第8話:家バレで足がつく
「え? お昼休みにお家に帰れるって、どういうこと? そんなに家が近いの?」
金髪子先輩が食いついて来た。
「近いと言うか、正門の前が家だからな」
と、つい、自慢げにドヤって言ってから『しまった』と後悔。
めっちゃ家バレしてしまっている……。
まぁ、どのみち、オレが通学しているところを見られたらすぐにバレるし、いいか?
「正門前!?」
「と、言う事は……」
おさげ子先輩とロリ先生が窓際へ移動して、窓から校庭の方を見る。
ちなみに、ここは三階の二年生のフロアの空き教室。
なので、校庭を見下ろせばその端にある校門、その前の押しボタン信号が見える。
そして、その信号の先に。
「あれかー」
「どれどれ? ウチにも見せて」
金髪子先輩も窓際へてこてこ、と駆け寄る。
ぱっつん子先輩も金髪子先輩の後に着いて窓まで移動。
そして金髪子先輩が宣う。
「おぉ……ちっちゃいけど、いい感じのお家じゃない」
うるせぇ。ちっちゃい言うなや。
ちっちゃいのはアンタだろうが、金髪子先輩。
「そのような言い方はよろしくないと言ってますでしょ」
「いひゃい! いひゃい! ひゃめへー!」
ぱっつん子先輩は常識的と言うか、お母さん的なポジなのか?
「いたたたた。んもー、サクラぁ……」
「自業自得、ですわ」
「むぅ……」
ぱっつん子先輩にお仕置きされてむくれる金髪子先輩。
ますます小学生風味が加速する。
「でも確かに、お昼休みなら余裕で往復できそうね。いいなぁ……通勤、楽そうだなぁ……はっ! 園田くんと結婚すればわたしも!?」
もうひとりの小学生風味ロリ先生が無茶苦茶なコトを言い出したので、ジト目で睨んでやる。
「やだなぁ、もぉ。冗談よ、冗談っ」
ロリ先生、思いっきり本気っぽかったぞ。
言っておくがオレはロリコンではない。断じて。絶対。多分。
多分?
それはともかく。
「ふむ……トイレも着替えも特に問題はない、か……。お昼ご飯はまあ、別に教室でひとりで食べても問題はないとして……他に何か……」
静かだったおさげ子先輩が、これまた静かに。
腕組みをして、ぶつぶつ、と。
教室が静かなのでオレにもばっちり聞こえてるけどな。
「はっ!」
お?
おさげ子先輩、何かひらめいた?
グーの右手をパーの左手に打ち付けて、ポンっ、と。
いや、その動作……ホントにやる人、居るんだね……マンガとかアニメの空想の産物だと思ってたよ。
そして、グーだった右手から人差し指だけ突き出して、オレの方を向けて。
「貴方!」
「お? おぉ?」
なんだ?
「足!」
あし?
おさげ子先輩の指は、おれの下半身を指示しているっぽい。
足?
足が、どうかしたか?