表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/62

薬草採取と初めての遭遇

 門の外に出ると、野原、と言うのが似合う場所だった。遠くの方には木々も見えるけど、周囲には草や石などが多い。

 門番さんと軽く挨拶したときに、すでに多くの人は北門側へと行っておりそれほどこちら側には人がいないと聞いていたが、その通りだった。

 ぱらぱらと何人かは足元にいる何かと戦っているようだったけどその人数はまばらだった。


 納品クエスト

 内容:薬草を10個納品する

 報酬:100ノード


 討伐クエスト

 内容:南の草原のウサギを10匹討伐する

 報酬:200ノード


 討伐クエスト

 内容:南の草原にいるスライムを10体討伐する

 報酬:100ノード


 冒険者ギルドで受けた依頼はこの三つだ。達成までの期限は三つともとくになし。ランクも一番下の依頼だったし、本当に簡単なチュートリアル的な依頼なんだろう。おそらくすぐに物足りなくなって、もう少し強いモンスターがいる北門へ皆うつっていったんだと思う。

 最初に冒険者ギルドにたくさんいた人たちが、私がぶらぶらしつつ冒険者ギルドで説明を受けている間に、南から北へと移動したかと思うと、大勢がいるところに鉢合わせしなくてよかったと安心した。

 動いたり武器を振り回したりする人との距離が近いと怖いもんね。


 ぐるりと周囲を見渡す。とりあえず近くにはスライムもウサギも何もいないように見える。

 採取のスキルがあるからか、なんとなくどれが取れるか、どこに採取ができるものがあるかが分かる。

 採取に反応しない近くに生えている草を適当にむしって鑑定すると、『雑草。ただの草。』と出た。雑過ぎない?いや、多分本当に雑草だからなんだろうけど。

 採取できそうだと感じる草を手で握ってちぎって鑑定する。


 薬草

 レア度1、品質1-

 回復薬などに使えるが、雑にむしったことで効果が落ちている。


 品質が1な上にマイナスがついている。無造作にいきおいよくちぎったからいけなかったんだろうか。

 次は同じ種類の草を次は採取用のナイフを取り出して根本で切るようにして採取してみた。


 薬草

 レア度1、品質1

 回復薬などに使える。


 品質は1だけど今度はマイナスはついていない。当然とはいえ採取の仕方でも状態が変わるんだな。なるほど。

 今度は薬草を根本の方から手で掘って根っこから抜くようにして採取をしてみる。


 薬草(根付き)

 レア度1、品質1

 回復薬などに使える。


 今度は名前に少し違いが出た。インベントリに試しにしまってみると、品質違いと名称違いとでそれぞれ枠が使われていた。もう一つ根っこから同じように採取してインベントリにしまってみると、根付きの薬草のところにしまわれた。


 なるほど。品質が同じでも根付きとそうでないものは別扱いになるんだな。……となると。

 次は先ほどの根付きの薬草を、根と薬草とでナイフで切って分けてみる。


 薬草の根

 レア度1、品質1


 薬草はナイフで採取したものと同様の説明、根については詳しい説明はとくになかった。まだ鑑定のレベルが低いからだろうか。もしかしたら何かに使えるかもしれない。

 ギルドで受けた依頼が、どの状態で採取した薬草がいいのか聞いていなかったので、とりあえずは根付きの状態で薬草は採取することにした。


 採取用のナイフもしまって、視界に入るものを黙々と採取していく。爪の間に土が入るけど、まぁ別にいいだろう。

 違う形状のものでも採取できそうなものはとっていった。


 薬草以外には、毒草や食用草などもたまに生えていた。それらも同じく根付きで採取をしておいた。

 食用草はそういう名前ではなく区分としては雑草に入る。雑草でも見た感じ種類が違うように見えるものについてはとりあえず採取して鑑定していたら『雑草/食べることもできる』と説明に出たものがあったので勝手にそう呼ぶことにした。ちなみに『雑草/中の液が出ると非常にくさい』とあえて説明に出ていた雑草も切ったり折れたりして液がでないようにしていくつか採取しておいた。


 採取前に鑑定すると、薬草、だとか毒草、だとかの名称だけが分かるようだった。いや、今の鑑定のレベルのせいかもしれないけど。

 鑑定してもとくにMPは消費しないから、経験を積むことも考えてどんどん鑑定していった。

 ついでに投げるのに手頃なサイズの石や、少し大き目の石なども拾っておいた。あとで投げたりしていたら投擲とかが取れるかもしれない。

 依頼された分をとったあとも、自分であとから調薬に使えるだろうと引き続き薬草を採取していく。


 そうして黙々としゃがみこんで土を掘って薬草類採取するのに集中していたら、急に背中にどん、と衝撃を受けた。

 思わずバランスを崩して両手を前につく。痛くはない、けどびっくりはした。


 驚いて後ろを振り向くと、そこには緑色をした透明な丸い生き物がいた。

 30センチ弱ほどで丸くてぽよんとしている。ちょっと可愛い。


 HPを確認したら5、ダメージが入っていた。後ろからぶつかられたからだろうか。

 採取して握っていた薬草をインベントリにしまっていたら、ナイフを取り出すより前にスライムがこちらにジャンプしてきた。


「っぶな」

 今度は正面から勢いよくジャンプして体当たりをしてきたので、思わずドッジボールのボールキャッチみたいに両腕でキャッチしてしまった。ダメージはない。


 両腕で抱えたときに、ふにょんとした感触がした。柔らかい。でもほどほどに弾力がある。なんだこれ小さい頃に実験で作ったドロドロしたスライムではなく、ゲームとかに出てくるぽにょんぽにょんのスライムだ。酸が出ているのか手のひらに少しだけ刺激があるけど痛くはないから、感触が楽しくて思わず両手スライムをもむ。

 ストレス解消の癒しグッズとかで握る人形みたいなクセになる感触だ。これは楽しいぞ。

 スライムは焦ったように動こうとしたけど、両手でしっかりと掴んでいるので、逃げられもぶつかられもしなかった。おっとっと、逃げるなにげるな。


 ぽよんぽよんと揉んだりつまんだり両手で左右から押して挟んだりしてその感触を楽しむ。

 体感としてはあっという間だったけど、少しの間そうやって遊んでいたら突然ボンッという音と共に手で掴んでいたスライムが消えた。


「えっ」


 急にスライムが消えた。可愛いし楽しいから何なら持って帰りたいぐらいだったのに、スライムが消えた。


 もしかして、とインベントリを確認したら、中にはスライムゼリーという素材が入っていた。


 どうやらスライムで遊んでいたら倒してしまったらしい。ナイフを使ったわけでも拳で殴ったわけでもないのに死んでしまった。スライムって儚い。


 これが私の初めての戦闘ということになるけど、これは戦闘って言わないよな。儚すぎて他の人が北へと流れた理由がなんとなく分かってしまった。


 ちなみにこの話を仁奈にしたら笑われたのはまた別の話だ。


 それにしても採取に集中していたせいで全く周囲を見ていなかった。そう思って改めて見渡すと、少し離れたところに草の陰に緑色の何かが見えた。


 スライムとの二度目の遭遇である。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ