を大事にしてよ。」

 涼ちゃんが珍しく理恵ちゃんに注意している。その真剣な表情に、理恵ちゃんも我に返ったようだ。

「ごめん、そうだよね。写真よりも大切なもの忘れてた。」

 理恵ちゃんも涼ちゃんの手をそっと握りしめた。


 その後ホテルに戻り、お風呂に入った後お待ちかねの夕ご飯となった。夕食会上に行くと、テーブルに置かれていた船盛をみて、理恵ちゃんは写真を撮り始めた。SNS依存はなかなか治らないようだ。

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