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高校の制服がスカートだった件  作者: humihumi1234
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入学式

 4月澄み切った気持ちよい青空のもと、蒼が入学する東西大学の入学式が行われた。蒼は入学式が行われる大学ホールの入り口で、はるちゃんたちと待ち合わせをしていた。

 スーツを着るとちょっと大人になった気がして嬉しい。蒼の前を同じようにおもっているのか、少し誇らしげな表情になっている新入生が歩いて過ぎ去っていく。

 蒼を見つけて手を振りながら、パンツスーツのはるちゃんがやってきた。

「はるちゃん、結局パンツにしたの?」

 高校時代もそうだったが、長身でスリムなはるちゃんはパンツスーツが似合っており、女の子だけどかっこよくも感じる。

「こっちの方がしっくりくるから。蒼ちゃんはやっぱりスカートなんだね。かわいい。」

 はるちゃんは蒼に抱きついてきた。蒼ははるちゃんよりすこし身長がひくく、包み込まれるようになる。


「ほらほら、朝からイチャつかない。」

 いつの間にか近くにいた、理恵ちゃんから突っ込まれた。となりに涼ちゃんもいた。理恵ちゃんはタイトスカート、涼ちゃんはフレアスカートのスーツだった。蒼に「イチャつかない」と言った割に、二人は手をつないでいる。

 大学に入ってもいつもと変わらない雰囲気に、朝からあった緊張感がすこし和らいだ。


「大学って、高校と比較にならないくらい広いね。」

「人も多いしね。1学年3000人で全部で1万人以上って、一つの街だね。」

 はるちゃんと理恵ちゃんがそれぞれ大学の感想をはなしている。入学式が終わった後、お昼ご飯を一緒に食べようと近くのファミレスに入った。食事が終わった後もドリンクバーで、だらだらとおしゃべりが続いている。


「サークルとか部活のチラシたくさんもらったけど、どうする?」

  ドリンクバーでにカルピスソーダのお代わりをもらいにいった理恵ちゃんが、席に座りながら尋ねた。

「理恵ちゃんとはるちゃんは、バレー部に入るの?」

「大学のバレー部は本格的過ぎて無理だから、同好会に入るか、新しいスポーツを初めてもいいかもと思ってる。」

 蒼の質問に、ポテトをつまみながらはるちゃんが答えた。

「私もバレーも6年やったから、もう十分かな。歯学部だけのサークルもあって、そこなら初心者歓迎って多いみたいだから、バトミントンとかバスケとか初めて見ようかな。」

「私も高校の時何も入ってなかったから、何か入ろうかな。」

 涼ちゃんもサークル活動に興味があるようだ。蒼も興味はあるが、男なのにスカートを履いている自分を、受け入れてくれるところがあるのか不安だ。


 ファミレスから出てみんなと別れた後、大学は高校と比較にならないほど広くて人もいっぱいいる。学部によって受ける授業も違うので、高校の時と違ってはるちゃんたちといつも一緒というわけにはいかないだろう。

 学部でも新しい友達ができるのか不安な気持ちを抱えて、蒼は帰路についた。駅から家に帰る途中、居酒屋にバイト募集の貼り紙をみかけた。

 大学生になったし、学費は無理にしても自分のお小遣いぐらいはバイトで稼いだ方がいいのかなと思う。


「入学式どうだった?どうしても出ないといけない会議があったから、一緒に行けなくてごめんね。」

 夕飯を食べながら、母は申し訳無さそうに謝った。夕飯は蒼の好きなハンバーグとビーフシチューだった。森田家にしては豪華な料理が二品並んでいるのは、蒼の入学祝いと母の入学式に行けなかったお詫びだろう。

「気にしなくていいよ。それより、大学生になったからバイトした方がいい?」

「そうね、蒼が奨学金もらってくれたから無理しなくてもいいけど、社会経験のためにしておいた方がいいかもね。でも、大丈夫なの?」

 男なのに女性の格好している蒼が、バイトの面接で不快な思いをしないのか心配しているようだ。

「受け入れてくれるところもあると思うから、探してみるよ。」

 冷めないうちにハンバーグを食べることにした。


 翌日、学部ごとのガイダンスが行われる工学部の教室に蒼はいた。制服だった高校と違い、大学は私服なので何を着てい行けばいいか悩んでしまった。カジュアルがいいのか、きちんとした感じがいいのか、周りの人と違うと浮いてしまって恥ずかしいし、自由な分だけ悩みが多い。

 結局、黒の膝丈スカートに白のブラウスにピンクのカーディアンと、きちんとした感じの服装にした。教室に入ると3~4割席は埋まっており、蒼は後ろの方の席に座った。

 高校までと違い階段状になっているので、後ろからだと全体が見渡せる。工学部ということもあり、女子の比率はすくなく男子ばかりのようだ。服装はシャツにジーパンというカジュアルな人から、スーツの人までバラバラなので、蒼のコーデも周りから浮くことはなさそうなので安心した。


「隣り空いてる?」

 蒼が拒否しないのを、同意ととらえたのか蒼の返事を待つことなく、眼鏡をかけた女の子が蒼の隣に座ってきた。

「やっぱり女の子すくないね。」

 蒼のことを女の子と思っているみたいで、話しかけてきた。声で男だとわかると驚かせるから、どうしようと返事に悩んでしまった。

「あっ、いきなり話しかけてごめん。うち、園山晴美。県外からきて知っている人いないんだ。寂しくて、話しかけちゃった。」

 蒼が住んでいる地方とはちがう方言のイントネーションで自己紹介してくれた。

「ごめん、こんな格好しているけど男なんだ。」

「全然気づかなかった。LBGTってやつ?」

 園山さんは驚きはしたものの、とくに蒼のことを嫌がる様子はなかった。蒼はトランスジェンダーではなく、男だけど女の子の服の方が好きだから着ているということを説明した。

「男の娘ってことね。気づかないぐらい完成度高いよ。」

「高校の時から着ているからね。」

 蒼は白石高校のことを説明した。

「えっ、男子の制服がスカートなの。おもしろい。この後もう少し話聞かせてよ。」

 友達ができるか不安だったが、あっさりできてしまった。

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