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2、退学宣告と覚醒

「悪いな。わざわざ、呼び出して。」


担任が俺に対して言う。


「いえ、構いません。」


「で、どういった要件ですか?」


「率直に言う。高等部は義務教育ではない。もちろん国の補助で運営しているため、誰でも入ることが、中には家庭の事情で中等部卒業後、家業を継ぐ者もいる。藤代、お前の能力では危険すぎる。今後の合同演習でやばいことになる可能性もある。」


「それは藤代くんに退学しろと言っているんですか?」


凛香が怒気を含んだ言葉で担任に問いかける。


「・・・昔な。お前と同じような能力が低い生徒がいた。俺が教員になって初めてクラスを持ったときに生徒だ。そいつは気のいいやつで努力家だった。高等部2年になるまで、いくらバカにされようが頑張っていたんだ。俺も手伝ったが、レベルの上がりも遅くてな。結局、2年に上がった時点でのレベルが8、総能力は200以下だった。」


俺以外にもそんな奴がいたのか。意外だった。俺みたいな例は聞いたこともなかったからだ。


「2年になるとな、合同演習があるんだ。ダンジョンを五層まで潜らないといけないからな。しかもパーティ形式で実践的にだ。そいつは能力的に一層のウサギモドキを倒すのがせいぜいだ。そんな奴がダンジョンに潜ってどうなったと思う?」


俺と凛香は同時に息を飲んだ。


「死んだんだよ。簡単に3層のウルフにやられてな。わかるか?5層攻略がをしないと進級要件を満たさないんだ。いくら周りが外崎のように優秀な者が多くても、一瞬で死ぬ可能性もあるんだ。俺はお前にそうなってほしくないんだよ。」


俺と凛香は少しの間、言葉を発せなかった。


「先生、もう少し待ってください。2年になるまでにダメだったら私が辞めさせます。」


「お、おい勝手にそんなこと・・・。」


「仁は黙ってて!先生、それでいいですか?」


「・・・わかった。2年になって総能力が600以上になっていなかったら辞めてもらう。それでいいか?」


「わかりました。責任を持って辞めさせます。」


「ならよろしい。帰りなさい。」


「はい、失礼します。」


凛香と共に指導室を出る。


「おい、あんなこと言って、たしかにやばいのはわかるけど、今のペースだと600はおろか300だって怪しいぞ。」


「わからないわよ。とりあえずレベル10まで上げましょう。何かスキルが手に入るかもしれないわ。」


「そんなのわからないじゃないか。」


「スキルは5の倍数で取得や強化されやすいのよ。とにかくやってみないとわからないわ。」


「そうだな。もうやるしかないもんな。」


「善は急げよ。さっさとダンジョンでウサギ狩るわよ。」


スパルタ少女凛香とともにウサギ狩りに向かう。


それから3か月間、延べ5000匹ほどのウサギを狩った。2年に上がるまであと2か月ほどだ。そしてその時は唐突にやってきた。


『晩成タイプがレベル10に達成しました。ボーナスが与えられます。』


ん、なんか聞こえた気がしたがなんだろうか。


『ボーナス成長 限定解除が与えられます。』

『ボーナススキル 強化Ⅰが全強化Ⅰに進化しました。』

『ボーナススキル 特殊鑑定が与えられます。』

『ボーナススキル 特殊隠蔽が与えられます。』

『ボーナススキル 成長Ⅰが与えられます。』

『ボーナススキル 全拳技Ⅰが与えられます。』

『晩成タイプ専用 ナビネコが与えられます。』


その瞬間、俺の体に異変が起こる。力が湧き上がってくるような熱さを感じた。


「ちょっと、何かあったの?」


一緒に居た凛香が聞いてくる。


「い、いやちょっと、俺も追いついてないから待ってくれ。一旦、ダンジョン出よう。」


凛香は不思議そうな顔をしながらもとりあえずダンジョンを離脱してくれた。


「で、なにがあったの?」


「いや、どうやら俺はレベル10に上がったらしい。」


「へ?なんでそんなことがわかるの?」


「なんか声が聞こえた。」


「は?おかしくなった?」


「わからん。とりあえずちょっと待ってくれ。」


待っててくれと言ったものの、どうしたらいいのかわからない俺にまた声が聞こえた。


『特殊隠蔽により自分のステータスが確認できます。』


お、まじか。とりあえず現状を確認しないことには何もできないな。


藤代フジシロ ジン

レベル 10

チカラ 285

マモリ 271

ソクド 331

マホウ 159

スキル

全強化Ⅰ(全能力を1.5倍にする)

特殊鑑定(任意でそのものの状態を確認できる。隠蔽貫通。)

特殊隠蔽(自分の能力を隠せる。ステータスは任意。鑑定防御。)

成長Ⅰ(取得経験値が2倍になる。レベルアップまでの経験値が少なくなる。)

全拳術(全拳術スキルを使用可能になる。)


EXスキル ナビネコ(不明なことを知りうる範囲で回答してくれる。実態化可能。)


「ま、まじかよ。夢でも見てんのか俺は。」


「どうしたの?」


「能力がすごいことになった。」


「へ?どういうこと?そんなの確認してみないとわからないんじゃ・・・。」


「特殊鑑定ってスキルが手に入ったみたいだ。夢かもしれんが、あれだったら鑑定かけてみようか。」


「え、あ、うん。」


外崎ソトザキ 凛香リンカ

レベル 29

チカラ 306

マモリ 359

ソクド 314

マホウ 811

スキル

聖回復Ⅱ、強化Ⅱ、聖魔法Ⅱ、隠蔽


「え、なんか知ってる能力と違うし、お前も隠蔽持ってるの?」


「は、はぁ?何言ってんの?」


「やっぱり俺の頭がおかしくなっただけなのか・・・。」


「ちなみになんて書いてあるのよ。」


「能力も大きく違うな。レベルは29で魔法以外が300越え、魔法は800超えてる。しかも聖回復って、聖女って言われてる人だけが使える魔法じゃないか?」


「・・・まじで見えてるの?」


「おう。隠蔽がスキルにあるのも見えてるぞ。まじなのか?」


「誰にも言わないで!」


「え、そりゃあ言わないけどさ。となると見えてるのは本当なのか。」


「そうよ。聖女なんて言われたら好きに生きられないからね。隠してるの。ていうか、隠蔽かかってるのになんであんたは本当のステータスが見られるのよ。」


「特殊鑑定ってスキルらしい。隠蔽貫通って感じらしいぞ。」


「そりゃあやばいわね。他には?」


「多いからあれだけど、全拳術とか特殊隠蔽とか特殊鑑定と成長ってスキルだな。あと強化が全強化ってのに変わったみたいだ。」


「はぁ!?全強化も全拳術も超上級の冒険者とか国家騎士しか持ってないわよ!しかもユニークスキルの隠蔽と鑑定とか・・・成長なんて聞いたこともないし。どうしたのよあんた・・・。」


「俺だってわからないよ・・・。あとEXスキルでナビネコってのが。」


「EXスキルも聞いたことないわね。ステータスは?」


「全部10倍くらいになったな。」


「ちょっと、いきなりそんな強くなったらやばいじゃない。隠蔽で表記変えといたら?」


「うーん、どんくらいがいいんだ?」


「全強化以外は全部伏せて、能力もオール150くらいね。平均くらいの総能力にはなるでしょう。これで進級は問題なさそうね!」


「おーそうだな。ギリギリ間に合ったな。凛香のおかげだ。ありがとう。」


「いいわよ。あたしとあんたの仲じゃない。」


「それでもだ。本当に助かったよ。」


「さて、明日の能力測定が楽しみね。」


レベルが10になり、能力が大きく上がって安心したのか、急激に疲れがやってきた。その日は解散し、帰宅する。そして能力測定の日がやってくるのだった。

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