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高校の制服がスカートだった件  作者: humihumi1234
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インターハイ予選 その2

 西野はるかは、スマホでインターハイ予選の日程と会場をチェックしていた。来週土曜日の試合に勝てれば、日曜日の試合は午前中に女子の試合があり、同じ会場で午後から男子の試合があるので、また金本君に会えそうだ。

 中学の時バレンタインのチョコも渡せず片思いで終わったが、思わぬところで再開して私のことを覚えていて声をかけてくれた。背も高くて、強豪校に推薦で入った金本君はクラスのヒーローだった。それなのに、平凡な私のことを覚えていてくれたなんて、ひょっとしてと思うのは自惚れが強すぎるかな。


 そんなことを考えながらスマホの画面をみていると、

「お姉ちゃん、試合の日程をみて、ひょっとしてまた金本先輩に会えるのかなと思ってた?」

 思いを見透かされたのと、金本君と話しているのを見られたことで恥ずかしさを感じてしまう。

「夏美、見てたの?」

「一緒に帰ろうと思って、お姉ちゃんのところに言ったら嬉しそうに話していたから、気をきかせて一人で先に帰ったよ。よかったね、覚えてもらっていて。」

 中学の頃、夏美に金本君のことを相談したことがあってそれをしっかりと覚えていたようだ。一緒に渡せず持って帰ったバレンタインチョコを食べたことも思い出す。

「向こうから話しかけてくれたなら、きっと気があるよ。付き合っちゃえば。」

「今、蒼ちゃんと付き合ってるんだから。」

「森田先輩は、私と付き合うから大丈夫だよ。年上なのに優しくしてくれていい人だね。でも、女の子では私の方が先輩だからいろいろ教えてあげられるし、年上の頼りがいと、同級生のような親しみやすさ、森田先輩はすべてそろってるね。」

 夏美は、連休に蒼ちゃんが家に来た時に浮気しないかを試していたら、途中から本気で好きになったことを打ち明けてきた。

「もし、金本先輩から告白されたらどうするの?」

「もちろん、蒼ちゃんがいるっていうよ。」

 夏美から質問されたときとっさにそう答えたが、食い下がられてお願いされたら断れる自信はない。蒼ちゃんの浮気を心配していたが、自分の身にも降りかかってくるとは思わず心の整理がつかない。


 部活が終わった後、校門で待ち合わせしている蒼ちゃんと一緒に帰る。3年生になってからは、蒼ちゃんは部活が終わる時間まで学校で勉強していて、一緒に帰るようになった。それは、理恵のところもおなじで涼ちゃんも一緒に残っている。

 4人でバスが来るまでの間すこし雑談をして、バスが着たら二人を見送って蒼ちゃんと一緒に駅に向かうのが最近の習慣となった。理恵と涼ちゃんが手をつなぎながらバスに乗り込む後姿が毎日ほほえましい。


 蒼ちゃんと一緒に話しながら帰っていても、金本君のことが脳裏に浮かぶ。蒼ちゃんとは駅の改札で別れて、電車に乗った時にスマホにラインが届いた。中学のころ同じバレー部だった子からだった。いまは違う高校だが、以前練習試合で再開してラインの連絡先は交換していた。内容をみると、

「中学の時同じクラスだった、金本君って覚えてる?バレー部だった男子。その子がはるの連絡先知りたがってるけど教えていい?」

 金本君はツテをたよりながら、私と連絡とりたがっているようだ。断る負担をかけるのも申し訳ないので、OKの返事をした。


 家に帰りお風呂と食事をすませ宿題に取り掛かっていたころ、スマホに着信があった。みてみると、金本君からだった。

「西野さん、お久しぶりです。突然すみません。この前会えてうれしかったです。」

 緊張しているのか、女子慣れしていないのか、朴訥な表現が逆に新鮮だった。

「覚えていてくれてありがとう。また、会えるといいね。」

 まだ心の整理もついていないので、そっけない感じで返した。


 土曜日の試合当日、先週と同じように蒼ちゃんと涼ちゃんがスタンドで応援してくれている。今日も順調にリードを奪い、自分自身もリベロとしてレシーブでチームに貢献できている。このまま勝てれば、明日金本君に会えると思ってしまう。

 蒼ちゃんがせっかく応援にきているのに、金本君のことを考えてしまう自分自身が嫌になってしまう。

 試合はそのまま順調に進み、明日の試合に進むことができた。試合後、着替えと簡単な反省会を終えた後、待っていてくれる蒼ちゃんのもとへ向かう。

「お待たせ。今日も応援にきてくれてありがとう。」

「今日も勝てて良かったね。明日はいよいよベスト8入りのかかった試合だね。」

「秋はベスト8入り逃したから、がんばるよ。」

 そんな感じで、4人でひとしきり話して駅に向かおうとしていると、「西野さん。」と名前を呼ばれる声がして振り向くと、金本君がいた。

「ホームページみたら女子はここで試合だったから、きてみた。」

 金本君は今日は別会場で試合だったが、先に終わったみたいで終わった後ここにきてくれたみたいだ。蒼ちゃんがこっちの様子をみている。

 金本君から見れば4人とも女子生徒に見えて、しかも蒼ちゃんと付き合っているなんて想像もしていないだろうから仕方ないにしても、蒼ちゃんも気まずい表情をしている。


「明日もお互い試合だから、頑張ろうね。」

 そう言い残して、さっと金本君は帰っていた。そのあと帰る方向の違う理恵たちとは別れて蒼ちゃんと一緒に帰っているが、蒼ちゃんは落ち込んでいるみたいで何も話さない。駅に通じる公園の中を二人で無言で歩いている雰囲気に耐え切れず、蒼ちゃんに話しかけた。

「大丈夫、金本君とは何もないから。」

 そう言ってみたものの、わざわざ別会場まで足を運んで声をかけてくれた金本君の気持ちに気づかないほど、お互い鈍感ではない。

「金本君ってかっこいいよね。背も高くて、強豪校でも試合に出れているみたいだし。」

 自分にはない男らしさをもった金本君に引け目を感じているようだ。

「蒼ちゃんが好きだから、大丈夫だって。」

「金本君に本気で告白されたら、」

 蒼ちゃんがそこまでいったところで、公園の木の陰で人目のつかないところまで蒼ちゃんを引っ張り、抱きついた。

 自分には蒼ちゃんしかいない、そう言い聞かせるように蒼ちゃんに抱きつき、唇を重ねた。


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