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スナイパーに指示したい

作者: アンネル

B

スナイパーに指示する人になりたくてさ。


A

スナイパーに指示する人? スナイパーじゃなくて、スナイパーに指示する人になりたいの?


B

ほら、さすがに今からスナイパーになるのは難しいじゃん。たとえ、裏の俺をもってしても。


A

裏のお前とか知らんけど。中二病か。まぁ確かに、高度な訓練が必要だから、今からスナイパーになるのは難しそうだな。


B

でも、今から毎日2時間くらい時間とって勉強すれば、スナイパーに指示する人にはなれそうじゃん?


A

それでなれんの? そんなユーキャンで資格取るみたいな感じでなるもんなの? というか、何でそんなことしたいの。


B

この腐った世の中、悪いやつらが多いからだよ。税金で私腹を肥やす政治家や官僚とかさ。そういうやつらを撃ってほしいんだよ。


A

過激だな、お前。気持ちはわかるけど。


B

横領する大企業の幹部とかもさ。


A

確かにそういうのも許せないな。


B

エロ本買うとき、「この本買うやつどんな顔だ」みたいな感じでちらっとこっちの顔見てくる店員も。


A

急に落ちたな! それスナイパーに撃たせるほど許せない? お前が気にしすぎなだけじゃないの? 税金と横領に並ぶそれ?


B

とにかく、俺スナイパーに指示したくてたまらないから、お前スナイパーやってくれ。


A

まぁ、いいけど。

この屋上が狙撃場所か。


B

待っていたぞ、お前がスナイパーだな。俺は今回の仕事の指揮を任されているものだ。


A

そうか。で、標的は?


B

さっそく仕事の話とは、噂通りだな。

急な仕事で、写真は用意できなかったが、標的の顔は俺が覚えている。

俺もここでお前と一緒に見張るから、標的が出てきたら教える。


A

了解だ。(ライフルを構える)


B

(双眼鏡で見ながら)では、標的がくるまで、俺が女性を口説くときに歌うと効果的だと思うカラオケ曲、ベスト5を歌ってやろう。まず5位は、


A

やめろ。一ミリも興味がない。歌ったらお前を撃つぞ。


B

お、標的だ。出てきたぞ。


A

きたか。どいつだ。特徴は?


B

バッグを持った中年の男だ。


A

何人かいるぞ。どんなバッグだ。


B

あれだ。あの、なんだっけ、グッチじゃなくて。ヴィトンでもなくて。あー、なんだっけ、あの柄。この辺まででてんだけど。


A

ブランドのバッグってことか? 


B

そう、あ、そうだ、映画のタイトルになってたな。アン・ハサウェイとメリル・ストリープが出てたやつ。


A

プラダを着た悪魔か。プラダだな。


B

え、あれプラダか。じゃあ違うな。なんだっけ、CMで確か、


A

いや、もういいよ! ブランド名出てこないなら! そこ別に重要じゃないだろ。他の特徴いってくれ、色とか。


B

色か。赤、


A

赤だな。


B

を基調としたエレガントな印象で、だけど主張はそんなに強くなく、淡いオレンジもほのかに感じられて、まるで夏の日の花畑の香りがただよってきそうな、乙女の恋心にも似た


A

いや、何色だよ! 全然わかんないよ! なんで色についてはそんな表現豊かなんだよ! バッグはもういいから、他の特徴は?


B

あのタイプのやつだ。彼女と別れ話になったとき、あなたはただの保険だっただけって言われるタイプのやつ。


A

見た目でわかんの、それ!? お前、そういうの見た目で決めつけるのよくないからな! 当たってても外れてても、本人傷つくからな!


B

あ、標的が車に乗ってしまった。


A

もたもたしてるからだよ! だが、心配いらない。俺なら相手が車で移動していても一発で仕留められる。どの車だ。


B

あれだ、俺の親父が乗り回してた、二台目の車と同じ。


A

お前の親父が乗ってた車なんて知らないよ! 車種をいえよ、車種を!


B

アガツマ製の三輪駆動車。アンパンマンモデルだ。


A

いや、かっこよくいったけど、幼児用の三輪車じゃん、それ! 中年の男がアンパンマンの三輪車こいでんの今!? お前の親父も何乗り回してたんだよ! 


B

あ、今標的が三輪車から降りて、おいおい、この車じゃないだろ。周囲爆笑。


A

ひとボケしてたんだ!


B

ほら、三輪車のそばにいる男だ。早く撃て。


A

そうだった。恨みはないが、これも仕事だ。ずどん。


B

おい、外れたぞ。


A

何、偶然横に動いたか。次こそは、ずどん。


B

また外れだ。今度はしっかり避けられたな。


A

少しはやるようだな。今度こそ、ずどん。


B

あー、また避けられた。マトリックスのスローになる感じで避けてた。


A

すごいな、あいつ! くそ、こうなったら連発で。ずどん。


B

今度は素手で弾つかんだな。


A

ずどん。


B

今度は箸でいくー。


A

ずどん。


今度はぎりぎりまでひきつけて、やっぱりあたらなーい。


ずどん。


お、ついに命中だ!


ようやくか! 手強いやつだったが、


と思ったら、倒れた体がどろんと木の棒に変化。ひとごみの中から本人が出てきて、指をちちち。これぞ変わり身の術。


忍者か! 何もんなんだよ、あいつは! 

そもそも何で標的になったんだ。何をしたやつなんだよ。


俺がエロ本買ったとき、ちらっと顔見てきた店員だよ。


じゃあ撃たなくていいやつ!





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