初めての冒険者ギルド
冒険者ギルドに入ると、左側には小さなメモがいくつも貼られたボード、正面には受付のようなカウンター、右の壁側には長椅子、右側にもカウンターが、ボードとカウンターの間には通路があった。
「ようこそ、冒険者ギルドへ。初めての方ですか?」
「えっ、あ、はい!」
「でしたら一番左側のカウンターが初めての人用の受付となっております。そちらへどうぞ」
キョロキョロと周りを見ていたら、通りがかったお姉さんから声をかけられた。案内されたカウンターへと向かうと、明るい髪色の女の人ににこりとほほ笑まれる。
「初めまして。冒険者ギルドへはどのようなご用件でしょうか?ご登録でしょうか、それとも何かご依頼でしょうか」
「あ、初めまして、な、じゃない。チョッキと申します。ギルドに登録したいので、お願いしても大丈夫でしょうか」
「はい、それではこちらに手をかざしていただけますか?」
「水晶……ですか?」
「のように見えてるかもしれませんがそういう魔道具なんです」
そういって説明されたのは、手をかざすことで、名前からレベル、ステータス、スキル等々、自分でステータスを見たときのような内容が分かるようになっているらしい。犯罪歴の有無や、ギルドランクなども載るようだった。どういう理屈かは分からないけどすごいな、魔道具。
「はい、チョッキ様。登録が完了しました。それではこれがチョッキ様のギルドカードになります」
細かい情報を載せたくない場合は、表記に触れると載せるかどうか選べますよ。最低限ギルドランクと名前は必要ですけどね。また、受けている依頼を確認することもできます。
そう続けられたから、身分証明書として出す機会があるなら最低限の情報だけにしておいた方がいいかな、と名前とランク以外の表記を他の人には非表示になるようにした。
最初の登録はFランクのようだ。Fランクのまま一定期間一つも依頼をこなさないと除名され、再登録には費用と条件が発生するらしい。一つでも依頼を達成したらEランクになるので、依頼を受けずに除名される人はほとんどゼロらしい。
受け取ったギルドカードはインベントリの中の大事なものというくくりの場所に自動でしまわれた。
依頼は、掲示板から紙をとって受付に渡してもいいし、ウインドウから同じ依頼を引き受けることもできるらしい。ギルドのお姉さんの説明だと旅人の方は専用の道具で同じようにクエストを受けられますよ、という形で説明されていた。確かに住人からしたらウインドウとか意味わかんないもんね。
右奥のカウンターはドロップした品などの売買ができるらしい。ただ、金額は基本的に一定だから個別に売りに出した方がいいときもあるようだ。
「あ、そういえばここで戦い方の訓練とかも受けられると聞いたのですが、どんな感じですか?」
「そうですね、場所だけの貸出と、訓練付きのものとでかかる費用が違いますね。
訓練は選んだコースによっても金額が変わります。
場所だけの貸し出しは1時間500ノード、基礎コースの場合も1時間500ノード、応用になるともっとかかりますね。今は少し混んでいます」
「なるほど」
今手持ちは4,800ノード。こういう場合、初期装備をそろえた方がいいのか訓練で慣れた方がいいのかよく分からないなぁ。とりあえずレベル10までは超初心者対応でデスペナルティがないらしいし、いったん訓練なしでどんな感じか様子を見るのもありかな。
「色々教えてくれてありがとうございます。とりあえず訓練所はまた今度の機会にします。何か依頼を受けていこうと思うのですが、初めてでも受けられそうなオススメとかありますか?」
「そうですね、チョッキ様は鑑定や採取をお持ちですから薬草の採取依頼などいいのではないかと思います。
薬草でしたら南門を出てしばらくしたところにも生えていますし、そちらなら遠くまで行かなければそれほど強いモンスターは出ないので行きやすいと思います」
屋台のおじさんが言ってたやつだね、ウサギとかスライムがいるって言ってたっけ。
「ならその依頼と……スライムの討伐とウサギの討伐依頼も受けてみますね」
「はい、分かりました。ギルドカードをお貸しください。……はい、依頼を受けましたので、依頼を達成したらまたお越しください」
「ありがとうございました」
礼をしてから手を振ってカウンターから立ち上がり、そのまま販売カウンターの方に歩いていく。基本的な値段設定はここで見られるだろうし、何が売られているのかも気になるから。
あとからさっきは素通りした道具屋とかも覗いていこう。
カウンターで売られているものを見ると、この周辺で採れそうなものが売られている印象だった。
その中で、紙束とペンと詰め替え用のインクを発見したから思わず買ってしまった。さっきおじさんの話を聞いていたときもメモができなかったし、マップにはお店や道は載るけど、具体的なメモなどは載せられないからだ。
ざっくりと紙に地図を書いて、店名やそこで取り扱ってるものなどを書き込んだりもしたい。
紙束は50枚で200ノード、ペンが500ノード、インクが300ノードだった。これだけで1,000ノードだ。
自分の手持ちに対してはたっかい!と思ったけど、見た感じの発展具合での紙とペンは貴重品扱いなのかもしれない。これで手持ちは3,800ノードだけど後悔はしていない。
先ほどの訓練所の金額や内容についても紙の端にこちょこちょっとメモをしておいた。
ついでに買い物自体はウインドウで行ったけど、カウンターで差し出された一覧はやっぱり読めなかった。
紙束とペン、インクはどれですか、と聞いたらこれだよ、と教えてくれたから、どういう翻訳かは分からないけど、見よう見まねで文字をメモしておいた。……全然見覚えのない文字のせいで、文字ってより絵とか記号を書いてる気分だな。
紙とぺンも手に入れたし、ギルドカードも作成したし、これで自由に動けるかな。とりあえずギルドカード作るのにお金がいらなかったのは助かった。
先に道具とかを買ってギルドに登録できないと嫌だなってことでさっきは気になりつつも素通りしたお店に入って中を見ていこう。ついでにPL売りの商品と値段も。どっちで買った方がいいとかあるかもしれない。
串屋のおじさんに教えてもらった道具屋に行くと、初心者用の料理セット、調薬セット、錬金セットが売っていた。他のスキルで使えそうな道具一式もだ。それぞれ800ノードしたから手持ちを見てどうしようか迷ったけど、とりあえず料理、調薬、錬金の三種類の初心者セットを買った。これで残りは1,400ノードだ。
武器防具を取り扱うお店も寄ったけど、自分の手持ちではほとんど買えなかったし、実際にモンスターと相対してみないと何が必要か分からないしそのままで行くことにした。
周りに初期装備ではなくなったPLがたくさんいるけど、まぁレベル10まではデスペナないしな。と思ったらまぁいいかと思うものばかりだった。
そのわりに初心者用のセットや文具類は買うのかって?欲しいと思ったからいいんだよ。買いたいものを買うためにお金はあるんだから。全額使ったわけじゃないし大丈夫でしょう。
外に出てみたら他に必要なものとかできるかもしれないし、これ以上は何かを買うつもりはなかった。
PLが出している露店もさらっとみたけど、お店によって品質や効果もまちまち、値段設定もまちまちだったから、一概にPLの店が、とか住人がやっているお店が、どちらがいいという感じではなかった。PLが売ってるものについてはちゃんと他と値段見ながらじゃないと損する可能性もあるな。
そんなこんなで広場付近の露店を見ながら南門へと向かい、立っていた門番さんに軽く挨拶をしながら門をくぐった。
対人は意識しているのでなんとかなっていますが、彼女はくたびれているので他については考える→すぐやる、かつ忘れていることが色々とあります