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最初のログアウト

 

 冒険者ギルドの受付で部屋の使用料を払い、今回解体した肉類を二体分だけ買取してもらう。

 ドロップのウサギ肉が30ノードで買取されるのに対して、解体した肉は各部位を足すと量が多いこともあり、1匹分あたり100ノードで買取してもらえた。ドロップ品のウサギ肉が大体ロースに足2本分ぐらいの大きさしかないので、そんなもんかもしれない。これは解体しない手はないのでは?

 他のモンスターも同じように解体した方が色々取れるし、買取金額も合計すると高くなるのかもしれない。普通に戦えそうで余裕ができたら捕まえて解体していこう。


 ギルドを出て時間を確認するとゲームを開始してからゲーム内で10時間弱ほどが経っていた。現実では3時間半ぐらいだ。ログアウトしてから次にログインする時間によっては夕暮れ時か日が落ちているぐらいかもしれない。

 とりあえず一旦ログアウトして、仁奈と連絡と取ろう。


 確か事前に調べていた感じだと街の中でならログアウトしても問題なかったはずだ。

 とりあえず邪魔にならないように道の端に立ち、ウインドウからログアウト処理をする。


 フッと意識が浮上する。

 ベッドの上で身体を起こし、装着していたヘッドセットを外す。


「ふぅ」


 そのまま再びベッドに寝転がり、思わず深く息を吐き出した。


 すごかった。技術の発展ってすごい。

 今いるのが自分の部屋、しかもベッドの上だなんて信じられないくらいだ。

 なんとなく頭がすごく疲れている気がする。甘いものが欲しい。喉も乾いている気がする。チョコの詰め合わせを買っておいたはずだから、水分補給がてら少し食べよう。


 寝そべった状態で背伸びのストレッチをする。仰向けになったまま、グーとパーを繰り返した後に手首や足首をぐるぐると回した。腰をひねったり、足を伸ばすストレッチも行う。


 ベッドから降りて立ち上がる。特にその動作に違和感はない。

 体格とかは変えていないからだろう。


 その後も、背中や肩甲骨あたりを伸ばすストレッチや、屈伸などをして身体を動かす。

 現実では頭は使っても身体は寝たままだからちゃんとストレッチとかするように、というのが仁奈からのアドバイスだった。

 確かに身体ががちがちになっている気がする。普段の仕事での疲れもあると思うけど。せっかくの連休なんだし整体とか予約すればよかったかな…いや、でもこの二日はゲームを楽しむって決めたしな。整体とかマッサージはまた別の機会にまわそう。


 そのまま水分補給とお手洗いを済ませる。

 仁奈に連絡を入れるためにスマホを取り出すと、仁奈からメッセージが入っていた。


『やほ。事前にフレンド登録してるからノイリオン内でフレンドチャットとばしてるけど、もしかして読んでない?』

『ウインドウ開いて、フレンド選択すると、多分「ニーナ」っていうのが出てくるけど、それ、私だから!』

『クリックするとコールとチャットが選べるから、どっちかで連絡くれると嬉しいな』

『お互い状況見て大丈夫そうだったら一回ゲーム内で会おう!』

『夏希が楽しめてるといいなって思いつつモンスター狩ってきます』

 そう書かれてスタンプが貼られていた。


 ゲーム内でフレンドチャットというものを送ってくれていたらしい。全く気づかなかった。

 戦っていて気づかなかったんだろうか?通知らしいものはなかったように思う。

 結構待たせてしまったかもしれない。


 スマホの方でも返信を返し、再びノイリオンの世界へとログインした。

 ログインしたら最初にスタートした噴水のある広場にいたため、邪魔にならないように噴水まわりにあるベンチへ座る。さっきログアウトしてから10分も経ってないから、少し赤みがさしているけど周囲はまだまだ明るい。


 仁奈からのメッセージにあったように、ウインドウからフレンドの項目を開く。そうすると、ニーナという名前だけが載っていた。名前の横に2件と出ていた。

 ニーナの名前を選ぶと、フレンドコールとフレンドチャットが選べて、チャットのところに2件となっている。


『やっほー。ノイリオンでの体験はどう?最初の戦闘とかは大丈夫だった?』

『とりあえず今は他のフレンドと一緒にパーティ組んでるから、メッセージに気づいたら連絡してね』


 他の人とパーティを組んでいるなら、コールよりもチャットの方が見るタイミングが選べるからいいだろう、とチャットの方で返信をする。

 しばらく最初の街にいるから大丈夫になったらまた連絡してね、と。


 指をフリックせずにチャットをうつってちょっと不思議な感じもする。音声入力もできるみたいだけど、それだと他の人にも聞こえるから使わない。


 チャットを送るとすぐに仁奈からコールがなった。

 ウインドウをとじる前だったから、すぐに気が付いた。


「もしもし?」

「あ、なつ、じゃない、チョッキだっけ。やっと返事きたー!全然返事が来ないから、操作の仕方が分からないとか、全然ログインしてないとか考えちゃったよー」

「ごめんね」

「や、別に大丈夫大丈夫!せっかくだし直で会いたいけど、今始まりの街だったよね」

「うん。今は噴水のところにいる」

「今少し離れたところにいるから、戻るまでに少しかかりそうなんだ。ゲーム内の時間で18時には南門が閉まって、21時になると北門も閉まって朝6時まで入れなくなるんだけど、18時は難しそうだけどとりあえず21時までには戻れると思う!ごめんだけど21時に噴水で集合でもいい?」

「分かった。それじゃあそれまでは他にもやりたいことあるし、ぶらぶらしてるね。街の外には戻れなくなると困るし出ないでおくから」

「はーい!それじゃ、よい冒険を!」

「はは、ニーナもね」


 そう言ってコールを切る。普通に電話だった。


 それにしても18時に南門が閉まって21時から朝6時までは街の外への出入りができなくなるんだね。

 うっかり外を歩いてて締め出されてたらオロオロしただろうし知れてよかった。

 夜と昼とでは何か変わるんだろうか。仁奈が来たら聞いてみよう。


 とはいえ、仁奈と合流するのはあと三時間くらいは後になりそうだ。

 それなら農場行って、道具屋、時間によっては他のギルドへも行ってみよう。


 農場は、リアルだと朝早くから活動して早めに就寝するイメージあるけど、まだ会えるだろうか。会えなくてもとりあえず場所の把握も兼ねて、さっきダスティンさんに教えてもらったところへ行こう。

 ついでに、とばかりにパン屋もくちゃっと潰れた食パン?のような絵が書かれている場所にも行ってみよう。ダスティンさんお茶目だな。私が文字が読めないからそうしてくれたのかもしれないけど。


 マップを開いて、場所の確認をして、ダスティンさんが追加をしてくれたざっくりとした手書き地図を確認する。

 とりあえずは大通りから、住宅街の方へ抜ける道へ行こう。


 手書き地図を手に歩き始めた。


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