表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高校の制服がスカートだった件  作者: humihumi1234
29/85

冬休み

2学期の終業式も終わり今年もあとわずかとなったある日、西野はるかは部活が終わり部室で着替えているところで、理恵に声をかけられた。

「はる、29日何か予定ある?部活休みだし、また夏休みみたいに蒼ちゃんの家で宿題をやろうかと思っているけど、どうかな?」

 29日は予定はない。とはいえ、理恵と蒼ちゃんが付き合っている現実を、また見ることは気は進まない。しかし、ここで行かないというと理恵に嫉妬していると思われてしまう。はるかの頭の中に一瞬の間にいろんな考えが浮かんでは消えていく。

「わかった。29日は空けておくね。蒼ちゃんの家久しぶりで楽しみだね。」

 多少間は開いてしまったが、できるだけ今まで通りの様子で返答することにした。理恵に心の迷いが悟られないことを祈る。


 理恵と蒼ちゃんが付き合っていて、この前本屋で偶然蒼ちゃんを見たとき、蒼ちゃんは理恵と楽しそうにしていた。女の子として生きていたい蒼ちゃんを理恵は受けれているし、このまえ理恵の家に行ったみたいだし親も受け入れているのだろう。

 2人とも上手くいっているから、はるかも自分でも蒼ちゃんのことはあきらめてしまえばいいとわかっている。でもまだ心の整理がついていない。


 29日の朝、はるかはあまり気乗りしないが、待ち合せ場所である駅に向かう。駅に着くと、すでに理恵と涼ちゃんがきており、二人は仲良く話している様子だった。

「おはよう。今日も涼ちゃんの服かわいい。」

気乗りしないのが悟られないように、できるだけ明るく涼ちゃんに声をかけた。

 予定通り9時5分発の電車に乗り、蒼ちゃんの家に向かう。ボックスシートの車両だったので、窓際に理恵と私が座り、理恵の隣に涼ちゃんが座っている。

「理恵ちゃん、はるちゃんお菓子食べる?」

涼ちゃんがお菓子を配ってきたので、はるかも受け取る。理恵と涼ちゃんが楽しそうに話しているのを、はるかは相槌を打ちながら聞いている。

 涼ちゃんはまだ、理恵と蒼ちゃんが付き合っていることを知らないのだろうか。はるかが先に涼ちゃんと理恵が付き合っていれば、蒼ちゃんと付き合えたのにと思ってしまう。


 約束通り10時に蒼ちゃんの家について、インターホンを鳴らした。蒼ちゃんの返事で自動ドアがあき、マンションに入る。

「遠いのにありがとう。」

蒼ちゃんが出迎えてくれた。今日の蒼ちゃんはピンクのスカートに黒のニットを合わせている。

「ピンクのスカートかわいいね。」

涼ちゃんがほめると、

「外には着ていく勇気がないから、これは家専用。涼ちゃんのワンピースもかわいいよ。」

 男同士とは思えない会話を聞きながら、二人とも4月のころからだいぶん垢ぬけて女の子らしくなってきたなと思ってしまう。


 リビングで宿題を始める。蒼ちゃんに聞かないのもこの前みたいに変に思われるので、解けなかった問題を蒼ちゃんに聞いてみることにした。

「蒼ちゃん、この因数分解どうするの?」

「まず次数が低いxで、式を変形して、ここをAとおいて・・・」

あっという間に蒼ちゃんが解法をはるかのノートに書いてくれる。書いてくれているとき、蒼ちゃんの肩が体に触れる。夏休みの時も同じことがあったのを思い出した。

「ありがとう。よくわかるね。」

「解き方のコツがあって、次数をみたり共通の部分を探したりすると解けるよ。問題である以上解けるように作ってあるはずだから、問題を作った人の気持ちになって同じ道をたどる感じかな。」

 蒼ちゃんの解説を聞きながら、横目で理恵をみると理恵がこちらを見ているのが見えた。


「結局、蒼ちゃんも同じ大学なんだね。」

昼ご飯のピザを食べながら涼ちゃんが言った。

「そこだと家からも通えるしAIも学べるみたいだから、同じにしたけど進路指導で先生から頑張りなさいって言われた。」

理系科目は得意だが、文系科目は苦手な蒼ちゃんはバツが悪そうに答えた。

「大学に行っても、またこうやって集まりたいね。せっかく同じ大学なんだし。」

 理恵ちゃんはそう言って、この4人の友情がいつまでも続くことを信じているようだ。はるかも続けたいとは思っているが、そのためには心の整理を付けないといけない。


 おやつ休憩の時に、蒼ちゃんが作ってくれたクッキーをほおばる。

「蒼ちゃん、美味しいね。今度はかわいくつくったね。」

今度のクッキーは、プレーンとチョコの市松模様になっている。蒼ちゃんの女子力は成長著しい。

はるかはクッキーを食べながら、ふとさっき蒼ちゃんが言っていた「作った人の気持ちを考える」という言葉を思い出す。

 このクッキーは、蒼ちゃんが理恵ちゃんのために作ったクッキーだ。8月に来た時のクッキーは、多分はるかのために作ってくれた。その違いを意識すると、美味しいクッキーも少し苦く感じた。


 いつもはるかは、色々考えすぎてしまって判断が遅い。部活のバレーでも言われるし、受験の時も白石高校のほかにも志望校があって悩んだが、結局自分では決められずに親からの白石高校の方がいいんじゃないという一言で決めた。

 この誰かに背中を教えもらわないといけない癖は、自分でも直さないといけないと思う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ