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増えた蛇。

 

「いつの間にこんなに……」

「これ全部さっきのと同じやつじゃ……?」


 目の前にいる蛇たちに先ほどのことを思い返す。ことごとく攻撃を避け、全く倒すことができなかった蛇。それが目の前に複数、とりあえず見えるだけでは6匹程いる。そのうえ先ほどまこうとした蛇が後ろからシューッという音を出しながら追いついてきた。


「後ろからも……!」

「……とりあえずチョッキ、こっちに!」


 ウミが私の腕を引いて、追いついた蛇と前面の蛇に挟みうちされないように横へと抜け、私のことを背後に隠すように前に立つ。


「MP消費を勿体ながってる場合じゃないよね」


 そう言ってウミが左の手のひらを上に向けてから、蛇たちに向かって突き出した。


 私が使える魔法多少レベルは上がったとはいえはまだ単発で各属性の弾を撃ちだすショット系の魔法と、初期のクリエイトウォーターなどのそれらを生み出す魔法だけ。

 ウミは私よりももう少しレベルが上でファイアショットだけではなくファイアバレットという一回の弾数が多くなった魔法が使えるぐらいでそれ以外はそれほど変わらない。風魔法はそれほどまだレベルが上がっていないから私と同じような感じだ。


 ファイアバレット。

 それが今ウミが使った魔法だった。何発もの火の玉が蛇達に向かって発射され、地面に当たった衝撃で土埃や熱い風にあおられる。

 いきなりのことに目を瞑って腕でかばうようにしてしまったが、少ししてから目を開けて状況を確認する。


 何か所も焦げ付いた地面にいたのは多少土で汚れた奴もいたが、ピンピンしている蛇だった。攻撃によって距離だけは先ほどよりも少し離れていた。着弾する場所の隙間を縫うようにして避けたのかもしれない。


「これも避けるのか……!」

「でも、一匹はいなくなったみたい」


 目の前にいる蛇の数が6匹になっていたのが少しの救いだった。少なくとも、一匹はどこかにいったか倒したということだから。


「さっきもMP使ってるし、もう何回も撃てるほどMPも残ってないんだ。一回で一匹じゃとてもじゃないけど足りない!」


 もう少しレベルが上がると使えるようになるらしいもっと大きな範囲攻撃ができれば違うかもしれないけど、私達にはまだそれらは使えない。

 とりあえず何かないかとインベントリを開いて目についた毒団子を数個投げつけた。


 ここでは分からないけど、普通はネズミとかを食べたりするんだし蛇は肉だって食べるだろう。食いつくかは分からないけど何もしないよりはマシだ。


「チョッキ、今のは?」

「毒入り肉団子。効くかは分からないけど」

「そっか、でも試してみる価値はあるよ」


 蛇達と私達の間に投げられた肉団子に、チロ、と細い舌を出したものの蛇は近づかない。何匹かは頭を団子に向けたようだから興味はあるのかもしれない。内臓の匂いが酷かったけどそのせいで警戒しているんだろうか。


 ニーナとイッチがログインしたら一緒にエリアボスに挑む予定だから、死んでペナルティを受けるわけにはいかない。再び全力で逃げだしたら逃げられるだろうか。

 でもさっきは数が増えて蛇と遭遇した。

 さっきのウミの魔法で大きな音がしたから他の何かが近づいて来る可能性だってある。

 私達ができることを整理しよう。


 攻撃魔法は避けられた。捕縛も意味がなかった。ウミの杖術も私のナイフも避けられた。ウミのもう一段階強い魔法は一匹はしとめたけど全部を仕留められるほど数が撃てない。


「……食べないね」

「匂いが結構強いから警戒しているのかも」

「ウミ、どうしようか」


「……試してみたいことがあるんだけど、いいかな」


 私はそう言って1つ思いついたことをウミに伝えた。

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