記憶1 女教師
私がショートカットになったのは、一人の女教師のせいだ。校則だなんだと言い、なぜか私にだけ二つ結びにしろと口うるさく言ってきた。あの日も、女教師はいつものごとく、職員室に用があってきた私を呼び止め、ポニーテールをしていた私に二つ結びにしなさいと口うるさく言ってきた。
「先生は二つ結びにしろと仰いますが、生徒手帳には一つ結びかもしくは二つ結びと書いてあります。それに、他の子は一つ結びな子もいます。」
何度も言われる度に髪型を直されてきた私は、今日こそはと言う思いで先生に言った。
「駄目。あなたは二つ結びじゃないと駄目。そんなに二つ結びが嫌なら髪を切りなさい。」
女教師は呆れたように私の顔を見ながら、こう言い放った。
(…信じられない)
私は、あまりの理不尽さに頭がきて、
「じゃあ、明日までに切ってきます。」
とだけ言い、職員室を出ていった。嫌々、直された二つ結びの髪型をほどきつつ、私は廊下を歩いていった。
そして、私はその日中に美容院に行き、胸まであった髪を切った。二つ結びなど二度と出来ないようにと、首が全て出てしまう程に切ってやった。次の日、教室で驚かれたが意外にもショートカットが似合うとのことで、好評だった。
そして、私に髪を切れと言った女教師は私の新しい髪型を見ると、
「本当に髪を切ったのか。」
少し動揺を混ぜた不機嫌そうな顔で言ってきた。
「先生が二つ結びをしたくないなら、″切れ″と言ったので。」
私は一言そう言い、失礼しますと先生から離れていった。
なぜ、私にだけ二つ結びを強要してきたかは25になった今でもわからない。単なる嫌がらせかもしくは言うことを聞かない私を屈服させたかったのか。どちらにしても違う理由にしても、自分の感情だけで人を動かそうというのは好きじゃない。