表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

プロローグ

ホラー物に挑戦してみたくて書いてみましたが、作者はホラーが苦手です。ゆる~いホラーコメディーという感じになりそうですが、よろしくお願いします。

※超思いつき投稿なので、また手直しが入るかもしれません。

「あ、お母さん? 何か用だった? うん、ちゃんと探してるよ。今日だってこれから不動産屋さん行く予定だし。決まったら住所教えるから……も~、大丈夫だってば。うん、それじゃまたね」


 そう言って通話を切る。


「心配性だなぁ。有難いんだけどねぇ」


 スマートフォンを手提げ鞄に仕舞い、部屋を出た。


「さぁ、いい部屋見つかるといいなぁ」


 羽代希(はねしろのぞみ)は「ヨシ!」と気合いを入れて歩き出す。

 ドラマや小説に出てくる名探偵に憧れて、短大を卒業後、大手探偵事務所に就職。これが念願の名探偵の第1歩と思いきや、実際に殺人事件などの依頼など来る訳はなく、素行・浮気調査や人探し調査、企業からの調査依頼が殆どで、希が期待するような依頼はまったく無かった。そこで彼女の出した答えが「大手だからこういう依頼しか来ないんだ! 名探偵達も皆個人事務所だった気がする!」という的外れなものだった。思い立ったら即実行という事ですぐに退職願いを提出した。

 そして今日、事務所となる物件を決める為に不動産屋を訪れていた。勤めていた事務所とは距離を置きたい気持ちがあった為、隣の街の不動産屋に来ている。


「なるほど。事務所をお探しで」

「はい、個人事務所なのでそれほど大きくなくていいんですが、できれば街中がいいですね」

「ん~……そうですねぇ。そうなると家賃の方が結構しますねぇ」


 希に物件を数点見せる不動産屋の目が「君みたいな若い子はやっていけないでしょ」と言う目をしている様に見えた。それなりに貯えはあるものの、たしかにちょっと厳しい家賃だった。


「…もうちょっと安い物件ってありますか?」

「う~~~ん、そうですねぇ」


 物件を纏めたファイルを捲りながら考える不動産屋。あるページを開いて、手がピタリと止まる。そしてチラチラと希を伺うように見るので希は不思議に思う。


「あ~……賃貸ではないんですがね。この物件はどうでしょう」

「……一軒家ですか。うわ、すごくいいじゃないですか。街中からちょっと離れてるけどそれほど問題になる距離じゃないし。…でも、なんでこんなに安いんですか?」


 不動産屋が出した物件はこの街の端の方にある一軒家だった。外見は打放しコンクリートの2階建て、庭付き。一般家庭が十数年ローンで買う様な家がありえない金額だった。希の貯金をほとんど使えば買えない事もない。


「いやぁ、以前ここで住んでいたご夫婦に色々問題がありまして……あ、でも家に問題は全くありません。新品同様ですよ。見に行ってみますか?」


 希は「借金関係の問題で出て行ったのかな」と思った。探偵事務所に勤めていた時も、借金で行方を消した人の調査をしたりもしていて、住んでいた家にその後もしばらく借金取りがうろつくという事があった。そう言う評判が付くと家の価値は下がってしまう。

 不動産屋が「さぁさぁ」と急かすので流されるように物件を見に行く。家の前に着き、実物を見ると新築同様に綺麗な状態だった。


「新築みたいですね」

「そうでしょ? 中もいいんですよ。さぁどうぞ」


 玄関に入ろうとした時、ふと視線を感じて希はそちらを見る。家から少し離れた所に1人の男が立っていた。黒髪で少し細身の高身長。黒いスーツを着ていたが、ネクタイをせずワイシャツの襟元は大きく開け広げてある。そして両手をスラックスのポケットに突っ込み、こちらを睨みつけるように見ているので希は「そっち系の人だ!」と思い慌てて目を逸らし、家の中へ入って行った。

 室内は外観と同じように綺麗に保たれていた。玄関を入ると廊下があり、2階への階段もある。廊下の左側には手前のリビングと、奥のダイニングキッチンへの扉があった。廊下の奥にはトイレとバスルームがある。2階に上ると同じ大きさの部屋が2つあった。


「えっと2LDKでしたよね」

「そうですね。階段の下に小さい物置があるのと、庭、あと2台分の駐車スペース。これで全部です。どうです?」

「そうですね~……」

「やはりこれほどの格安物件ですから、他のお客様も興味を持ってるんですよね。急かすわけではないですが、早い者勝ちだと思いますねぇ」

(む~…。たしかに掘り出し物だわ。金額も何とかなるだろうし…。家に探偵事務所って看板付ければ借金取りも来ないかな)

「どうします?」

「ここにしようかな」

「そうですか! それでは書類作成の為、またお店の方に戻りましょう!」


 不動産屋は嬉々とした表情で店へ戻るように促す。

 不動産屋へ戻るとスピーディに手続きは進み、あっという間に契約成立する。その後、母親に貯金をほとんど使って一軒家を購入したという報告をし、大目玉を食らった事は言うまでもない。

実際家を買うのは手続きに色々時間はかかると思いますが、その辺は「なんやかんやあった」で済ませてもらえると助かります。

羽代希は行動力があるけど計画性があまり無い子って感じです。友達にいると厄介なタイプですね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ