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千年王国計画 〜第三王子による長期国家運営録〜  作者:
立志編

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2/16

魔王城という盤面

魔王城は、一つの国家だった。


軍事、行政、宗教、研究。

すべてが城の中に集約され、ここで決まったことが、魔物国全土に影響を与える。


そして当然――派閥がある。


(ああ、完全に高難易度シナリオだな)

俺は幼い身体のまま、城の空気を観察していた。


最も大きな派閥は、第一王子派。

力を尊び、戦を望む武闘派だ。魔物の性質をよく表している。


「人間国との小競り合いなど、すぐに全面戦争へ移行すべきだ」

第一王子ガルディアスの声は、常に大きい。

前線の将軍たちは、彼を支持する。勝てば褒賞、負けても生き残れば、次がある。

そう考えている者が多い。

短期的な勝利は重ねられるが、国力は確実に削られる。


(……消耗戦を“経験値稼ぎ”と勘違いしてるな)


次に力を持つのが、第二王女派。

冷静、合理、そして冷酷。


「民は資源です。維持できないなら、切り捨てるべきでしょう」

第二王女ルクレシアは、数字で世界を見ている。

内政官僚や研究者たちが、彼女を支持する。


(効率だけで国を運営すると、“反乱率”って隠しパラメータが跳ね上がるんだよなぁ)

俺の脳内で、過去のプレイログが警告を鳴らす。


そして――第三王子派。


存在しない。

(うん、知ってた)


俺は幼く、発言権もない。支持者を集める動きもしていない。

だが、それでいい。


(序盤で目立つと、確実に潰される)

父――魔王は、すべてを見ている。

派閥同士を競わせ、互いに牽制させ、均衡を保つ。

(為政者としては優秀だな……でも、いつまでもはいられない

 それを自身でもわかっているが、次の手を打つ手立てが無いといったところか…)


時間は、誰にとっても平等だ。

俺は、表では何もしない。


だが裏では――情報を集める。

どの将が、誰につくのか。どの地域が、疲弊しているのか。

補給線は、どこが弱いのか。


(……ああ、ここは将来の建国予定地に使えるな)

中間地帯に近い領地の記録を、密かに記憶する。


━━━━━━━━━

身体的な成長により行動範囲が広がり、

言語などを習得し、着々と自身の育成に勤しみ

数年が立ったある日、城の中庭で、第一王子に呼び止められた。

「おい、三男。お前、何を考えている?」


俺は、無邪気な顔で答える。

「何も、兄上」


 第一王子は鼻で笑った。

「そうだろうな。考えるのは、強くなってからだ」


(思考力を筋力と同列に置いてる時点でアウトなんだよな)

だが、口には出さない。

 

第二王女とも、目が合うことがある。

彼女は俺を見て、わずかに眉をひそめる。

「……あなた、静かすぎるわ」


「静かな者ほど、よく聞いていますから」


 幼いながらもそう返すと、

 彼女は一瞬だけ笑った。


「面白い。でも、王座は譲らない」


(誰も譲れって言ってないんだけどな)

心の中で突っ込みを入れる。


 その夜、俺は一人で考える。

(この城は、いずれ壊れる)


兄姉のどちらが勝っても、魔物国は疲弊し、人間国との戦争は激化する。


ならば――俺は、城の外に答えを作る


ここは盤面の中央。

だが、勝利条件は別の場所にある。


俺はまだ弱い。力も、権限も、民の支持もない。

だが、時間だけは、味方だ


千年王国は、一朝一夕で作るものじゃない。

その第一歩は、この城の仕組みを知ることだ。

そして、誰が敵になり、誰が味方になり得るかを見極めること。


第三王子は、まだ動かない。


しかし盤面は、すでに頭の中で完成しつつあった。

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