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第4話 「脚注]からの逆襲

主流の名乗りが一回りすると、声を上げづらかった勢が恐る々々立候補してきます。彼らは一体何者?

挿絵(By みてみん)

「あの……あのぉ……。僕も一応、エントリーしてるんですけど……」

全員の視線が、部屋の隅にある小さなパイプ椅子に集まります。


そこに座っていたのは、存在感があまりに薄く、透けて見えそうな

「養老の元号、滝で決まった説」君でした。


「誰だ、お前!?」

「太平洋戦争」君が、身を乗り出して尋ねます。


「ええと……717年です。元正天皇が岐阜県の滝に行ったら、

お酒みたいな水が出てきて、体が若返ったから元号を『養老』にしちゃおう!

っていう出来事なんですけど……。

一応、元号が変わるっていう国の大事だったんですけど……」


会場に、冷たい風が吹き抜けました。

「……滝の水が美味しかったから改元した、だと?」

「明治維新」君が、耳を疑うように聞き返します。

「はい。でも、歴史の授業では『養老律令(法律)』の方は有名なのに、

僕(改元のエピソード)の方はいつもカットされちゃって……。

たまには、ベスト3に入らないまでも、せめて『へぇ〜ボタン』くらいは

押されたいなって……」


すると、このマニアックすぎる主張に、意外な人物が反応しました。

「いいじゃないか、そういうの!」 目を輝かせたのは、「バブル経済」君です。

「今の時代、大事件はみんな飽きてるんです!

こういう『どうでもいいけど、ちょっと癒やされる日常系ヒストリー』こそ、

令和以降のSNSではバズるんですよ!

ほら見てください、今の滝エピソード、視聴者から『推せる』『癒やし枠』って

コメントが殺到してます!」

「えっ、本当に……?」

「養老の元号、滝で決まった説」君の顔に、初めて光が宿りました。


「あの……僕も混ぜてください。

僕は、『日本最古のストライキ、給料じゃなくて"お椀"が理由だった事件』君です」


全員が「……は?」という顔で彼を見ました。

「ええと、奈良時代のことなんですけど……。

東大寺の大仏を作っていた職人たちが、一斉に仕事をボイコットしたんです。

理由は給料が安いからじゃなくて、

『支給されたご飯のお椀が小さすぎて、おかずが入らねえよ!』っていう

怒りだったんです」

挿絵(By みてみん)

会場に一瞬、妙な連帯感が生まれました。

「……お椀のサイズで、大仏づくりを止めたのか?」

「太平洋戦争」君が、あきれ果てて尋ねます。

「はい。結局、お椀を大きくしてもらうことで解決した、日本最古の労働争議です。

国家プロジェクトを『食器の不満』で止めた僕のインパクト、

3位くらいに入れませんかね?」

「弥生時代」翁は、お椀ストライキ君の肩を叩きながら、

「お椀は大事じゃ。米を食う器が小さくては、戦もできんからのう」 と、

一人だけ深く納得していた。


これを見て黙っていなかったのが、他のマイナー勢です。

「じゃあ、俺も! 『平安時代の貴族が、猫に位(五位)を授けた事件』です!」

「私は、『江戸時代に、象がベトナムから歩いて江戸まで来た出来事』よ!」


「おい、待て! 話がどんどん小粒になっていくぞ!」 司会の「日本史」君が

制止しようとしますが、もう止まりません。


「1位:太平洋戦争(ガチ枠)」 「2位:滝の水が美味しくて改元(癒やし枠)」

「3位:象、江戸まで散歩(アニマル枠)」

という、あまりにカオスな暫定ランキングがホワイトボードに書き込まれていきます。

「……私の維新が、象の散歩に負けるなんて……」 「明治維新」さんが膝から

崩れ落ちる中、会議室は「歴史の重み」を完全に置き去りにして、史上最大の

「バカ受けライブ」へと突き進んでいくのでした。


(第5話に続く)

カオス極まれり。しかし、まだ「我こそは」がいるようです。誰でしょう?

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