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脇役にだって物語がアルっ!  作者: Neu
一章
7/14

侍女よりメイドって言った方がテンション上がる

「ノアお嬢様~!待って下さい!」


どうも、皆さん。ノアお嬢様付きのメイドのアンナです。

私は今、お部屋から抜け出し全力疾走で逃走中のお嬢様を追いかけています。

お嬢様が1歳になる少し前から御世話させて頂いているのですが、こんなに元気な子に育つとは思いませんでした。

と、言うのも。お世話し始めた頃、お嬢様は心配になるくらい大人しい子だったのです。

滅多なことではお泣きになられませんでしたし、あまり喋ることもありませんでした。

旦那様と奥様も、静かな方々なのでご両親に似たのかも知れませんがそれにしても大人し過ぎるほどでした。

それが変わってきたのがお嬢様の1歳の誕生日の日あたりだったような気がします。

ある日、少し部屋の外に出て戻った来るとお嬢様は白目を剥いて気絶したように眠っていました。

びっくりでした。慌てて、お医者様に見て頂きましたが眠っているだけということでとても安心しました。

次の日、お嬢様はいつもよりたくさんお喋りをされました。私も嬉しくなっていつもより長い時間、お嬢様のほっぺたをふにふにしました。……いけないと分かってるんですけどね。ついやってしまうんですよ。

私が無心でふにふにし続けると、どういうことかお嬢様は突然今までにないほどの勢いで泣き出してしまいました。

内心、凄い焦りました。どんなにあやしても泣き止んて頂けず。結局、疲れて寝てしまうまでお嬢様は泣き続けました。

一時はどうなってしまうかと思いました。





私は、昔から不器用で何をやっても失敗ばかりでした。

そのせいで、前の職場はクビになりました。ようやく見つけた再就職先であるここでも、失敗続きでメイド長には叱られてばかりでした。

お嬢様をほっぺたをつつきすぎたせいで、泣かせたなんて知られるとクビになってしまいます。

私は、必死に土下座をしました。恥なんて知った事ではありません。1歳のお嬢様にそんなの伝わらなかったかも知れませんが

そんな私に、文字通り手を差しのべてくれたのはお嬢様でした。

それに、どんな意図があったかは分かりませんが。

それでも、私は無性に嬉しかったのです。この人なら、きっと私を必要としてくれる。何故かそう感じました。

そんな事があったお嬢様の1歳の誕生日から、お嬢様の変化が始まりました。

急に立ち上がる練習を始めたと思うと、熱心に喋る練習をされる。そんな日々が続きました。

驚くほどの早さでお嬢様は成長を続け、半年たったころには、歩くことも走ることも出来、喋るのもとても上手になられました。

人が変わったようでした。

その後、お嬢様は私の目を盗み部屋から抜けだしたりと色々といたずらをするようになられました。

毎日がお嬢様との、追いかけっこです。始めのうちはすぐに捕まえることが出来ました。しかし、段々と足が速くなり捕まえるのも苦労するようになってきました。

今では、3歳とは思えないほど足が速く、掴もうとする私の腕をスルリと避け逃げ続けるお嬢様はまるで猫のようです。


そして、今日も私はお嬢様との追いかけっこです。

「お嬢様ぁ~!止まってください~!」

「とまれっていわれてとまるとおもうかー。」




私に手を差しのべてくれた小さな主との追いかけっこはこれからも続いていくことでしょう。

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