SFC バットマン リターンズ
SFCのマイナーゲームをやってみた感想文です。
なかなか面白かったです。ものっ凄く単調でストレスを感じるゲームでもありましたが。
これは完全にアメリカ人向けというか、バットマンのファン向けの作品です。ちょっとでもバットマンや90年代のハリウッド映画を好きだと思った事の無い人には何が面白いのか分からないんじゃないでしょうか。
逆にバットマンのファンにとっては、これほど嬉しい作品は無いかと思います。
システムは完全な横スクロールアクションで出来としては、くにおくん以上、ファイナルファイト以下といったところでしょうか。全てが大味で目新しいところは無く、ファイナルファイトと比べるとかなり動きがモッサリしていて、キャラも小さいです。敵も常に3人までしか出てこないのに常に補充されて、最初から最後まで常に画面内に敵が3人いる状態で進んでいきます。この辺りがマンネリの原因です。背景は変わりますが、結局最初から最後まで一つの画面の中で三人の敵と戦っているという基本的なパターンは同じ。しかも、雑魚は5、6パターンしかいないので最初から最後まで、その5、6種類の敵の3人組と戦い続けるだけです。しかもこのザコがいずれも逃げ回っていて全然捕まらないため、とにかく戦闘が長い。ザコそのものは一回コンボすれば消えるくらい体力がないのですが、主人公の動きも非常に遅いのでなかなか捕らえられず、とにかくストレスだけが溜まります。一体倒せばすぐに新たな一体が補充されるシステムで、制限時間も無いので一つの画面で『バグってんじゃないか?』ってくらい延々と幾らでも敵が補充されてきます。これほど敵が多いのに主人公の立ち技が基本的にパンチしか無いのもマンネリの原因の一つと云えるでしょう。掴んでからの技は3種類ほどありますが、なかなか掴めない上に与えるダメージが少なく、常に敵は3人なので一人を掴むとすぐに残りの二人が寄ってきて背後からボコボコにされるのでハッキリ言って掴まない方が良いです。
まぁ、アクションゲームとしてここまで問題の多いシステムなのに、なぜこのゲームが面白いと感じるのかと言えば、それはムービー(一枚画ではありますが)シーンに実写からチャプターした画像を使っているという点と、ボスのアクションボイスがちゃんと人の声を使っているという、この2点に尽きると思います。
このゲームでは各ステージの前後に一枚画のムービーシーンが挟まれます。忍者龍剣伝と同じ感じですが、こっちはその画像が実写からのチャプターです。本物のバットマンがこのゲームのストーリーに合わせて演技してるって思うと映画シリーズのファンにとっては涙ものです。リアルボイスについては、キャットウーマンだけは声が入ることによってボス戦が本当にリアルな感じに仕上がっています。ドット絵の写真チャプターのリアルさって今のCGのリアルさと違って、暗さとか陰影とかの感じが強調されてイメージが強く残る感じがします。
このゲームは鮮烈ですよ。アメリカ向けというか、ザコキャラは全てピエロで、太っていれば『ファットピエロ』、火炎瓶を持っていれば『ファイヤーピエロ』、全部見たまんまで分かりやすいし、操作も単純、武器も無し。バットマンの映画を観る中で、ちょっとだけ主人公のバットマンを自由に動かせるっていう感じでプレイ(視聴)してみると非常に面白いコンセプトのソフトだと感じられるかもしれません。
バットマンの雰囲気は非常に良く出来ているゲームだと思いました。
ただ、最後のペンギンだけ極悪な超高難易度となっているので、普通にプレイしてエンディングを観る事は難しいと思います。
バットマンファンにとってはマストなゲームかと思います。