少しだけ試してみる
夜明け前とかならまだしも街中の人通りが多いところで作業するのもなんとなく気が咎める。かといって魔法石を購入することを考えると作業所を借りるほど手持ちに余裕があるわけでもない。
だから外でこのまま、と思ったもののなんとなく人が活動しているところで道具とかを広げるのも憚られたため、街を囲うようにして作られている壁際をしばらく歩いて人があまりいないところまで移動する。
そこで手持ちの薬草で作れるだけのポーションを簡易調合で作っていく。
もっと効果の高いポーションが作れないか実験もしてみたいところだけど、とりあえずは納品用に店売りと同じ回復量のポーションで全ての薬草を消費した。
納品依頼での貢献度のことも気になるし、1つ依頼を達成したからといって街が必要にしている分に足りるとは思えない。必要があれば追加で納品することも考えてだ。
ポーションの作成が終わったら、せっかく内臓も多めに手に入れたから、ということで他のことも試してみることにした。
道具を洗ってからまな板に内臓をいくつか取り出してすりつぶし、そこにすりつぶした毒草も入れてみる。
丸めたら毒団子みたいにならないかなと手を使って丸めてみたけど、うまくまとまらない。つなぎになりそうなもの、とインベントリを確認したけど使えそうなものはない。カロリーバーのような形状の簡易食料を砕いて入れてみたら先ほどよりはまとまりがよくなったけど、まだちょっと触っただけで崩れてしまう。
試しに火を通してみるかということで、鍋に水を入れて沸騰させて、ゆでるように丸めた団子を投入する。サイズは火が通りやすいような一口サイズだ。
しばらく火を通して取り出すと、持っても崩れないものが出来上がった。鑑定をしてみると、毒団子。動物の内臓を使った毒団子。肉食の生き物の興味をひく。というような内容が出た。
前よりも少し説明が細かくなったような気がするのは鑑定のスキルのレベルが上がったからだろうか。毒の効果がそれほど高くないようだけど、試しで作ったものだからこんなものだろう。
ちなみにゆでる場合は簡易食料がなくても普通に火が通ったら固まったから繋ぎは全く必要なかった。
道具を洗ってから、今度は毒草ではなく薬草を使ったり食用草を使ったりして同じように肉団子を作ったけど、こちらは特に効果はない草の匂いと内臓の生臭い匂いの肉団子、というような説明のものだった。
試しに内臓ではなく、肉を包丁でミンチみたいに細かくしてから同様の手順をふんだところ、毒については同じようなものが、肉団子については生臭いの表記が消えて青臭いという表現だけが残った。
毒じゃない方を食べてみたけど、生臭い方は新鮮表記のない内臓を使ったからか空腹度が回復し若干体力が減った。生臭くない方は普通に肉団子という感じだったけど噛んだ瞬間に広がる青臭い匂いで美味しいという感じではなかったから残りはそっとしまった。
自分で食べるぶんには、普通にミンチと塩とかで味を整えただけの肉団子がいい。スープに入れるのもよさそうだから今度また試してみよう。
草入りの団子で口の中がまずい感じがしたから、ロルフさんのところで買った串焼きで口直しをした。
なんとなく作業中の鍋に水を入れるときとかに、手から出すように行うのではなく鍋の中に水を発生させるようにイメージしながらクリエイトウォーターを使っていた。最初何度かは暴発したけど、何度か行ってる間に入れ物の中に水を発生させるのはできるようになった。
手から出さなくても水が出せるようになったなら、もっと他のこともできそうだ。
団子づくりを終えた後の片付けをしているときに現れたウサギに、なんとなく顔あたりにクリエイトウォーターで水の塊を発生できないか試したら、数秒水の塊を作れたけど形を固定するのが難しくてすぐにパシャンと飛び散ってしまった。
ウサギは顔に急に水が現れて一瞬溺れるような感じだったけど水がすぐに崩れたから、顔を振ってからこちらに何事もなかったように向かってきた。
そのまま普通に倒したけど、水を発生させるのはできるようになったけど入れ物もないところで形を固定させるのは難しいなと思いつつ、街へ戻る道中、水を空中に出して固定するということを繰り返しながら帰った。
クリエイトウォーターで使うMPってほとんどないようなものだし、もっと色々できるようになったら面白そうなんだけどな。
次は水の勢いを強くしたり水の塊を飛ばせないか試したい。これができたらクリエイトウォーターに必要なMPでウォーターショットができる可能性もあるかもしれない。
再び街へ戻ってきたので、次は生産者ギルドへ向かうことにした。




