ついに来るかお約束
「ばぶ(暇だスロットいきたい)」
ココ最近毎日、前世の事を考える。
人生最後にしてスロット勝ったのに転生だし、まだ見てない大好きなアニメ3期俺ガイナイも見ずにして転生だし。
ラノベみたいな転生物ならもっと神様は友好的で最初からスカっとする展開なはずなのに、なんだよコレ。
はぁ積み木しかねぇーもん遊び道具…………
「おい」
「????」
部屋には1人なのに頭の中に直接語るように声が聞こえるんだけど?え?異世界怖い。
「こっちだ」
「ばぶー(どこだよ指示語じゃわからねーよ)」
怖いが、いちおう声が聞こえるから対応してみた。
「やはり聞こえているな。中央の時計の中だ」
この部屋には古き良き大きな古時計があり親父の趣味なのかは分からんが、とにかく時計の中を見てみよう。
「チャーンハーイばぶりしゃすチャーンチャーン(ん?この箱か?開けていいのか?)」
「ああ、開けてくれ」
間髪入れずにそいやーっと開けてみたらそこには見慣れたものがあった。
「ちゃんばぶ(サイコロ?なんで?)」
「役目は果たした。後は好きにしろ。じゃあな」
淡々と告げて静寂が舞い戻る。
今はチクタクと時計の音が残滓として耳に残るだけだ。
なんとなくサイコロを転がしてみたが何も起こらず昼寝して一日が終わる。
1年が経ち遊汰は、この世界のある程度の理解と自身の環境について理解し始めてきた。
まず、世界基準は支離滅裂でベースは中世欧州とテンプレ仕様なのに、要所要所に日本に酷似していている。
例えば貴族制度や選民意識があり、現代産業や医療や文明は発達しておらず、魔法と剣のファンタジー世界なのに地図や人物は日本なのだ。
建造物や文字や言語も日本だ、いっちょん分からん。
そして、木更津家は特に何も無い一般的な家柄だ。
チーバという地方で農家を経営し税を納めている。
土地だけは持っているので、チーバの中では裕福なほうで兄が1人姉が1人だ。
とまぁまとめてはみたものの、俺のターンはまだなのかね?と気にしながら今日もただ無為に眠る。
「今日もよく眠るな遊汰は」
と喜びながら呟くイケメン父とは反対に母静香は少々感情的に
「やはり魔力量が過ぎるのよ。遊汰はいつか岐路に立たされる。その時、守ってあげられるのは私達だけよ。なのに貴方はどうしてそんなに冷静なの?」
「君らしくないね。どうしたんだい?」
「……遊汰が古時計の中からサイコロに選ばれたわ」
「何故言わなかった!?いつだ?」
「私が気付いたのは半年前よ。言えば貴方きっと遊汰を連れていく。そして遊汰もそれを選ぶのがわかっていて言える訳がないでしょ!・・・でも黙って隠し続ける訳にもいかないじゃない」
「6歳の天啓の儀には答えは出る。俺は遊汰の意志を尊重する、それだけだ。君はもう寝なさい美人が台無しだ」
「貴方はいつもそう。ええわかったわ」
こうして遊汰の知らない内に物語は遊汰を置き去りにして進む進む。
時計の針が終わりのない鬼ごっこをするように、チクタクチクタクと確実に。
されど世界は停滞したまま進む進む。
やばいな、前置き長すぎだろ