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エミリーの華麗なる転身  作者: 歩芽川ゆい
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4:高校生活開始

ようやく学校が始まりました。

 学院が無事に始まった。

 入学式での新入生代表は同じクラスの皇太子。この国の第2皇子にあたる人だ。ちなみに第1王子は5歳年上で、この学院の隣の敷地にある大学部に通っている。現時点で次期国王はこの第1皇子に内定しているのだけれど、ゲームで皇太子ルートを攻略すると、今から3年後、この第1皇子は体調を崩してしまい、やむを得ず国王候補の座から降り、第2皇子が王になるのだ。そうしてヒロインは第2皇子と結婚して王女となりしあわせになりました、的なラストとなるのだ。


 しつこいようだけれど私にその気はないから、何とか目立たずにひっそりと3年間を送りたい。

 そう思って、魔法でさえない外見にしている。丸眼鏡で顔を隠し、ピンクゴールドの髪はピンクグレーに魔法で変色させ、みつあみにすることで隠している。服装は全員学院の制服だからそれで目立つことは全くないから、なるべく猫背にして出来るだけ下を向いて過ごすつもりだ。


 ちなみに入学試験の時と容姿が違うのは問題にならないのか、という基本的な点だが、この世界にはまだ写真というものがないのだ!

 それゆえ本人確認は、住所氏名生年月日の個人情報の確認のみで行われる。それに受験生は多いから、受験の時によほど目立つことをしていなければ、覚えられていることもない。

 ゆるいといえばゆるいのだが、基本が貴族の為の学校だったから、彼らは容姿のごまかしようがなかったのだ。


 過去には替え玉受験があったようだが、それで入学しても授業についてこれずに辞める羽目になる。そして入学後に必死に勉強してでも付いてきたならば問題はない、という学院の考え方だった。


 そのお陰で、容姿を変えたわたしも問題なく学院生活を送れるわけですけれども!

 


 さてゲーム内での初日イベントは、この入学式が終わったあと、教室に全員入った時に起こる。


 教室の入り口で入っていいものかと戸惑い(なぜ!)、ドア付近でちらちらと中を見たりと挙動不審なヒロインに、後からきた皇太子が声を掛けてくれることから始まる。

『きみ、何をしているんだい?』

『あ、あの、Aクラスってここで良いの?』(すでにため口!! つか見ればわかるだろう!?)

『……そうだよ。高等部からの入学者だね? ようこそ「ビラング学院」へ!』


 入学式で皇太子の顔も名も知っているのに、同級生だからという理由でタメ口を聞くヒロイン、ツヨイ。

 いや本当に知らなかったとしたって、貴族の学校でAクラスはほぼ貴族なのだから、相手が誰だろうとタメ口はないよね!? とプレイ時に思ったものだ。

 この不敬な行動が逆に『俺のことを知らない?』とか『貴族(皇族)としてではなく、個人として見てくれている!』とか思われて、攻略者に注目されるきっかけになる。

 

 このイベントが起きないように、私は入学式のあとさっさと教室に入り、教卓に置いてある席次表から自分の席を探して、机に貼ってある名前も何度も確認して素早く座った。

 そうして机の中に入れられている教材一式をチェックして、一緒に入っていた案内書を読んでいれば、だれも声はかけてこない。こんな冴えない少女にはなおさら。


 と思ったのだが、残念ながら教室に入った時点で、私はすでに目立っていた。

 なにせこの学院は先述のとおり、ほとんどが小学部から通う貴族たちだ。だから皆、すでに顔見知りばかり。

 

 そこに庶民が入ってきた。そうして2つあるクラスは、成績順で分けられている。そのAクラスに入っている庶民は私ともう一人の男の子。この時点で成績優秀者だとバレているし、さらに私は知らなかったのだが、庶民から特待生が出たのはこの学院が出来てから三人目らしい。前回は5年前。それでも自分がそれを言わなければバレないと思っていたのだけれど、寮の特待生用の一人部屋に入っている時点でバレていたのだ。


 教室に入ったとたんにすでに入っていた数少ない他の生徒の視線を集め、「あれが庶民なのに特待生を獲得したヤツか」という囁き攻撃を喰らったのだ。


 ああ、私の平穏な学院生活はいかに!!


まだまだ続きます。気になったらイイネボタンをぽちっとお願いします。

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