才能開花
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今日も木更津家の庭ではガキーンと金属の当たる音と、案山子が燃え上がったり切り裂かれる音でなかなかにカオスってる。
そんな中、音を奏でる当事者は優雅?に話している。
「オラァ!政宗そろそろ休憩にするか?」
剣を振り下ろしながら親父は言い放つ。
それに対して政兄は盾を構え魔法を唱える。
「シールド硬化!ハハお父さんも冗談言うんだね?」
うん、コレは異世界っぽいよね。
俺を置き去りにして二人で熱くなってて羨ましいわー。
で俺はというと、初級魔法を詠唱した瞬間に魔力切れで見学とかクソザコナメクジですはい。
あっれー魔力ないとかチートなのはスキルって事なのか。
めちゃくちゃ雲行き怪しいぞおい。
「あらあらー未知ちゃん遊汰が見てるわよー。その程度で姉として威厳を保てるのかしらねー?それっファイヤーアロー」
母さんの手から燃え盛る弓が5本生成され姉ちゃんに向かって降り注ぐ。
「マジックキャンセル」
しかし当たる直前に矢は溶けるように消えた。
姉ちゃんが対抗呪文で消したのだ。
「お母さん?遊汰が見てるのに、そんレベルで母親としてのメンツは大丈夫?ちなみに遊汰は重度のシスコンよ」
母・姉「……………ブチッ」
うん、コッチは異世界ハーレムものかな。
いやシスマザコンの俺は嬉しいけどさ…なんかちがうよね。
幼馴染みとか転校生の役割じゃんソレ。
とゆーか強さの基準分からないし、俺だけ魔法使えないってもおかしいだろ、テンプレどこ?
しかも、休憩してたらベチャっと頭に鳥の糞が落ちてくるし、不幸の至れり尽くせりな所は前世と変わらなすぎる。
取り敢えず頭を洗いたいので風呂場に行き稽古を終える。
そんなどこにでもある日常の中、兄や姉は順調に成長し俺は何も無く何もせずに暮らし、6歳の天啓の義を迎える事となる。
「遊汰、分かっていると思うが今日はトーキョーに向かって天啓の儀を行う。今更説明は要らないと思うが、大丈夫だよな?お前はボーっとして抜けてる事が多いからなお父さんは少し心配だ」
「心配しないで大丈夫だから(キタキタキター!待ってたよこの日を。絶対に覚醒イベントじゃんヤッホーう〜イヤッホー最強チートで異世界無双してやるぜ!Heyファザー心配するのは俺の強さのことだけにし・と・け?ふぅー)」
「………お母さんは家で待っているわね」
「うん、お母さん?どうかした?」
「なんにもないわよ?遊汰より私の方が緊張してているのかしらねフフ」
母が少し元気なさそうに見えるけど、どうかしたのだろうか?子の成長が嬉しくもあり寂しくもあるそんな境地なのかな。
この世界の首都であるトーキョーは割と近いお隣さんだ。
日本人なら常識レベル、しかし文明は死んでるため馬車に乗り親父と2人で5時間程走らせて向かうドナドナ〜。
「そーいえば遊汰はどんな系統の能力やスキルの希望があるんだ?」
「うーん、マサ兄も姉ちゃんも魔法だし俺は前線で戦う力が欲しいかな」
「確かに戦闘力は人を守る力となるが、商業能力や生産能力だって立派なものだぞ?」
「マサ兄は魔法特性でたのに将来は文官になりたいって言ってたもんね。」
「ああ結局の所、指標であり可能性が閉ざされる訳では無いからな。さぁ着いたし向かうか(なりたい理由ははぐらかしたか…もうすでに接触しているのか?)」
なんだコレ新装開店??トーキョーに着いて最初に思った感想は人がゴミのようだ。
長蛇の列に子供と親のワンセットで敷き詰められている。
2時間ほど並ぶと最前列が見え、中からは悲鳴や歓喜または蒼白になった顔など阿鼻叫喚。
たまにだがスキルが顕現し更なる奥へと連れていかれる奴が居た(まぁ、俺もその中の1人になるんだけどなドヤッ)
妄想を捗らせていると次っと呼ばれたので向かう。
「木更津遊汰です、お願いします。」
「はい、横になって目を閉じて」
心電図のように、体をヒヤッとするゼリーの吸盤をつけられてゆく。
「はい、これでおわ……ん?はっ?ナンダコレ!?」
「はい(ふふふ、この展開は勝ち確)」
「失礼しました、木更津遊汰君の特性ですが、、、」
(ゴクリンコ。おおう、焦らすなよ早くしろよ)
「少し異常でしたので口頭ではなく書面にまとめましたのでご覧ください」
そう言って渡された紙には
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特性 思考特化
特異 神憑き
スキル アンノウン
天啓 運命分岐
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と、と、特性も特異もスキルもきてるうううう!しかも天啓とか聞いた事ない項目まで勝ったわ!もうこれ完全勝利じゃん。
さぁ学園コースでハーレムしよーぜ!ん?でも詳細は?
「天啓の儀が終わりましたのでこれからはご自身でステータスを確認できます。それと木更津家の家長様には後日一報ありますのでお忘れなきよう。」
「ええ、承知しておりますとも。家族で話し合い改めて登壇させて頂きますゆえ」
なにかを我慢するように、親父は親父らしからぬ顔で言葉を紡いでいた。
なにがなんだか分からず、話についていけない俺は馬車の振動で痛めた尻をさすっていた。
少し血がでていたので泣きたくなった。