表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/62

友人とこの世界での初めまして


 噴水のある広場についたので、壁際の人が少なめのところに立って、待ち合わせ場所に着いたことをウインドウから仁奈にチャットを入れる。

 一応髪や瞳の色、髪型なども伝えておく。


「あれ?」

 仁奈を待っている間、色々ウインドウを見ようと思ったら、依頼の欄に目がいった。冒険者ギルドで受けた依頼は全て達成していて、現在はさきほど受けた生産者ギルドでの納品依頼のみのはずだ。

 そのはず、なんだけど、受けた覚えのない依頼が1つ増えていた。


 納品クエスト

 内容:初級ポーションを道具屋のノエルに10本納品する

 報酬:品質に合わせて買取。街に対してのポーション納品貢献度アップ


 なんだこれは。

 ノエル、というのは名前は聞いていないけど道具屋とあるから、おそらくはあの道具屋さんの店員だ。

 とくに依頼を受けたわけではないけど、内容的に、こちらから勝手に売りにきていいですか、と聞いて、それを了承されたということで、依頼が発生した形になったんだろうか。

 そっちも気になるけどもっと気になるのは報酬の欄だ。


『街に対してのポーション納品貢献度アップ』


 これは先ほど生産者ギルドで依頼を受けたときもなかった表記だ。

 個人依頼だから載っているんだろうか。でもこの表現をするなら、ギルドで受けた納品依頼も関係しているのではないだろうか?

 うーん、よく分からない。仁奈はβテストに参加をしていたらしいし、個人依頼について後で聞いてみよう。


 まぁ依頼という認識はなかったけど、どのみちポーションが無事作れたら道具屋さんに売りにいくつもりだったのだ。そこまで何が変わるわけでもない。売りに行くための数量を10個以上にして行くことになっただけだ。


「なつ、じゃない……チョッキさん?」

「!」

 声をかけられてハッと顔をあげる。

 そこにはセレストブルーの明るい青色の髪、ロイヤルブルーの濃い紫みの青色をした瞳を持った女の人が立っていた。


「もしかして仁奈?」

「こら。ニーナ」

「あ、そうか、ごめん。ニーナ?」

「そそ」

「ごめんもしかしてまたチャット送ってくれたの気づいてなかった?ウインドウ見てたんだけど気づかなかっ」

「というかだよチョッキ、どうなってるの!」

「え、何が?」

「……もしかして気づいてないやつ?確かに自分では気づきにくいか?いやでも……」

「ちょちょ、なになに」


 口に拳をあてて考え込み始めたニーナに声をかけてこちらを向かせる。

 驚いていたけど一体何がどうしたのかと尋ねると、全く思いもしていないことを言われた。


「あのさ。チョッキ、なんか顔が幼くなってるよ?」

「は?なんて?」


 予想外な内容のソレに、思わず聞き返してしまう。ちょっとよく分からない。髪や目の色は変えたけど、顔自体ははユーザーデータを作るときにいじっていない。


「なんというか、全体的に若く、というか幼くなってるんだよ。……これ、いつの時かなぁ。小、いやさすがにそこまでではないか。中学生のときぐらいの顔になってるよ」

「まさか。そんな設定項目あった?」

「なかったねぇ」

「鏡がある場所とかないしちょっとよく分からないなぁ」

「えー、……あ、そうだ。ちょっとごめんね」

 そういって何かを操作するニーナ。


「?」

「チョッキのことスクショしたから送るね」

 そう言って人差し指で空中でフリックの動きをする。すると私の目の前にフレンドから写真が送られました、という文字と共に写真が現れた。


 便利だな。添付とかしなくても見せることができるのか。

 そう思いながら送られてきた写真を見ると、普段見ている自分の顔ではなかった。


 訂正。ユーザーデータを作成するときに見ていた顔ではなかった。多少見目が整った分身だったから普段の自分の顔とは元から違うからね。

 ユーザーデータの作成をするときは、違和感なく今の自分を元に作ったと分かる顔だった。しかし送られてきた私の顔は全体的に顔が幼くなっていて、確かにニーナの言う通り中学生ぐらいになっていた。


 ここに来てから鏡とかがあるわけでもないし、ガラスに映ったもので自分の姿をマジマジと見たりもしていなかったから全く気づかなかった。

 いや、確かにところどころ住人とやり取りしていて、あれ?と思うところはあったけどどれもスルーしていた。その違和感が自分のこの顔を見てなんとなく分かってしまった。

 ここでの成人設定がどうかは分からないけど、海外っぽい外見の住人が多いから確かにこれは子供扱いされる。


「全然気づかなかった。身長とかは変わってないし」

「いや、私は自分の身長いじってないけど若干普段より小さくなってる感じはするかな」

「え」

「そもそもチョッキって身長中学生あたりからほとんど伸びてないじゃん、打ち止めだったから違和感なかったんじゃ?」

「打ち止まってないから!そっから5センチぐらいは伸びたから」

「中学生から大学生になるまでにじわじわ5センチはもうほとんど打ち止めレベルの伸び方なんだよなぁ。数ミリずつの成長……」

「5センチは結構な成長だと思う」

「それはいいんだけどさ」

「よくないし失礼なんだよなぁ」

「これって不具合とかバグなのかな」

「他にそういう人がいないならそうなのかな。特に違和感ないから別にそこまで気にならないけどそういう事例があったって連絡はした方がいいかな」


 今日接した人達も急に顔が変わったら驚くかもしれないし、身長も別に気にならなかったということは別に遊ぶのに支障はないと思うしこのままでもいいだろう。不具合自体がない方がいいなら修正されるだろうけど。


「まぁその方がいいんじゃない?」

「どっから連絡できるっけ」

「設定のところでブロックとかその辺に通報とか報告とかそういうのがあった気がする」

「ちょっと待ってね……あった。報告ってことでいいのかな」

「うん」


 最初に挨拶。次に楽しく遊んでいることを伝えてから、顔が幼くなっていること、ユーザーデータを作るときに表示されていたアバターはそうではなかったこと、身長も少し小さくなっているような気がすることを伝える。


「……一度確認していただければ幸いです、っと。お待たせ。送ったよ」

「うん、それじゃあ立ち話もなんだし歩きながら話す?」

「あ、それなら……あ、ダメだ何でもない。あ、あそこベンチあいてるからそこでもいいんじゃない?」

「あ、ホントだ」


 屋台のロルフさんに教えてもらった食事処に行こうって言おうかと思ったけどそういえば手持ち50ノードしかなかった。お金がないのにお金を使うところに誘うところだった。危ない。

 この時間になると門が閉まるから完全に夜の狩りに行ってるか、今の間にログアウトしてるか生産とかしてる感じなのか、多少広場の人が少なくなっていた。


 ベンチにニーナと並んで座る。

「それにしても第一陣としてプレイする人たちってそこそこ人数がいるから、もっとごちゃっとしてるかと思ったけど、人は多いけどそこまでぎゅうぎゅう詰めって感じではなかったね」

「あぁ、なんかいくつかサーバーに振り分けられてるらしいよ」

「そうなの?」

「チョッキってログアウトってした?」

「うん。一回。そのときに仁奈のメッセージ読んでフレンドチャットに連絡きてるの知ったから」

「だから返信遅かったんだ。チャット、気づかなかった?」

「全然気づかなかった」

「そうなんだ、なんか集中してたのかな。まぁいいや、次にログインするときってサーバーどこがいいか聞かれなかった?」

「そんなの聞かれたっけ?……聞かれたかな、なんか適当にオッケーしたのかも」

「とくに何も選択しなかったらフレンドとかがいるところに振り分けられるんだって」

「へぇそうなんだ、便利だね」

「それがなかったらチョッキとは会えてなかった可能性すらあるなって今話してて感じたよ」

「そうかな」

「うん。というか顔の衝撃で気づかなかったけど、よく見たら初期装備じゃん。何も買ってないの?」

「お金がなくてですね」

「あんまり狩りとかしてない感じ?」

「いや、したけどそれを上回る勢いでお金が消えたというか」

「あぁポーションとかそういうの?露店売りのとかも値上がりしてたしね」


 回復のための消耗品は何一つ買ってないんだよなぁ。


「いや、そういうのは買ってないんだけど」

「買ってないんだ。じゃあ生産とかのキットでお金がとんだのかな」

「まぁ概ねそんな感じ」

「装備変えなくて北門の方ってちょっと大変じゃない?」

「北門の方はまだ行ってないんだ。やっぱり南門より大分強くなる?」

「そりゃね。南門って浅いところだとウサギとかスライムしかいないし。わりと皆すぐに北に移動する感じだったかな」

「角ウサギっていうのは遭遇した」

「ホントに?あんまり出てこないって聞いたけどな。大丈夫だった?」

「なんとか。死にかかったけど」

「なら良かった。デスペナルティない期間なんてすぐ終わっちゃうもんね、死ななくてよかった」

「ニーナはもうレベル10超えてるの?」

「うん。北のウルフとかその辺狩ってたらレベル10とかは割とすぐに超えちゃうよ」

「そうなんだ」

「というか逆にチョッキは今何レベルなの?」

「えーとちょっと待ってね、今は……レベル6だね。知らない間に1上がってたや」

「そうなんだ。まぁ南門でしか狩りしてないならそんな感じなのかな。……というか知らない間?」

「うん。結構知らない間にレベル上がってたりスキル増えてたりする」

「……んー?」

「どうかした?」

「ちなみに次の街に行くための道をふさいでいたエリアボスが倒されたのは知ってるよね?」

「そうなの?街の人も困ってたから助かるね」


「ふむ。……ちょっといい?設定のところ一回見てくれない?」

「うん」


 ニーナに言われて私のウインドウが見れるように操作してから一緒に確認したら、いくつか判明したことがあった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ