第70話:合宿って言ったら定番のカレーだよね
合宿二日目の、午後。
午前中に、昼食をみんなで作って、食べて。
わりと満足。
午後は少しだけ浜辺でわいわいと遊んでから、夕食の準備。
夕食もまた、別の献立で、お料理教室。
昼に肉じゃがをたくさん作ったので、余った分に追加の食材も入れて、定番の、カレー。
まさに、ザ・合宿!
まぁ、料理と言う程の料理でもないけど、一応、ウチの味付けを、披露。
「ルーは市販なんだー」
「まぁ、家庭料理ならスパイスからって面倒だもんね」
「それでも、ルーを二種類組み合わせるのがコツ、なんですのね」
そう、味付けと言ってもその程度。
「ウチの場合はこの二種類が定番だけど、色々種類と分量を変えて試してみるのもいいよ」
ウチも色々と試した結果、今の分量に辿り着いたところもあり
「好みもあるしね。それに……」
ひとつ、問題があって。
「あんまり特殊なルーを使うと、いざ、もう一度作ろうと思った時に、販売終了してるコトがあったりするから、定番の売れ筋の商品を使った方がいいよ」
一度それで泣いた事が。
「あぁ、なるほど。確かに」
でも。
「ルーを入れるのは、まだ後、ね」
そうなのよ。ある意味、ここがカレーの作り方の大事なところ。
「え? ルーを入れて煮込むんじゃないのー?」
金髪子先輩の疑問に、他のメンツも同じように首を傾げてる。
「しっかり具材を煮込んで、灰汁を取ってから、ね」
「あく?」
「うん、まぁ、実際に見た方が早いだろうから、調理を進めるね」
何気に、少しタメ口になりつつあるけど、まぁ、気にならない程度、かな?
軽く肉を炒めてから、野菜も投入して少し炒めてから、水を投入。
お湯が沸騰したら……。
網じゃくしで、表面に浮き上がった泡のような物をすくい取って。
「ほら、これが灰汁ね」
すくい取った灰汁をボウルに入れた水に移し替えて、さらに灰汁を取って。
「こんな風に灰汁がどんどん出てくるから、出てきたら、取ってね」
少し実演をしてから。
「じゃぁ、やってみて」
「はぁい」
今回はペアを変えて、金髪子先輩とぱっつん子先輩、エリ先生とおさげ子先輩。
小さな鍋を覗き込みながら、わいわい、と。
それを少し離れて見てると。
色違いだけど、ウチも着てる、お揃いのエプロンで。
これもまた、合宿っぽさが。
ふと、横を見ると、シズさんがカメラで写真を撮ってくれている。
スマホのカメラ機能とかではなく、しっかりした一眼レフカメラ。
今朝の人たちが持ってたようなでっかいのじゃ無いけど。
そう言えば、朝の時も撮ってくれてたっけ。
「じゃあ、そろそろルー、入れますね」
二種類のルーをウチの分量で混合して、投入。
そこからじっくりと煮込んで、出来上がり。
出来上がったカレーの前で記念写真も撮って。
「いただきまーす」
和やかに、カレー実食。
「うん、さすがに味はどっちも、ほとんど変わらないね」
「こっちの方が少しとろみが少ない?」
「あぁ、水の分量が微妙に違う?」
はて?
「灰汁を取る時に水分を取り過ぎたか、微妙な火加減の違いで蒸発する量が変わっちゃったかしら?」
母さんからご指摘。
「なるほど」
ウチも含めて、皆さんもご納得。
そんな感じで、夕食後、後片付けも済ませて、お風呂。
その後、学校の宿題も少し。
まだ夏休みに入って間もない事もあり。
遊んでばかり、と、言う訳にもいかず。
三先輩は、お互いに教え合ったりしてるけど。
ウチは学年が違うので、先輩たちや先生から教えてもらうばかり。
なので、ちょっと心苦しかったりもするけど。
まぁ、後輩特権、って事で!。