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脇役にだって物語がアルっ!  作者: Neu
一章
8/14

逃走


春風の心地よい季節になりましたが、皆さんお変わりなくお過ごしでしょうか。


私は、今。ーー走ってます!


いやー、良いですねぇ。部屋の外は。中で絵本読んだり、ぬいぐるみと戯れてるよりもずっと、廊下で走り回ってるほうが楽しいです。

当たり前ですね。いくら姿形が3歳児でも、心は15+2歳ですからね。部屋で大人しく絵本なんて読んでられっかー!って感じです。絵本も自分で読む訳じゃなく読み聞かせですしね

それにしても、貴族の家だからでしょうか。3歳になったのに部屋から好きに出して貰えないとか過保護すぎだと思うんですが。

今だって後ろからアンナが追いかけて来てるし。家の中くらいは好きにさせて欲しいね。

まぁ、こうして逃げられるようになっただけましかな。部屋からの逃走を始めた最初の頃は、すぐに捕まって戻されてたからね。

部屋の外に行こうと思った時の私は、絵本を読んで貰うなんていう羞恥プレイに心が耐え切れなくなってきていた。だから、立ち上がることが出来るようになった私は何とかして逃げようと努力し、歩けるようになった。

それで、アンナが部屋から居なくなるのを見計らい廊下に出ようとした。

ーーそこである問題が浮上した。



ドアノブに手が届かない。





私が普通の赤ちゃんだったらそこで諦めていただろう。

だがしかし、私には前世の記憶というものがある。

椅子を踏み台にしてドアを開けた私は意気揚々と部屋を出た。

見たか、これが異世界転生もの定番の現代知識チートだっ!(絶対に違う)

そんなこんなで、部屋を出た私。

自分で歩いたことのない廊下を、周りに人がいないか警戒しながら進む。

いくつもの扉が並ぶ長い廊下をスキップしながら進む(実際は出来ないので気分だけ)


ーーその時の私は気づいていなかった


歩き始めて間もないのに、体力があるわけない。

やがて、前世と同じ感覚で歩いていた私に体力の限界が訪れる。

もう、1歩も動けない。そう感じ、倒れ込んだ。


その後、廊下に倒れていた私はアンナに回収されて部屋に戻された。

そうして私の記念すべき一回目の部屋からの逃走は終わりを迎えた。


その日私が歩いた距離は、

ーー五メートルほどだった。

くっ、殺せ……


一回目の逃走で味をしめた私は、次の日から毎日のように部屋を抜けだした。

もっと遠くまでいけるように、もっと長く外にいられるように

体力をつけるために、速く走れるようになるために私は部屋の中でも走り回った。

……そのせいで、何か悪霊でも取り憑いたのかと疑われたが。

私の努力は続いた。


そして今、私は3歳児とは思えないほど足が速くなりアンナの私を捕まえようとする手を避けるのも上手くなった。

私の逃走は、今ではここの風物詩となっている。



「お嬢様ぁ~!止まってください~!」

「とまれっていわれてとまるとおもうか~。」

きょ、今日は一段としつこいな。いつもならもう、諦めて私が満足して部屋に戻ってくるのを待ってるのに

私は、磨き上げた俊足でアンナから逃げる。

ちなみに、外には出ません。忙しいお父様とお母様に心配をかけるわけにはいかないので

随分と忙しそうだけど、何の仕事してるんだろうね。

それにしても、外には出ないって分かってるんだから見逃して欲しいんだけど……

いくら速いといっても所詮3歳児。

追いついてきたアンナに捕まって部屋に戻された。


…………むー。納得いかない。

良いじゃん。家の中くらい好きに歩き回ったって。

何で、駄目なのさ。アンナに言っても許して貰えないし……


……そうだっ!お父様に頼みに行こう。

娘に甘いお父様のことだ許してくれるに違いない。


明日はお父様の書斎に行こう。

そう思いながら私はベットに潜り込んだ。

遅れた・・・

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