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玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり  作者: なるるん
夏休み・男子に慣れよう:森本くん~男装チャレンジ
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第83話:メンズファッション店 一軒目



 ひょんな事から、って感じもしなくはないですが。


 森本くんの提案で、先輩方と先生が『男装したらいかが』かと。


 ある種、その場の勢い的に。


 電車に乗って、やって参りました、駅前ビル。


 以前に、おさげ子先輩とふたりで見てまわったところ、ね。


「メンズファッションは……各階にちらほら、あるわね」


 エリ先生が、ビルの案内図を見つつ。


「一階から見ながら登っていきましょうか」


 との、ご提案。


 おさげ子先輩と周った時は、上からだったけど。


 まぁ、どっちでも同じ、か?


 エリ先生を筆頭に、はぁい、と、ぞろぞろ、着いてゆく面々。


 最後尾に、ウチと森本くん。


「いや、でも、ホント……」


 ん?


「どうかした? 森本くん」


 前を歩く先輩方の後ろ姿を眺めつつ、森本くんが。


「『しの女』の制服って、ホント、可愛いよなぁ……」


 まぁ。


「近隣でも可愛いって評判だし、ね」


 ウチも幼い頃から、お姉さんたちのその制服姿を見て。


 憧れめいたものが、あったのかも、しれず。


 この制服を着ることになって。


 とまどいも大きかったけど、それ以上に。


 嬉しかったのは、事実。


 今となっては……。


「男が着ても映えるって、どういう事だろうな?」


「あははは」


 とか、言ってると、件のショップ。


 メンズファッション、の、お店。


 では、あるのだけど。


「これは、ちょっと違わない?」

「メンズファッションって言うより、紳士服?」

「スーツは無いわ、スーツは……」


 そう、ビジネスマンとか、大人の仕事人が着る、ビジネススーツ的な感じの、フォーマルなやつ。


 ひょい、と、店内を覗き込んで見渡してみると。


「奥の方にカジュアルなのもあるみたいだけど?」

「ちょっと見てみる?」


 エリ先生と一緒に、奥のコーナーへ。


 先輩方と森本くんも、ぞろぞろ、と、着いて来る。


 すると。


「いらっしゃいませ」


 渋い感じの店員さんが、すすーっと寄って来る。


「ご家族へのご贈答ですか?」


 あぁ。


 制服姿の女の子、女子高校生がずらり。


 男もいるけど、明らかに学生だし、このスーツやファッションは。


 誰かへの贈答(プレゼント)を探しに来たのだろう、との推察、かな。


 でも、エリ先生が、素で。


「いえ、この娘たちが着るのを探してるんです」


「はぃ?」


 店員さん、声が裏返ってまっせ。


「えっと、お嬢様方でしたら、どちらかと言えば、こちらではなく、お隣の……」


 確かに、隣のお店は、女性向けのショップだったっけ。


 でも。


「文化祭の出し物で男装することになったんですって」


 嘘も方便。発案者の森本くんのさらにナイスなフォロー。


「はぁ……なるほど……でも、それにしては……」


「高っ!」

「すごく、お高いですわね……」

「桁が一桁二桁違ってますね、これは……」


 展示されている商品の値札を見て、驚きの声を上げる先輩方。


「はい、そうですね……こちらそういった用途には向かないかと……」


 店員さんも歯切れが悪いけど。


 冷やかしならとっとと帰れ、的な、ニュアンス。


「しょうがないね、次、行こう」


 しれ、っと、エリ先生。


「お、お邪魔しました~」


 そそ、くさ。


 粗相、草。


 店を出たところで。


「まぁ、買えなくもない値段ではあったけど?」


 ぼそり言う、金髪子先輩に、おさげ子先輩が。


「自分のお小遣いで買うには高すぎるわよ」


 ぱっつん子先輩も、うんうん、と、頷き。


「先生のお給料じゃ、全然、手が出ないわよぉ」


 泣き顔、先生。



 あはは。


 ウチも、無理。


 と、言うか。



 ウチが男装して、どうする?





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