あとがき
黒木咲良と申します。
このたびは「くちなしの花嫁」に目をとめていただき本当にありがとうございました!
今作は、不遇な環境に生きていた主人公がヒーローとの出会いをきっかけに愛されて自信を取り戻していく、溺愛嫁入りものの話になっております。
今までにもいくつか恋愛ものは書いてきたのですが、溺愛と言えるほど甘さや愛され要素重視な話は書いたことがなく、今回が初めての挑戦でした。
実は昔、二人は出会っていたことがあり……という再会要素のある関係性が個人的にすごく好きなこともあり、ついつい書いてしまうのですが、この話も再会を軸にした話になりました。
本当は10万字ちょっとくらいの話にするつもりだったのですが、予想外に話が膨らんでいき、最終的には30万字を超えるものすごく長い話となり、書いていてとても驚かされた話でもありました。
はじめに考えたキャラ設定もプロットも早々に役に立たなくなり、ほぼ手探りで進んでいったような状況でしたので、何とか無事に完結できた時はしばらく放心状態になったくらいです。
以下、キャラについてなどになります。
・八條梔子
難読漢字な名前の主人公です。
モチーフにしたクチナシの花は、花言葉が「私は幸せ者」「喜びを運ぶ」ととても素敵なものが多く、いつか題材として使いたいなあと思っておりました。
ただ、人の名前としてはたぶん使われないお花の名前かと思いますし、あまりよくない意味ともとれる発音ですので、名前として使うかは迷いました。
ですが、やっぱり書いてみたいキャラの関係性やストーリー展開を考えると彼女の名前は他に思いつかないよなあ……となり、決定となりました。
けっこう感情豊かで、めちゃくちゃ泣いてた印象です。以前に泣き虫設定の主人公を書いたことがありますが、彼女よりよっぽど泣いていたかもしれません。
はじめは紅月に愛されるばかりの梔子ですが、だんだん自信がついてきて、自分から愛情表現ができるようになったり、逆に紅月を支えられるようになったりと、成長していくところを見守っていただけましたら幸いです。
・篁紅月
はじめは優雅で余裕たっぷりな大人のお兄さんにしようと思っていたのですが、書けば書くほど壮絶な人生を歩む苦労人になっていったお方でした。
積極的に主人公と関わってくれるのでわりと書きやすいキャラだったなあと思います。
今まで書いてきた話を振り返ってみると、終盤ヒーローが大怪我したり死にかけたりする展開にしてしまいがちなのですが、彼の場合は身体的にも精神的にも一番しんどい目に遭わせてしまったかもしれません。
最初のうちは設定的にもなかなか紅月視点の話が出せなかったのですが、すべて彼の視点になる過去編がめちゃくちゃ長くなったこともあり、気づけばもう一人の主人公と言ってもいいくらいになっておりました。
特に最終盤は完全に自暴自棄になってしまい、自己犠牲に走ったり内罰的な思考から抜け出せなくなったりと、ロマンス小説のヒーローとしては頼りない部分もかなりあったかと思います。
そんな中でも、周囲に支えられて挫折から立ち直っていくさまや、精神面に脆さを抱えながらも一途に梔子を守ろうと頑張るところを表現できていたらいいな……と思います。
サブキャラも何人もいたのですが、やはり一番印象に残っているのは静貴でしょうか。
世話好きな性格のためか問題児ばかり抱えていますが、ぶつくさ言って怒りながらも必ず助けてくれるタイプのキャラです。終盤に入って急に出番が増え、大活躍してくれました。
彼と紅月の友人関係は書いていてとても楽しかったです。
もともとこの作品は冒頭だけ書いた後どうしても続きの場面が思いつかず、二年ほどボツフォルダの中で眠っていた話でした。
その後も、和風で思いつかないなら洋風の世界観に変えてみようとか血迷ってみたり、何度も続きを書こうとしたりしたのですが、やはり思うようにいかず。
紅月は当初、見た目が珍しい梔子に気まぐれに求婚した設定で、奇人変人だったりけっこう辛辣な性格だったり紆余曲折があったのですが、そこから一転して、梔子をとにかく甘やかしたい設定になってからは、話がどんどん進んでいってくれたように思います。
最後になりましたが、とても長い物語を追っていただき、本当にありがとうございました!
思った以上に登場人物を苦労させてしまい、特に終盤などかなりしんどい展開もたくさんあった話ですので、読み進めてくださった方には感謝してもしきれません。
たくさんの方々に物語を応援いただき、とても励みになっておりました。
これからもより面白い物語を目指して、日々精進していきたいと思います。
次の作品の案は現時点でまったく思いついておらず、どんなものを書くかまだまだ模索中ですが、おそらくまた恋愛ものになるかなと思います。
今作を書き進める中で課題もたくさん見つかりましたので、次はそのあたりも意識して書いていきたいなと思いつつ。
いつ連載開始できるかは未定ですが、また準備ができ次第、投稿していきたいです。
よろしければ、これからもどうぞよろしくお願いいたします。