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残響

ジージーッと耳の中で音がする。昼間に聞いた今年初めての蝉の声だ。またうだるような暑い季節がせまっているのかと思いつつ、じっと天井を見た。今の時刻は午前2時24分、上手く寝れなくなってから大体3日が過ぎた。寝れなくなった理由はなんとなくなくわかる。ここ数ヶ月、きちんと連絡や会うことが出来ていない恋人のことだ。彼の地域では小さいながらにも古い祭りがある。毎年、7月の4週目の土日に御輿を夜通し担ぎ、五穀豊穣や無病息災を願う。私の地域では、小さな子どもが盆踊りに参加する位の祭りしかないので、初めて彼から祭りについて聞かされた時はとても驚いた。今回で2年目だが今年は重役を担っているため、7月に入ってからは全ての土日が潰れてしまい、会えない状態が続いている。


彼は私のように寂しさで寝れないことはあるのだろうか。


意味のない寝返りを打ちつつ、何度目になるかわからない自問自答を繰り返し、自分に嫌気が差す。私は以前からこうだったのか。もっと小さい頃はさっぱりとしていて、竹を割ったような性格だとも言われた。なのに、今では構ってくれない寂しさで、ドロドロと溶け出したガラスのように心がぐちゃぐちゃだ。


駄目だ、また寝れない…。


もう時計は午前3時を差そうとしている。寝なくてはと思うが、全く眠気がこない。


明日が休みで良かった。ただ、明日も夏日らしいんだよな。


暑くなることを思い出すと、またジージーッと耳の中で昼間の蝉が鳴き出す。

夏は四季の中で一番記憶が鮮明だ。そっと瞼を閉じて形だけでも寝る体勢を作る。瞼の裏で学生時代の自分がフラッシュバックのように出ては消えていく。訳あってショートカットになった私は、今の私が想像出来ただろうか。

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