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ウミと一緒に道具屋さん 1

 

 私が先頭に、後ろからウミが入る形で道具屋の扉を開く。

「こんにちはー……」

「失礼します」


 ドアベルがなる中、声をかける。確認しなかったけど、もしもギルドみたいに時間帯によって店番が交代していたら前に話した内容は共有されているだろうか。


「あぁ、いらっしゃい。昨日ぶりだね」

 読んでいた本に栞を挟んで、カウンターごしに挨拶をされる。

 昨日と同じ人だ。依頼の内容的にノエルさんというんだろうけど、自己紹介したわけじゃないから名前は呼べない。


「そっちの子はアンタの連れ?」

「はい」

 ウミも挨拶しながら会釈をする。


「今日はどんな用?昨日言ってた魔法石は用意できたからお金があるなら渡せるけど」

「昨日の今日でもう用意できたんですか?早いですね」

 ウミが隣りでソワッとしたのを感じながら、話を進める。


「魔法石は1つなら買えるお金ができたのでお願いしたいです。あと、昨日言ってたポーションも無事に作れたので持ってきました」

 そう言ってカウンターに店売りと同じ回復量の初級ポーションを10本並べる。


「回復量が足りなかったら買わないけどね。確認するよ」

 そう言ってノエルさんは一本ポーションを手に取り、内容を確認するように眺める。


「規定の回復量にはなったみたいだね」

「はい」

「これなら買取するよ。ギルドと同じ金額での買取になるけど問題ない?」

「はい、大丈夫です。材料はあるのでまだ作れますが、ポーションの方は取り扱いはどんな感じですか?」

「まぁ昨日の今日だからそれほど変わりはないね。一応ギルドとかで薬草入荷して作って対応とかもしてるんだけど」

 作ってもすぐに売れてしまうから、まだまだ在庫がカツカツなのは変わりがないようだ。


「魔力回復用のポーションとかも作れるの?」

「あ……そっちはまだです」

「そう。ま、ポーションだけでも十分助かるよ。ありがとう」


 その言葉と共に代金を支払われる。ギルドと同じ買取金額ではあるけど、問題ない。

 受けていた依頼は無事達成扱いになったようだ。報酬のところに街に対してのポーション納品貢献度アップと書かれていたけど、買取された分の金額以外には特に変化したような感じはしない。今はまだよく分からないけど、あえて書いてあるってことは何かの意味があるんだろう。


「はい、これが昨日頼まれた魔法石。一つ分って言ったけどどれを最初に買うか決めてる?」


 カウンターに並べられた三つの魔法石を眺める。見た目は本当にその辺の石を丸っこくしたような感じで、地面に落ちていても多分気づけない。そんな感じのものだった。生活魔法ではなく違う魔法だったら、もっと綺麗な石だったりを使うんだろうか。


「クリーンの魔法石でお願いします」


 どれがどの魔法なのかは見ただけでは分からないけど、鑑定を使ったらどの石がどの魔法が入っているのかが表示された。それと共に、残回数と書かれており、どの石も5となっている。

 クリーンの魔法が入っている石を指さし、代金の5,000ノードを支払って魔法石を受け取る。

 石を覗いてみると、前に見たものとは違う図が書いてある。ウミが気になっていたようだから手渡して中を見るように伝えた。


「魔法石の中に文字が書かれてる……これがクリーンの魔法?」

「そうそう。昨日の今日で用意されてると思ってなかったんですが、そんなに簡単に用意ができるものなんですか?」

「ん?あぁ、生活魔法を使えるようにするぐらいなら、等級の低い魔法石で問題ないからね。本来なら小さいサイズの石でも作れるけど、そうすると無くしたり落としたりする人が多いから、人工的に作られた石に魔法を入れるんだ。それも別に難しいものではないし錬金術師が錬金の練習に作る程度のものでいい」


 人工的に作られた魔石に、石に魔法を入れる、魔法を入れる石は錬金で作れるシロモノ。

 今のだけでめちゃくちゃ聞きたいこととか気になることとかが沢山ある。

 興味深そうに魔法石を見ていたウミも、視線を店員さんに向けていた。思わず二人で見合わせてしまう。

 そうだよね、気になるよね、今のは。


「すみません、もう少し話しても大丈夫ですか?」

「何か気になることでもある?まぁ別にいいけど、とりあえず問題なく使えるか試してみたら?」

 初めてなんだろう?魔法石持つの。


 そう続けられて、確かに、となった。

 ダスティンさんにライトの魔法石を見せてもらったときは、実際には発動させなかったし、文字を書き起こして、実際に発動してみろ、という流れだった。

 まぁ魔力操作とかができないから全くできなかったんだけど。


 ウミから魔法石を受け取って、ノエルさんを見る。

「魔法石を握ってクリーンっていうだけでいいよ。何回か発動できる分ぐらいは魔力をこめてある」


 なるほど。先ほどの残回数というのがこめられた魔力で発動できる回数ということか。使い方の説明はそれだけで終わったから、ただ単に発動させるだけだと勿体ない気がして、ちら、とウミを見てからクリーンを発動させた。


 発動する先はウミだ。

 先ほど殴られて地面に倒れこんだせいで多少服が土で汚れていたから、それが綺麗になればいいなと思ってのことだ。


 クリーンと唱えると、魔法石が一瞬光りそれと共にウミの身体をクルッと風が吹いたと思ったらどことなく服が綺麗になった。


「問題なさそうだね」

「今のは……?」


 ダスティンさんがクリーンを発動させたときとは少しエフェクトが違うような気もするけど、土がついていたところが無事綺麗になったようだった。

 クリーンを使われたウミは、何がしかを感じたのか不思議そうに自分の身体を見ている。

 ダスティンさんが自分にクリーンを使ったときは何も感じることなく一瞬で綺麗になったけど、そうじゃなかったんだろうか?


 この辺は後から聞いてみよう。


「魔法石に入っている魔力がなくなったら、うちで補充もできるけど、魔法が使えるなら魔力操作ぐらいできるだろう?それなら自分で補充もできるし、使用時に魔力を一回一回こめてから使うことだってできるよ」

「なるほど。分かりました」


 まぁまだ魔力操作は使えないんだけど。

 そういうことなら、空になった魔法石に魔力をこめることで魔力操作の練習にもなるかもしれない。

 とりあえずまだ話をしてくれる感じだから、聞きたいことを聞いていくために手持ちのメモ束とペンを取り出して、ウミから魔法石を受け取って中に書かれている文字を書き写す。最初は横書きで文字を書き写し、そのあとに形や配置も含めて書き写した。


 それを横目に見てからノエルさんはウミへと話しかけていた。


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