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千年王国計画 〜第三王子による長期国家運営録〜  作者:
立志編

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1/16

引きこもりゲーマー、魔王の第三王子に転生する

人生は、取り返しのつかない選択の連続だ。


だから俺は、現実を早々に見限った。


学校、就職、人間関係――

どれも攻略難易度が高すぎる。

攻略本もない、生まれは運ゲー、つまりクソゲーだ。


その代わり、俺が生きていたのは戦略ゲームの世界だった。


特に得意だったのは『信〇の野望』のような、

国を作り、民を管理し、戦争と外交を同時に回すやつ。


「この国、五十年後に内乱で滅ぶな」


画面を見ながら、そんなことを平然と呟ける程度には、

俺は“国家の失敗パターン”を知り尽くしていた。


――そして、そんな俺は死んだ。

日頃の不摂生か、それとも俺の体も頭と同様に現実を見限ったのか

理由は分からない。

気づいたら、次の画面に移行していただけだ。


━━━━━━━━━━


目を覚ましたとき、俺は赤ん坊だった。


泣こうとしても声が出ない。

身体は小さく、視界はぼやけている。

だが耳は聞こえた。


「生まれたか。我が子よ」


その声を聞いた瞬間、ゲーム脳の俺は理解した。

この世界の空気。この圧倒的な存在感。

微かに見える視界からは、人間の体から()が生えていた。


(……魔王、か)


俺は、魔物国を統べる魔王の息子として転生していた。


「良い魔力の流れだ。

 間違いなく、我が血を引く者

 名はそうだな…アルトとしよう」

そう言って、俺を高く掲げる。

周囲の魔将たちが、跪く。

(スタート地点は……かなり恵まれてるな)


引きこもりゲーマーとしては、

珍しく当たりの初期配置だった。


少しずつ意識が明瞭になっていくいき、

周りの声を聴いている中で分かったことがある


人間国と魔物国が存在し、

千年以上、戦争を続けているらしい。

人間は光属性。魔物は闇属性。

生まれた瞬間に陣営が決まり、敵味方が固定される。

(なんて()()()世界なんだ。)


━━━━━━━━━━


数か月後、俺は自分の立場が第三王子と知ることになった。


俺の上には二人の兄姉がいる。

第一王子は、力こそすべてと信じる野蛮な武闘派。

第二王女は、王座にしか興味のない冷酷な合理主義者。


(ああ……どっちも国を滅ぼすタイプだ)

ゲーム脳が即座に警鐘を鳴らす。

前者は短期的勝利で自滅。

後者は民を削りすぎて反乱。


どちらが魔王になっても、この国は長くはもたない。


だが――

(第三王子、か)


俺は内心でほくそ笑んだ。

ギリギリ継承権はある。だが最前線ではない。

失敗しても即死しない。成功すれば、一気に流れを変えられる。


(最高のポジションだ)


この数か月で、もう一つ気づいたことがある。

それはこの世界にある、もう一つの()()だ。


人間国に闇属性で生まれる者。

魔物国に光属性で生まれる者。


それらは忌み子と呼ばれ、両国で等しく忌諱されている。


光と闇は、紙一重。

だが世界は、その一重を越えることを許さない。


(……詰んでるな、この世界)


戦争は止まらない。

勝っても、負けても、次が来る。


千年続いた対立は、もはや「前提条件」になっている。


だから俺は、決めた。

魔王になることが、目標じゃない。

人間でも、魔物でもない国、光と闇が共存する国。


人間国と魔物国の中間地帯に建国し、

両国に独立を宣言する。


当然、両者ともに敵に回るだろう。

反感も、侵攻も、裏切りも来る。


――だが、守り切る。


制度で

外交で

戦略で

信念で


「千年続く王国を、建国する」


それが、俺の勝利条件だ。

やがてその王国は、人間国と魔物国を――飲み込む。

滅ぼすのではなく、飲み込む。


属した方が得だと、そう思わせる国にする。

小さな身体で、俺は静かに誓った。


引きこもりゲーマーだった俺の人生は、

ここからが本番だ。


この世界そのものを、長期シナリオで攻略する。


千年王国の建国は、まだ遠い未来の話。


だが――

最初の一手は、すでに打った。

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