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初めての調合。

 

 事前に炒めるだけにしておいたおかずに、朝に多めに作った汁物を食べて、お風呂に入る。いつもはゆっくりお湯につかると寝落ちして溺れそうになるから、普段はさっとシャワーで済ませるけど、今日はゆっくりお風呂につかっていた。脚とかもついでに揉んでおく。


「はぁー……あったか……」


 やっぱりシャワーだけですますより、お湯をはってつかった方が身体にもいいよなぁ、気持ちいいし。ただやっぱり気を抜いたら寝そうだ。

 寝ないようにと、洗いながらこの後のことを考える。


 この後はログインしたときの時間にもよるけど、門が開くまでは門近くの場所でポーション作り。調薬とか錬金がどんな感じか試して、あと肉でも焼いて何かを食べてゲーム内でもお腹を満たす。

 仁奈と合流した後は北門から外に出て、どんな感じの敵か見たり、捕縛や解体のスキルを確認。そんな感じだろうか。あと仁奈がどんな戦い方してるかも見るのも楽しみだ。


 いつもよりは多少長めにお風呂に入って、髪を乾かしたりゲームの後は寝るだけの状態にする。

 現在の時間は19時を少し過ぎたぐらいだ。ゲーム内では開門の時間まで2時間以上あるだろうから、ある程度はやろうと思っていたことはできそうだな。


 ログインすると、あたりは暗く、通りの近くは建物の軒下にある木枠が明るく周囲を照らしていた。夕方に見たやつだなぁ。思ったよりも明るい。

 通りを歩いて北門近くまでくると、門はしまっており、門番さんも立ってはいなかった。周囲にはポツポツと人がいるぐらいであまり人は集まっていなかった。

 門の両脇の門柱の上にも、家々についていたものよりも大きいサイズの魔法石が周囲を明るく照らしていた。


 ちらほらいる人は座り込んで作業をしていたり、アイテムの整理をしているのかウインドウを操作しているような動きをしたりと様々だった。


 これなら私が座って作業しててもそんなに目立たないかもな。

 そう思い、なんとなく直接座るのも気が引けてお尻のところに解体した大き目のウサギの皮をしいて座った。座る前に、顔部分の皮が目のところが穴があいていて微妙な気持ちになったからナイフで簡単に形を整えた。手足頭あたりの飛び出ている部分の皮を切ったぐらいだけど、目が合うような気持ちにはならなくなったからよしとしよう。ついでにもう一枚作成して作業側のマットとして敷いた。


 とりあえず満腹度が下がっていたから、最初に買ったウサギ肉の串焼きを食べて多少お腹を満たしておく。


 次はポーションのレシピを確認しよう。

 薬草二つに純水、小瓶。

 クリエイトウォーターで出した水は不純物を含まないらしくそのまま調合に使えるらしい。依頼を受けたときにもらったレシピを選択すると、レシピを覚えました、という表記と共にレシピの用紙が消えた。


 とりあえず調薬と錬金どちらもやるし、ということで初心者セットを両方とも取り出して袋から出しておく。


 スキルの調薬のところを選ぶと、初級ポーションという項目が増えており選べるようになっていた。ここから選択すると、素材さえ持っていれば簡易調合といって一瞬で調合ができるようだ。

 作業無しで指先1つで生産ができるって不思議だなぁ。普通のRPGとかならウインドウで選択するだけだから普通だけど、こうして自分の身体を動かしているのに、作業は指先1つでできるのは不思議だし楽だけどもったいない気もする。


 でもまぁとりあえず一回はやってみないとな。簡易調合で初級ポーションを選択して調合をする。


 ポン


 小さな音と共に小瓶が現れた。鑑定すると、レア度と品質共に1の初級ポーションと表示された。回復量は20で初心者用ポーションと同じぐらいだ。店売りの初級ポーションは回復量が50だから全く足りていない。

 スキルレベルのせいだろうか。


 もう何度か簡易調合で初級ポーションを作成する。

 二つ目、ポンという音だけして何もできず素材だけの消費。失敗。

 三つ目、ポンという音がしてまたも回復量足らずの初級ポーション。


「……あれ?」

 というか私はこの流れで一回もクリエイトウォーターを使っていない。水は一体どこから使われているんだろうか。まさか空気中の水分じゃないだろうな。

 とりあえず調薬セットに入っていたビーカーを取り出して、その中にクリエイトウォーターで水を満たしておく。


 その上で再度簡易調合。

 ポン、という音と共に小瓶。ビーカーに入れた水も使われたのか減っている。

 鑑定すると、今度は回復量が30と回復量が上がった。

 なるほど?材料が不十分だったらそりゃうまくいかないよな。


 一回自分でも適当にやってみようと、調薬セットに入っていた乳鉢と乳棒で薬草をすりつぶしてみる。ゴリゴリと音をさせつつ目視で十分つぶせたかな、という状態の時にビーカーから水を乳鉢に投入。再び乳棒で混ぜる。途中で鑑定すると制作中の初級ポーション?という表記が。

 疑問符をつけるんじゃない。


 とりあえず漏斗を使って小瓶の中に流しいれて蓋をする。再度鑑定すると今度は薬草水と出た。が、回復量は10と単純に薬草を二つ食んだときの回復量だった。


 レシピを覚えましたと言っても具体的にどういう手順で作業をしてるということは分かっていない。スキルと同様に、選択したら詳細が見られないか試したら、簡単な説明だけ出た。


 材料:薬草2つ、純水

 薬草をすりつぶしたものに純水を加え、熱する。


 ほうほう。加熱が足りなかったのか。そりゃ単純に素材の回復量になるわけだ。

 とりあえず簡易で小さく火をおこして、三脚と金網をセットしておく。今度はすりつぶした薬草に水を加えて、そのまま熱してみた。

 とくに時間や状態に指標があるわけではないからなんとなく温まったかなというところで止めた。小瓶に入れて鑑定。

 今度は表記上では初級ポーションと出たけど、回復量は25だった。


 今度は順番を変えて、水を沸騰させてからすりつぶした薬草を投入。その後再び加熱。これは回復量は15だった。


 すりつぶした薬草を入れる時の量や入れ方を、何回かに分けて混ぜていくなどして変えてみる。すりつぶす前に包丁で軽く刻むのも試してみる。出来上がったものを薬草の残りくずと水分とにざっくりと分けてみる、これは綺麗な布がないからとりあえず小瓶に移すときに液体だけゆっくり入れて個体が残るようにしてみた。十分に混ぜた後に液体だけで加熱。等々。思いつくままに試していく。


 簡易ではなく自分で色々試した中で一番マシだったのは水に少しずつすりつぶした薬草を投入しつつ加熱。すりつぶす時には事前に包丁で細かくしてからすりつぶす。しっかりと混ぜながら加熱して、最後に液体と他とで分けて、液体部分だけを小瓶に移すというものだった。これで回復量は40。あくまで布やザルでこしたりしていないので、小瓶には多少液体成分以外のものが入ってしまう。もしかしたら布とかで思い切り絞ったりすると効果が違うかもしれないけど、そこはまぁ今は手持ちがないからまた今度。


 ここまでで店売りと同じ効果のものが1つも作れていない。どうしようかな。


 とりあえずスキルのレベルが少し上がったことだし、最初に戻って簡易調合を行うことにした。

 ただし今度は採取された薬草そのままではなく、洗った後にすりつぶした薬草と、クリエイトウォーターで出した水を用意して、簡易調合を行う。ここでようやく回復量50の店売りと同じ効果の初級ポーションができあがった。


 薬草の状態も簡易調合に影響するなんて思ってなかったな。スキルレベルのせいかと思ってたけど、これ、乳鉢とか乳棒とかを触らずにそのまま簡易調合だけしか試さない人だとずっと回復量が少ないものしか作れないのでは?

 でも確かに現物ままの素材だけで店売りポーションと同じ効果のものができたら誰もポーション買おうだなんて思わないもんね。この辺は時間をお金で買うかどうかの話で個々人によって優先が変わってくるんだろう。


 出来上がったポーションはどれもクールタイムは同じだけど、回復量はバラバラだからインベントリにしまうとそれぞれで枠が使われてしまう。数が少ないものから自分で使ってこう。


「あれ?」


 実験で薬草や小瓶を使ったので、材料の確認をしていたらあることに気づいた。

 それは、薬草の消費に対して小瓶の残りの量が計算が合わないということだ。

 自分が作ったポーションの数量と残りの小瓶の数が合わない。その差は簡易調合した分の小瓶が消費されていないぐらいの量だった。


 試しに先ほど試した店売りと同じ回復量のポーションを簡易調合で作ってみる。インベントリの確認。

 なるほど、やっぱりだ。薬草は減っているけど小瓶は減っていない。ということは依頼を受けたときに小瓶が前払いの材料として渡されたけど、全て簡易調合で作成したら、まるまる小瓶は自分で自由に使えるということだ。


 追加で小瓶を買う必要はなかったのでは?と一瞬思ったけど、マニュアル作業で調合をするときは小瓶がないと作成したものを入れられず完成にはならないから、やっぱり小瓶は買っておいてよかったと言える。レシピがあるなら簡易調合もできるけど、レシピがない状態で実験をするなら小瓶などの出来上がったものを入れるものは必要になる。


 とりあえず1つは店売りレベルの物が作れたので、もっと効果を高める方法もあるかもしれないけどそれを実験するのは一旦保留して最低限依頼に必要な数量を調合した。ギルドの依頼用と道具屋さんに納品する分、そして自分用に少々だ。


 必要数作成した後は、一度調薬はやめて錬金の方を試すことにした。調薬に使った道具はクリエイトウォーターで軽く洗浄してから横に片付けて、今度は錬金道具と向き合った。


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