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巨大蜘蛛との戦闘1

 

 ボスとの戦闘時に周囲とエリアが切り離されて、勝利して戦闘が終了するか全滅しないと元いた場所へは戻れない。厳密にいうと全滅したら街で目が覚めるため元の場所に戻るわけではないけど。

 ボスと戦っているときは、他からの乱入も邪魔も入らないし、援護なんかも入らない。

 新たに復活するまでに一定の時間がかかるタイプもいるらしいけど、条件によって登場するボスなんかは同時に他のパーティーも別の同じ種類のボスと戦ったりできるらしい。エリアボスなんかも、一度倒されたあとはそんな感じの扱いだと後から説明を受けた。

 この説明は、巨大蜘蛛との戦闘後に聞いた内容だけど。


 目の前に現れたのは胴体部分が7-8人乗れそうな大きい車と同じぐらいの巨大蜘蛛。胴体から生える足は長く、足までいれた全長で考えると相当な大きさだった。

 少なくとも私は始めて遭遇するサイズの敵だ。

 先ほどまで戦っていたものよりもはるかに大きなソレは、その分細部までよく見えるようになっていた。


「巨大蜘蛛!?此処での通常ボスは女王蜂(クイーンビー)って話じゃなかったっけ!」

「そうだけどもしかしたら討伐数だとか別の条件とかで特殊な発生したのかもしれないな!」


 ニーナとイッチは突然の巨大蜘蛛の登場に、驚きつつもワクワクとした顔をして武器を構えた。

 ウミさんと私は戸惑いつつも、戦闘だとは分かったから同じく武器を構えた。


「ウミとチョッキはとりあえず距離とって様子見!撃てそうなら魔法で攻撃してくれ!」

「わ、分かった!」

「了解」


 一応二人とも魔法持ちで遠距離からの攻撃ができるからということで、言われた通りに走って距離をとる。


「多分チョッキに関しては一発でも攻撃くらったら死にそうだから回避優先でいいから!」

「え、でも」

「いいから返事は!」

「はい!」

「オーケー!せっかくだから四人そろってドロップも経験値も獲得するぞ」

「とりあえず最初は攻撃のパターン見るぐらいでいいから、二人とも回避優先でね」


 そうしたらメインで戦うのが二人になるんじゃ、と思ったら問答無用でそう言われた。

 確かに初期装備の紙装甲だから、下手に飛び出ると迷惑になるのかもしれない。


 イッチが大きな声を出して挑発し、巨大蜘蛛の意識を自身へ向ける。巨大蜘蛛はその長い脚で薙ぐようにして攻撃をしたり、糸を吐いてくる。先ほどまで戦っていた蜘蛛は体当たりや噛みつきをしようとしてきていたが、巨大蜘蛛に関しては、リーチが長いため8本の脚を使って薙ぐ、刺す、叩き潰そうとするというような攻撃をしてくる。


 イッチは攻撃を盾でいなすようにし、ニーナも重めの武器を持っているわりには素早い動きで攻撃を避けている。ニーナの方に攻撃を加えるタイミングでイッチが盾を使って強打する技で胴体部分に攻撃を加え、イッチが盾で攻撃を防いでいるときにはニーナが近づいてメイスをぶつける。

 ウミさんと私はお互いに距離をとった状態で、蜘蛛からできるだけ離れたところから魔法を使って攻撃。ただ、ウミさんの向かい側に立ったりするとたまに魔法が蜘蛛に当たらずに飛んでくるから若干ずれたところに位置どっていた。ただ、あまり攻撃を連続で行うとこちらにボスの意識が向くため、適度に間隔をあけつつの攻撃だった。


「悪い!ポーション切れだ!」

「チョッキ、回復!」

「分かった!」


 イッチのその言葉に、ポーションを投げて回復する。投げたポーションは無事イッチに当たったけど、それを確認したあたりで、ぞわっとした感じがした。

 ボスの方を向くと、こちらを見ていた巨大蜘蛛についた五つの瞳と目が合った。


 あ、これはヤバい感じが


「う、わぁ!」

「チョッキ!」


 ゾクッとした感覚がしたと同時に長い脚が私の方めがけて横薙ぎにふられた。とっさにしゃがんだことで直撃はしなかったものの、ゆるく巻いていた狼マントのフード部分に脚が引っかかってマントが脱げた。マントがはぎとられた勢いで、身体が宙に浮いて地面に投げ出された。

 仰向けに倒れたところに次の攻撃が入る。


「っ!」

「チョッキさん!」

 意味はないと頭では分かっていたけど両腕で頭をかばうように動かす。今まさに攻撃されようとしたところでウミさんが火魔法を放って刺そうとしていた脚を吹き飛ばした。

 魔法の熱気と蜘蛛の脚が燃える匂いがする。

 魔法で一本脚を焼かれた蜘蛛は、次はウミさんの方に向き直り蜘蛛糸を団子のようにして撃ち出した。


「ウミさん!」

「大丈夫だからチョッキは態勢立て直して!」


 立ち上がりながらウミさんの方を見ると、イッチが盾で飛んできた蜘蛛糸からウミさんをかばうのが見えた。二発蜘蛛糸団子を発射したあと、今度は量が多いだけの蜘蛛糸を打ち出される。


「蜘蛛団子に当たると瞬間的にスタンするぞ!」

「お兄大丈夫!?」

「ぐっくそ」

 蜘蛛糸団子を二発とも盾で防いだイッチは、そのあとの蜘蛛糸を避けられず盾と地面に蜘蛛糸がかかった状態になってしまう。蜘蛛糸団子とは違い、ねばついたソレは動きを疎外するようだった。


「動けるようになりそう!?」

「ダメだ!ウミ、蜘蛛糸だけ燃やせそうか!?」

「やってみます!」

 ウミさんは火魔法で盾にかかった糸を燃やそうとする。その間も動けなくなったイッチに向かって近づく蜘蛛。


「アンタの相手はこっち、だっての!」

 ニーナが横から蜘蛛に向かってメイスで技を振るう。その勢いで、二人へと伸ばしていた脚は踏ん張るように地面におかれて攻撃が止まる。


 どうしよう。

 イッチは動けないしウミさんもイッチに対応している。ニーナも一人だけでは限りがある。

 どうしよう。

 私ができるのは水魔法と、素手での近接戦闘、持ってるのはポーションと素材と毒ポーションとかだけ。

 私に何ができるだろう。

 あまり近づきすぎるとまた庇わせてしまって迷惑がかかる。

 どうしたら。


「っニーナ離れて!」

「チョッキ!?」


 インベントリから取り出したものを頭部分めがけて思い切り振りかぶった。


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