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高校の制服がスカートだった件  作者: humihumi1234
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入試

「蒼、頑張ってね。あと、これお守り。」

「お母さん、ありがとう。頑張ってくるね。」

 大学入試当日の朝、蒼は母に見送られながら家をでた。今日は数学と英語、明日は理科2科目の二日間にわたる入試が始まった。

 母は最初大学入試に一緒についていくと言っていたが、かえって気を遣うので断って一人で行くことにした。

みんなはどうなのか聞いたら、はるちゃんは蒼と同じで一人で行くみたいだが、涼ちゃんはお姉ちゃんが付き添いで来て、理恵ちゃんは両親どちらも付き添うみたいだ。


 入試会場である大学の最寄り駅で、はるちゃんと合流して大学まで歩いて向かう。

「蒼ちゃん、今日は珍しくスカートじゃないんだ。」

「トイレの時に困るからね。」

「蒼ちゃんがスカートじゃないの、久しぶりに見た。似合ってるから、今度からパンツスタイルも取り入れたら。」

「そうだね。スカートにこだわりすぎていたかも。大学に入ったら、パンツスタイルも取り入れてみるよ。パンツスタイルもかわいいのあるし、コーデの幅も広がりそう。」

「やっぱり蒼ちゃん、。私より服装に気を使って女子力高いね。」

「女子じゃないけどね。」

 入試とは関係ない話で蒼の緊張をほぐそうとしてくれる、はるちゃんの優しさを感じた。


 大学に入り、それぞれの学部に応じた試験会場に行くところではるちゃんと別れた。

「はるちゃん、お互い頑張ろうね。」

「蒼ちゃんも頑張って。」

 途中で会うと集中力が途切れるし、試験の出来が悪かった時に心配かけたりするので、明日の試験終了まで4人とも会わない約束だった。

 その代わり、試験の出来が良くても悪くても明日はみんなで会うことになっている。最後に頑張ろうねとお互いの手を握った。


 午前中の英語は、リスニングがあまり聞き取れなかったものの、長文問題は割と解けたと思うので、それなりの点数はとれたと思う。

 午後の数学に備えて、自分の席で買っておいたサンドイッチを食べ始めた。食べながら、はるちゃんや涼ちゃん、理恵ちゃんたちのことを考えてしまう。会わないと決めただけに、逆にみんなのことを考えてしまう。


 午後の数学は、蒼の得意科目ということだけあってそれなりに解けたが、学部の性質上、他の受験生も数学が得意な人たちが多いので、その中で差がつけられたかはわからない。

 帰り道、駅へとむかう受験生の人ごみの中で、はるちゃんの後ろ姿が見えた。思わず駆け寄ってしまいたくなるが、会わない約束なのでぐっと我慢する。


 家に帰ると、母が夕ご飯を作ってくれていた。

「あれ、お母さん仕事は?」

「蒼が直前になって、やっぱり付き添ってって言いだすかもと思って、あらかじめ今日と明日は有休とってたのよ。外寒かったでしょ、お風呂も沸かしてあるから先に入ってて。」


 お風呂から戻ってくると、リビングには夕ご飯の準備がしてあった。

「べただけど縁起かついで、とんかつにしちゃった。蒼もこんな時ぐらい、カロリー気にせずいっぱい食べてね。」

 夕ご飯を食べながらも、母は卒業式にはいくからねとか、今度春物の服を買いに行こうとか、試験のことについてはなにも触れず話をしてくれている。

 そんな母の優しさが、蒼には嬉しかった。

「お母さん、明日も休みなら帰りは迎えに来てもらってもいい?」

「いいの?蒼嫌がってなかった?」

「試験が終われば、大丈夫だから。」

 母は嬉しそうな表情を見せた。蒼は、甘える親孝行もあることを知った。


 2日目の朝、蒼が家を出る時、昨日と同じように玄関で母が見送ってくれた。

「それじゃ、1時ごろ迎えに行くね。帰り一緒にご飯食べよう。」

 今日は理科2科目、午前中で入試が終わる予定となっている。

「ありがとう、お母さん。行ってくるね。」

「蒼ちょっと待って。」

 蒼が家を出ようとしたときに、母が呼び止めた。そして、母は蒼に抱きつき、頭をなでた。

「蒼、頑張ってね。」

 母の抱擁で蒼は、なにかエネルギーをもらった気がした。


  試験終了のチャイムがなり、試験が終わった。理科2科目、化学と物理の答案用紙を提出して、蒼の大学入試が終わった。物理はできたが、化学は有機化学の分野でわかないところが多く、会心の出来とはいかなかった。とはいえ、人事はつくしたので、あとは結果を待つだけだ。

 試験を終えた後、はるちゃんたちと待ち合わせしている場所へと向かう。早く会いたい気持ちから、速足になってしまう。

 待ち合わせ場所に着くと、涼ちゃんと理恵ちゃんはすでにまっていた。

「二人とも、お疲れ。ようやく終わったね。」

 大学入試の重責から解放されたこともあり、二人とも晴れやかな笑顔だ。

「英語のリスニング、めっちゃ難しかったね。」

「理恵ちゃんがそういうなら、みんなも難しかったかな。」

「物理も難しくなかった?」

 お互いに感想を言い合っているところに、はるちゃんもやってきた。笑顔なところを見ると、出来は悪くなかったようだ。


 4人で試験の感想と健闘を称えあっているところに、理恵ちゃんの両親がやってきた。

「いつも理恵がお世話になっています。」

 蒼たちに挨拶してくれた。理恵ちゃんのお母さんは、蒼と会ったことがあるが初対面のように接してくれている。

 蒼が理恵ちゃんの元カレであることを涼ちゃんに知られないために、気を使ってくれているようだ。そんな蒼の気持ちに気づいたのか、理恵ちゃんのお母さんは思わせぶりな笑顔を蒼に見せた。


「蒼~」

 名前を呼ばれて声がする方を振り向くと、母が迎えに来ていた。

「蒼、お疲れさん。皆さん、蒼と仲良くしてくださってありがとうございます。」

 母が、はるちゃんたちに挨拶すると、

「蒼ちゃん、お母さんそっくり。」

 はるちゃんが蒼と母の姿を見比べて驚いたように言った。

「ほんと、そっくり。涼ちゃんもお姉ちゃんと似てると思ったけど、蒼ちゃんとお母さんはそれ以上に似てる。」

 理恵ちゃんもつづけて言った。みんなに似ていると言われて、まんざらでもなさおうな母の笑顔が印象的だった。

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