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初めての対峙。

 ドサッとウミが倒れた音に驚いてそちらを見ると、ウミの足元には細長い何かが巻きついていた。


「ぐっ何が……!」


 足に巻きついたそれを手で剥がそうとしても外れそうもなかったのか、ウミが倒れこんだまま大きく脚を振り、同時に持っていた杖で擦るようにして剥がした。

 勢いがつきすぎてウミの足にも杖が当たって痛そうだったけど、そのおかげで足についていたソレは少し離れたところに飛んでいった。


「あれは」


 ウミの足首に巻きいていたのは蛇だった。茶色で私達の腕ぐらいの細さ、長さとしては5、60センチ程。

 立ち上がろうとするウミに向かって弾きとばされた蛇がスルスルと地面を這って近づこうとする。


「ウミ!」

 ウミに向かっていく蛇に向かって大きく踏み込んで思い切りサッカーボールを蹴るようにして足を振る。

 当たった、と思った。

 でも振りぬいた足は何にも当たらずにそのまま空をきった。蛇は足が当たる前にスッと進むのを止め上半分を持ち上げるようにして足の軌道から避けていた。


 私の足が通ったのを見て再び蛇は頭を下げて進み始めるのが視界の下の方で見える。そのまま振った足を膝をまげて踏むようにして蛇の上から足を勢いよく落とす。

 こちらもス、と軽く横に身体をくねらせることで避けられた。


「あ、ったらない!」

「ごめん、でも大丈夫。起き上がれた!」


 攻撃は一切当たらなかったものの、その間にウミは体勢を整えることができたようだ。


 私もウミも蛇から距離を取るようにして後ずさり、攻撃をできる体勢をとる。


 見た目は普通に「蛇」と聞くと想像するようなサイズだ。むしろ今までがサイズの大きい蜂やら蜘蛛やらと戦っていたせいで、その蛇は酷くサイズが小さく見える。

 見るだけでは脅威は感じないものの、その動きは滑らかで早い。そしてサイズが小さいがゆえに攻撃が酷く当てにくい。魔法や投擲なんかは全てするりと避けられてしまい、振り下ろした杖やナイフも当たらない。

 魔法にいたっては、横などに移動するだけでなく、体を鞭のようにしならせて空中へとんで避けられた。私とウミの二人はとりあえずは蛇から距離を取りつつ、二人で並ぶようにしてお互いの攻撃が当たらないような位置取りをしていた。


「また避けられた!」

「攻撃が全然当たらないね」

「サイズ、というか細くて当てる部分が小さい上に早いし動きがくねくねしてて狙いがつけにくい!」


 今のところウミが最初に足に巻きつかれた以外は攻撃らしい攻撃は受けてはいないけど、こちらから蛇に対しても攻撃を加えることができていない。

 基本位置が地面スレスレなせいで、中腰になった状態で下向きに武器を構えていないといけない上に、構えた武器を振ってもスルッと避けられてしまう。

 ためしに、と投げ縄のスキルも使ってみたもののスルリと避けられるうえに、一度縛れたと思ったときも、体の形状のせいでツルリと抜けだされてしまった。

 体のバネを利用して跳ねるようにして飛びかかってきたときに、いっそ素手で捕まえようとしたけど、それもバチン!と手をはたきつつその勢いで距離を取られてしまった。


「一匹だけだし、無視して距離取って行く?」

「うーん、攻撃も当たらないしかといって攻撃されてもさして支障はなさそうだし、それでもいいかもね」


 蛇に内容を把握されるとは思ってないけど、なんとなく小声で話してしまう。早いといっても、二人とも全力疾走でもしたらよっぽど追いつかれたりはしないだろう。


 ウミと二人、お互いに視線を合わせて頷きあう。

 そうしてほぼ同時に二人で示し合わせた方へと走り出した。


 蛇とは反対方向へ少しの茂みを飛び越えるようにして走って越えたとき、視界に入ったのは何匹もの蛇だった。いつの間に集まっていたのか、ウミも私も気配察知のスキルを持っているにも関わらずまたしても気づけていなかった。前方の蛇たちが鎌首をもたげてこちらを狙っていた。

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